私には、好きな人がいる。
一年くらい前からずっと想い続けているけど、悔しいくらいにそいつは美形。本人に言ったら調子に乗るから言ったことはないけど、本当にイケメンだ。
・・・そして、鈍感。
昔からアピールしているが、周りにはバレているのに本人は全く気付かないという有様。
「なんであいつあんなに鈍感なの?」
「あれはバカどころの話じゃねェーだろーなァ」
「直球に言ったらどうだ?」
私の東堂へのアピールで既にバレてしまった二人、荒北と新開は今はもう相談相手だ。話してもたいして良いこといってくれないけど。
「そんな勇気あったら、やってるよ」
「あのバカチューシャはそんなんじゃ気付かねーだろォ?」
「尽八があそこまで鈍感だとはな」
「恋愛って難しいね」
「だいたいあいつの何処が好きなんだヨ?」
荒北からの質問に、私は少し考えたあと、口を開いた
「やっぱり一番は、山」
「みょーじの好きなやつって、誰の事を言っているのだ?」
「「「ーー?!?!」」」
私達は驚き過ぎて声も出なかった。いつからいたのか知らないが、いつの間にかわたしの後ろに東堂がいて、私の好きな人の話まで聞かれていたからだ。
「ととととととと、東堂!」
「じ、尽八いつからそこに居たんだ?」
「”恋愛って難しいね”」
よ、良かった。
「ていうかお前、好きなやついたのか!?」
「えっ」
「そうかそうか!恋愛で悩んでいるのだな!恋愛の事なら箱学一の美形、東堂尽八に聞くがいい!ワッハッハッ!」
お前の事で悩んでんだよォォォォ!!!
なんて、誰も突っ込めなかった。
好きな奴って誰の事を言っているのだ?
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