オレは今物凄くウキウキしている。何故かって?理由はそう、明日はバレンタインデーだからだ!恋人の名前に、手作りチョコを貰うのが楽しみで仕方ない。

「ごめん東堂、私お菓子作りとか苦手なんだよね」
「えっ」

しかし、そんなオレの期待は散った。それってつまりあれだろ?明日作ってきてはくれないということだろ?嘘だろ、名前・・・。

「あー・・・でも代わりになんかプレゼントするからさ。ね?」
「・・・」
「何が欲しい?あ、グローブとか?新しいグローブとかどう?」
「オレは・・・名前からの手作り以外受け取らない」
「え?」

それだけ言って、オレは部活に向かった。・・・最悪だろ、餓鬼かオレは。手作りを貰えないからと言って、何もあんな態度とらなくてもいいだろ。

「・・・はぁ」
「どうしたんだ?尽八。溜息なんかついて」
「バァーカ新開。聞くんじゃねーよ面倒くせぇ。どうせ苗字と喧嘩でもしたんだろォ」
「喧嘩ではない!!!」
「うおっ、っるせーなァ!!いきなりでけぇ声出すんじゃねーよ!」

心配してくれる隼人に対して、荒北は興味なさげだ。それに、面倒だと!?

「何があったんだよ、尽八。オレで良かったら相談乗るよ」
「隼人・・・実はな・・・」

オレは先程あったことを隼人と荒北に話した。

「それでオメー、そのままなのォ?」
「仕方ないだろう!それだけショックだったのだよ!」
「そりゃねーぜ、尽八。苗字が可哀想だ」
「うぅ・・・」

結局、今日の練習は不調だった。名前とも顔を合わせられずに、部活は終わった。


_ _ _ _ _



「オレは・・・名前からの手作り以外受け取らない」

それだけ言って部活に行ってしまった東堂の事が頭から離れない。部活中も、一切顔を見ることが出来なかったし、東堂も私を見ていないと思う。やっぱりバレンタインなんだから、不器用でも手作りチョコを渡すべきなのかな・・・とは思うけど、失敗したお菓子を渡すより物とかそういう物を渡した方が良いと思ったからそう言ったんだけど・・・あー・・・どうしよう。

「・・・一応、材料は買ってきたんだけど」

この時期は食堂のおばさんたちに許可を得て、女子は厨房を使わせてもらっている。それに混じって、皆に教えてもらいながら頑張ろう。夕食が終わって、厨房に行けば既に寮の女子が沢山いた。男子は女子に来るなと脅されているので誰一人としてここに来ることは無い。・・・この中に、東堂ファンクラブの子もいて、きっとその子達の方が美味しいお菓子を作れるんだろうな・・・。

「あー・・・だめだ、頑張ろう」



何で私はこんなに不器用なのだろうか。・・・いや、料理は出来る。ただ、お菓子作りが苦手なだけだ。料理では包丁で手を切ったことなんてないのに、何故かチョコを刻むのに手を切ってしまったしチョコを溶かすのに火傷してしまったし・・・手が絆創膏だらけだよ。

「よし・・・あとは固まるのを待つだけ・・・」

型に流し込んだチョコレートを冷蔵庫に入れて冷やして少し待つ。固まっただろう頃に取り出せば、何とかできた生チョコ。あとは切るだけ。

「・・・あ゛あ!!」

しかし、ここで失敗する。形が崩れてしまった。最悪だ、やり直そうかな?・・・って周り皆いなくなってるし!!!・・・仕方ない、これで渡そう。

ココアパウダーを塗して、ラッピングをした。明日はファンクラブの子から貰うので忙しいだろうけど、がんばって渡そう。そして、謝ろう。





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