水泳場は階段を登ったところで、女子更衣室からの入り口と男子更衣室からの入り口で別れていた。こんな時でも一応、女子更衣室は私となまえ@が確認し終えてから一班全員が入る事になり、男子更衣室は二班に任せることになった。
「合図したら入って」
「気を付けて行くのだぞ」
「怪我すんなヨ」
なまえ@がナイフを持って、念の為に私が銃を持って更衣室の扉を開く。中は真っ暗だったがここはまだ電気が通っているはず・・・壁を探ればすぐに電気がついた。
「「・・・ー!!」」
「着替え中に食べられたって・・・最悪」
「一人が扉を開けた瞬間に入ってきて襲われたのかもね」
扉の前に服を着た女の子・・・と思われる肉塊。そしてその後ろにも何人かの服を身に纏っていない肉塊があった。
「ここまで食べられちゃうとアンデッドにもなれないんだ」
「アンデッドになるよりは死んだ方がマシでしょ」
「・・・上に何体いるんだろ」
肉塊を避けながら前に進む。嫌な匂いだ、窓を開けよう。
「うぅ・・・」
「・・・あーあ、来たよ」
シャワー室の壊れて外れかけている扉から入ってきた一体のアンデッド。目が合った瞬間、獲物をみつけたとばかりに此方に向かってきた。すぐに銃を向けたが、それをなまえ@が制した。
「一体だし、私がやる」
それだけ言ってアンデッドに向かって行ったなまえ@は、素早くアンデッドの後ろに回ると左腕をアンデッドの首に回し、右腕でアンデッドの後頭部を掴んでそのまま回す。ゴキッという音がして私の方を向いていたアンデッドの頭は身体をそのままに後ろを向いた。一瞬だけダメージを食らったアンデッドはなまえ@が手を離すとその場に倒れもがく。なまえ@はアンデッドの肩を足で抑えて、頭をナイフで刺した。
「手際のいい作業だったね」
「昔に比べたら強くなったでしょ?なまえAの為に頑張ったんだよ」
「・・・靖友達読んでくる」
部屋には人間は私達しかいない。靖友達を呼ぶ為に部屋から出る。
「アンデッドが出たのォ?」
「大丈夫、一体だけだったしなまえ@が始末した」
「・・・」
一瞬だけ顔を歪めた東堂は誰よりも先に部屋に入った。「行くぞ」という福富の声で靖友達も中に入ると、そのまま全員で水泳場に向かった。
「おせーよ」
入った途端に田所の声が響いた。ドヤ顔で此方を見ている彼の周りには五体くらいのアンデッドが地に伏していた。他の場所にも何体か始末された状態で転がっている。
「ここにも人間はいなかったか・・・」
「校舎にいるということになるな」
「日が暮れる前に行くぞ」
社を出たのは九時、ここについたのは十時、そして今は十三時。二つの校舎を見るには相当時間がかかる。急がないと日が暮れて、奴らがより活発になってしまう。
「酷く荒れているな」
「クハッ ホラー映画並みッショ」
第一校舎から来てみれば、そこは東堂と巻島の言うとおり荒れていてまるでホラー映画のそれだ。当たりは血で赤く染まっている場所や、食べ散らかした肉塊、骨、誰かがなんとか倒したのか数体のアンデッドが転がっている。入ってすぐに廊下が左右に分かれた。
「地図によれば、左右どちらにも奥に階段がある。別れた方が早そう」
「二手に別れるぞ、金城」
「ああ、そうだな」
二階は私達の班が、三階は金城班(真波を加勢させた)が確認して、四階で会おうということになり、金城の班とは別れた。
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