なまえAの予想は当たっていた。いまもフェンスを越えようとしているアンデッド達が5体くらいいる。
「私、さっき思ったんだけど。アンデッドって音に敏感だよね?目で見て来るより、音で来てるってかんじ」
「私もなまえ@と同意見。またここで銃を使ったらアンデッドが集まるかもしれない。・・・敷地内のアンデッドは、銃を使わない靖友と東堂と泉田に任せた方がいいと思うよ」
アンデッドは私達が片付ける事になった。あとはバスに市民を乗せて逃げるだけ。簡単なことだけど、アンデッドがこれだけ増えると難しい。
「じゃ、俺から行かせてもらうぜ」
「む、ずるいぞ荒北!」
「僕も行きます!!」
荒北がニヤリと笑って狼に転化すると、一気にアンデッド達に襲いかかる。続いて東堂と泉田もアンデッドに向かって走っていった。
「私と新開と田所は皆をバスまで援護する」
要は頭を狙えばいい。近くに転がっていた鉄パイプを持って、私達はバスの場所へ向かった。アンデッドの動きは鈍く、銃がなくても私達には簡単だった。
「バスの運転は私がする。一班と二班、他の隊の車の運転をお願い」
「私はなまえAとバスに乗るよ」
なまえAの運転するバスには私が乗って、一班のバスは新開と田所、他の隊のバス二台は福富と金城に別れて運転することになった。
パァン パァンッ
「うわぁあああ!!」
「きゃァァァ!!」
「!あれは・・・」
「中にアンデッドが入った混乱からって感じね。なまえ@、行ける?銃使っていいから」
「分かった!」
混乱から校舎を飛び出す数人の人間に獲物を見つけたとばかりにアンデッドが一直線に向かい出す。後ろにいた新開たちも加勢して銃を放つ。
「アンデッドの事は気にしないで!急いでバスに乗って!!!」
「悪い!!俺達も加勢するっショ!」
「巻ちゃんは裏にいる尽八達を呼んで!!」
市民を引き連れた巻ちゃん達がこちらに走って加勢してくれた。巻ちゃんは尽八達の元へ、残りのメンバーは市民を護る。
「音に反応してアンデッドが増えて来る!!」
「早く逃げた方が良さそうね」
「きゃっ」
「!葵!!!」
一人の女性、新開の彼女の葵さんが転んでそこにアンデッドが三体くらい襲いかかる。新開が走ってアンデッドの頭を撃つが、
「嫌ぁああ!!」
「葵っ!!クソッ」
「隼人っ」
葵さんの脚を一体のアンデッドが噛みちぎった。嫌な音が響いて、苦痛に震える声で新開の名前を呼ぶ葵さん。
「新開!!援護するから中に運んで!!」
他の人間はアンデッドに襲われてしまった人以外全員バスに逃げられた。尽八と巻ちゃんと荒北と泉田も戻ってきたところで、バスの運転を隊員に任せ戻ってきたなまえAと共に班の車に乗った。
「噛まれたのか」
「っ、ああ・・・」
泉田が車を運転して、真波が葵さんの手当をしている。
「ごめん、私が護りきれなかったせいで・・・」
「おめさんのせいじゃない」
「・・・噛まれてから感染するまでの時間は私達には分からない。本部に戻れば薬があるかもしれない、諦めるのはまだ早いと思うよ」
葵さんは苦しそうな顔をしながら眠っていて、それを新開が心配そうに見つめながら葵さんの汗を拭いてあげていた。
「もし、薬が無くて葵がああなっちまった時は・・・俺に、やらせてくれないか?」
「隼人・・・」
私達は何も言えなかった。新開が、葵さんがアンデッドに化した時は自分で始末させてくれなんて言うんだ、なんて言っていいかなんてわからない。
「できンのかよ?」
「ああ」
「本当にいいのか?」
「心配すんな、寿一」
私達には、薬がある事を祈ることしかできなかった。薬があって、葵さんが助かればと。本部について急いで葵さんを運び込んだが
・・・ーー薬は無かった。
to be continude
前 / 次