なまえA side
「ヒュウ、結構あるな」
「余るくらいあるわね」
武器倉庫についた新開と私。扉を開けるとそこは私達にとって、宝の山だった。車に積んである武器と合わせればかなり持つだろう弾の量。逆に車を大きいのにしないと積みきれないだろう。
「明日は車探しだな」
「車を探しながら、生存者を探すしかない。車は武器用と生存者用、食料用、他にも色々必要かもしれない」
夏だし、自動販売機も電気が通ってる今、壊すしかない。そうすれば中身がダメになる心配もないし。明日は忙しくなりそう。・・・服も欲しい。
「少しだけ持って行って、あとは明日運ぶか」
「うん」
充分な弾を持って、部屋を出る。窓から外を見れば、昼間より行動しているアンデッドが見えた。これは、物音はあまり立てないようにした方が良さそう。まぁ、警察署だしそんなに響かないだろうけど。
「尽八、相当ヤバイなアレ」
「大丈夫でしょ、なまえ@がついてるし。・・・それより、自分の心配した方がいいんじゃない?」
「ん?」
「バレないようにしてるつもりみたいだけど、たまに出てるよ顔に」
「・・・ははっ、おめさんには敵わねーな」
そう言って頭を触る新開。近くにあった自動販売機に律儀にお金を入れてドリンクを買う。私の分と、自分の分のお茶。
「葵を失って、なまえAのおかげで乗り越えられたのに・・・次は迅くん。アンブレア社は俺たちの大事なモン全部壊していくよな」
「私も、結構ショックだったかな。斑同士仲良かったのに。でも・・・」
「・・・」
「新開にはまだ弟がいるよ」
「っ!」
驚いた目で私を見る新開。当たり前か、新開は弟がいることを私達に話したことなんて一度もない。
「なんでも知ってるんだな」
「まあね」
「でも・・・きっとアイツももう・・・」
「何言ってるの、新開の弟でしょ?生きてるよ。あの子だってもうすぐ特殊部隊入りだった・・・つまり、強い」
「・・・そうだといいな」
私は珍しく弱気な新開の頭を叩いた。
「きっと今頃、東堂も切り替えてる。新開もいつまでも腑抜けた顔してないで切り替えなよ」
「・・・ありがとな、なまえA」
ガチャッ
「尽八、元気になったか?」
「隼人、迷惑かけてすまんね」
「なんも迷惑じゃねーよ、気にすんな」
部屋に戻れば、元気そうな東堂。なまえ@の言葉が効いたのだろう。持っていた弾の入ったバッグを下に降ろす。
「寿一は?」
「まだ戻ってきていないな。迎えに行くか?」
「きっと、頑張ってご飯作ってるんじゃない?真波が邪魔だろうけど」
「手伝いに行くか」
ガチャッ
「すげーいい匂い」
「あ、来た来た。福富さん、東堂さん達来ましたよ」
「みょーじA、荒北にこれを持って行ってくれ」
「フク!もう少し栄養バランスを考えろ!肉だけだと栄養が偏ってしまうぞ!野菜は無いのか?」
「あれ、いつもの東堂さんだ」
「野菜あるじゃん、肉焼いただけでドヤ顔してないでそこ退いて」
冷蔵庫の中をチェックすれば、さすが食堂。野菜が数種類あった。福富を退かせてキャベツとトマトを取り出す。この二つでサラダを作るだけで野菜がとれる。あとは明日にとっておこう。
「なまえ@、キャベツ洗って千切りして」
「はーい」
「福富、明日の事なんだけど。武器は充分な量あったけど、車に積みきれない。それに、もしも生存者がいたら、助けるためには今の車じゃ不十分。明日は食料と生存者を探しながら他の車を探した方が良さそう」
「ああ」
「じゃあ、靖友にこれ届けてくる」
私は明日のことを考えながら、靖友がいるであろう入り口に向かった。明日は大変になりそうだから、休ませないと。
to be continude
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