「・・・嘘でしょ」
言葉が、出ない。アンブレア社のお偉いさんに呼び出された私達は、長官室へニ斑と共にやってきた。なぜか警備が厳重で、偉い人もたくさんいておかしいとは思った。そして、彼らに見せられた映像に驚倒した。映像の中は・・・私達が救出した人間達が、何か薬を射たれ暫くしてもがき苦しみ・・・死んで、アンデッドになる。そして注射を射った人間はこう言った。
「また失敗か」
私達には理解ができない。なんのために彼らを救わせたのか。この実験のために命を張って・・・新開の彼女も、小野田君も・・・。
「どういうことですか!!!」
福富が怒鳴るも、ニヤニヤするばかりで答えはしない。そして、こう言った。
「このウイルスを撒いたのは・・・我ら、アンブレア社だ」
言葉が出なかった。私達は実験の為に動かされていただけなのか。
「我々は人体兵器を作るために数々の人体実験をしてきた。しかし弱い人間ではこのウイルスに耐えられんようでな・・・君達で実験することにしたよ」
「ー!!!」
瞬間、一気に襲ってくる武装部隊。私達には武器は無い。置いてこい、と言われていたから。
「なまえ@っ!」
「なまえA!!!」
襲ってくる武装部隊から守ってくれる尽八。私も必死で抵抗した。荒北もなまえAを庇っているが
「抵抗は無駄だ」
何かを身体に射たれ・・・そこで意識が途絶えた。
「・・・っ!う・・・」
「っ!なまえ@!」
痛い。身体中が痛い。息が、し辛い。
目の前には尽八がいて、落ち着けとか大丈夫かとか言ってくる。
「っ、へいき・・・どこ、ここ・・・」
何故か全裸で、ガーゼで身体が隠されていてその上から羽織のようなものがかけられていた。尽八も、他に起きている荒北も新開も福富も泉田も真波もそんな格好をしていた。ていうか福富と泉田・・・顔色が悪い。
「・・・なまえAは!?」
「安心しろ、まだ寝てる」
荒北の隣に眠っているなまえAも羽織をかけられて眠っていた。
「ここ、どこ・・・」
実験室なのだろうか、壁も床も天井も真っ白でマジックミラーなのだろう、正面が真っ黒のガラス。しかし
「人の気配がねぇな」
全く人がいる気配がない。
「ニ斑は無事なのかな」
「確かめるにはここを出るしかねぇだろうな」
「・・・この頭についてるの、とっていい?」
「痛ぇぞ」
何か機会のようなものが頭につけられていて、・・・いや、なにか針のようなものが刺さっている。荒北に脅されるが、このままにしておくわけにもいかないのでそれを外した。物凄く痛かった。
「・・・っ」
「なまえAっ!!」
なまえAが目を覚ました。自分の置かれている状況に然程驚きはしない。なまえAも頭のものを抜いて、かけられているものを羽織った。
「最悪ね」
「フクチャン、どーやって出る?」
「カードキーが必要みたいだな」
福富が指差す先には、カードキーを差し込む機械があった。
「・・・なんか、私おかしいかも」
「・・・?なまえA?」
少し眉間にシワを寄せてさっきとったあたまについていた針を持ち、立ち上がるなまえA。そのまま壁に手をついて歩いて、機械の前まで行くと針をそこに差し込む。
「なまえA?」
ガチャッ
「・・・開いた」
私達は驚いたが、なまえAならやるだろうとすぐに部屋を出た。でも・・・いつも冷静なはずのなまえAが若干、戸惑っていた。
「ニ斑を探すぞ」
部屋から出ても、人は一人もいなかった。ここは病院?外に出て見ないとどこなのか分からないが、まずはニ斑を探さなければならない。
「新開さん、あれ・・・」
泉田の指差す場所には、壊されたドアと、血の足跡のようなもの。近づいて中を見ると
「・・・これは・・・」
「今泉くんと、鳴子くん・・・ですよね」
身体を繋がれて動けないまま暴れている・・・アンデッドに貸した今泉くんと鳴子くんがいた。
「巻ちゃんがいねぇ・・・」
「金城もだ・・・」
「迅くんも」
巻ちゃんと金城と田所がいたであろう場所には何故か少し血が着いていて、繋がれていたものを無理矢理ちぎったのか、姿はどこにもない。
「こいつら処分しねぇと」
「武器がないだろ」
「・・・武器なら、隣の部屋にある」
なまえAの言葉に、また驚いた。何故、なまえAがそんなことを知っているのか。
「・・・私、おかしい。この建物の内装が分かる・・・考えれば考えるほど細かく。これが奴らの実験ってわけ」
「・・・私は今のところ何もないけど・・・」
他の皆もいまのところ、何も変化はない。人体兵器といっていたくらいだ、敵を前にすれば分かるのか。
「泉田、ドアを破れるか」
「はい!!」
泉田がドアに体当たりをして、ドアを壊した。中は武器庫だった。そして、自分達の愛用の私物までそこには置かれていた。
「なまえA、パソコンはいいの?」
「うん、もう必要ないみたい」
「そっか・・・」
置かれていたベルトをつけて、尽八は愛用の刀を、新開は愛用の銃をさして他の武器も持って部屋を出る。
「金城の大切な部下だ・・・俺がやる」
今泉くんと鳴子くんは、福富が始末した。
ギィ・・・
「酷い有り様ね」
「やっぱり病院だったんだ・・・アンブレア社の」
病院を出れば、私達が救出に出かけていた時よりも酷い有り様だった。実験をされてからどのくらい時間が経ったのだろう。
「どうする?アンブレア社に戻る?」
「ンな事したらすぐに掴まんだろ!隣の県行けばいいンじゃなァイ?逃げてンだろ、金城達なら」
「荒北に賛成だ、金城達を探すぞ」
そのあと八人乗りの動ける車を探して、私達は東京に向かった。
to be continude
前 / 次