なまえA side



福富達と別れてからずっと、走り続けているけど三人の体力はなんなんだと言いたいくらい私はそろそろ限界だった。私もなまえ@達と同じ完全適応者にも関わらず、なぜか皆と違って優れて体力があるわけではなかった。私は全て頭にいったのだろう。


「なまえA、少し休む?」

「うん、お願い」


なまえ@が私の変化に気づいて足を止めてくれた。靖友も東堂も足を止める。


「見つかンねーなァ」

「こんなにも見つからないものなのだな」

「悪役ってだいたい夜になったら動き出すし、夜に動きを見せるのかも!・・・なんてねージョーダンジョーダン」

「・・・その可能性も無くはないわね」


なまえ@の言葉に少し納得してしまった。


「アンデッドは増えていく一方だな」

「銃使っても弾の無駄になるだけだろォな」

「コンビニ行こう、お腹空いたし喉乾いた」

「俺もベプシ飲みてェ」


コンビニに移動した私達は、中にいるアンデッドを始末して、コンビニの扉に鍵をかけてから中にある食べ物を食べたり飲んだりした。生ものやおにぎりなどは暑さで腐っていて食べられる状況ではなかったけれど。


「いま何時?」

「ここの時計では16時15分」

「結構走ったなー俺ァもう走りたくねーわ」

「私も、皆みたいに体力があるわじゃないから結構キツイ」

「なまえAは全部頭にいっちゃったんだろうね。でも体力も少し上がってると思う」


なまえ@の言う通り、体力は少しだが上がっていた。前の私だったらこんなに走っていられない。休み休み走っていたが、こんな長時間走るのは無理だ。


「ッゼ、アイツら窓にへばり付いて気持ち悪ぃ」

「うわっ、どんだけ餓えてるの」

「俺達が食べたくて仕方ないんだろうな」


コンビニのガラスの前にはいつ間にか増えたアンデッド達がへばりついていた。此方に来て、私達を食べたいのだろう。口を開けて唸って、必死に此方に来ようとしている。脳は無いから扉を開けようとはしない。身体を押し付けて、窓を割ろうとしている。


「なァ、俺自分がどう変わったか試してみたいンだけどォ」

「奇遇だな荒北、俺もだ」

「私も」


靖友はニヤリと笑って扉の前に立った。それに続いて東堂となまえ@も扉の前に立つ。私の方を見て訴えてくる三人に縦に首を振るしかなかった。扉を開いてからはあっという間だった。元から強かった三人だけど、それ以上をいっていた。流れる様にアンデッドを始末していく。驚いたのは靖友の転化。前より狼らしくなっていないのに、前より強い。動きも素早く、前ならすぐにバテていたのに体力が持っている。東堂も刀技が前よりスピードが上がって、体術もできている。なまえ@も銃を使わずに体術やナイフでアンデッドを始末している。三人であっという間に周りのアンデッドを始末してしまった。


「あんまり疲れてねェな」

「うむ、俺もだ」

「私は流石に少しだけ疲れたけどね」


少しだけ休んでからまたアンブレア社の隊員を探すことになった。






19時00分 東京ドーム前


「まさかここで見つけるとはなァ」

「全員揃ってから見つかったのは都合いいけど」


東京ドーム前に無事に全員集合した私達。しかし、東京ドームの前は警備が厳重だった。

アンブレア社の。


「中に何か隠してる」

「どうする、フク」

「フクチャンのオーダーに任せるヨ」

「強行突破するぞ。静かに隊員を倒していけ」


福富のオーダー通りに静かに隊員に近付いて後ろから襲い、殺した。目を覚まされて連絡なんてとられたら厄介だから、殺した方がいい。


「入口付近だけ倒せば十分だろ」

「俺についてこい」


福富の後について、中に入った。


「っ!!」

「!」

「ンだよこれ・・・」

「異様だな・・・」

途端に、冷や汗が一気に出て寒気がした。私となまえ@と靖友と東堂だけが感じ取った物だった。


「どうした」

「フクチャン・・・この中匂うぜ」

「引き返すなら今だぞ、フク」

「アンブレア社の事だ、この中に金城がいるのかもしれん」

「・・・巻ちゃんがいるなら、助けてやらねぇとな。けど危険だぞ」

「構わない。俺達は強い」


福富の言葉に押され、私達は警備している隊員を倒して進んだ。東京ドームの会場に入ると、中には隊員もいなければあの異様な雰囲気の正体さえいなかった。


「いねぇな」

「お前らだけだな、何か感じ取ってるの」

「隼人は感じないのか?」

「少しだけ嫌な雰囲気はあるけどな」


新開達も感染しているのは確かなのに、私達よりも鈍い。


カッ


「!ライトが・・・」


一瞬で場内のライトがついた。私達は銃を構えて警戒して周りを見渡す。


「流石だよ!君たちには感心している」


反対側の入り口から、スーツを着た男が現れた。後ろには数人の隊員。そして・・・異様な雰囲気の奴らが入ってくるのが分かる。

異様な雰囲気の奴らを見た瞬間、私達は全員驚倒した。


「嘘だろ・・・」

「金城・・・」

「じん、くん?」


隊員に続いて入ってきたのは、人間の姿とは程遠い、アンデッドに近い姿をした・・・ーー金城と巻島と田所だった。



to be continude


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