「ロッカーの整頓が終わったのでローラー磨きに入ります」

「おお、しっかり磨けよォ」

「はい!」

「あァ?真波の奴箒持って戻って来たが、なんだあの掃き方はァ?全然なってねーなァ」

『母ちゃんみたい』

「っるせーよ!!!オイ真波!全然埃集まってねーぞォ!」

「あはは、難しいですねーコレ」

「あはは、じゃねーよ!どこが難しいンだよこんなモン!貸せバァカ!こうやるんだよ!」


サッサッサッ


『なんか笑える』

「おおー、荒北さん箒上手いですね」

「箒に上手いも下手もねーヨ!!っつーか苗字テメェ後で覚えてろ」

『ゴメンネ』

「あははっ。あ、でも集めた埃ってどうすればいいんですか?」

「外に掃き出すに決まってんだろーがァ。こうやって」

「おお!床綺麗になりましたね」

「ったりめーだァ、埃全部外に出したからなァ!・・・って、あ?」

「床の掃除、終わりましたね」

「結局オレがやってんじゃねーか!!」

『まんまと真波の作戦にハマったね』

「アブアブアブアブアブアブアブアブアブアブ!!」

「おお、またアブアブアブアブ言ってやがんのかァ泉田は!?その掛け声なんとかならねーのかァ!?・・・でもちゃんと磨いてる様だなァ。ピカピカに光って・・・いくらなんでも光すぎだろ。しかもよく見るとこのローラー・・・細くなってねェか!?」

「はい、全ての無駄を削ぎ落として鋭い一本の槍になる様に紙ヤスリで磨いていますから!」

『なにやってんの!?泉田バカなの!?部費管理するマネの気持ちも考えて!?ダメになったらどーすんの!?』

「おおう・・・言うじゃねーか苗字」

「で、でも、スプリンターというものはですね」

『スプリントじゃないから!!掃除だから!!そんなバカな事するの泉田だけだから!!』

「僅かな無駄も削ぎ落としたい・・・この気持ちは、スプリンターでないと分からないんだァァ!!」

『分かりたくないわ!!』
「分かりたくねーよンなモン!」

「アブゥ・・・」

「やすりは使うな!雑巾で磨け!」

「はい・・・」

「ったく、東堂は流石に大丈夫だろうなァ?」

「終わったぞ」

「うわ、キッチリ並んでるな」

『流石だね東堂』

「頻繁に使うものを手前に並べておいた。こうしておけば、散らかりにくいのだよ」

「美しい!芸術ですね」


カシャッ カシャッ


『えっ』

「携帯で写真撮ったんですか?」

「うむ!巻ちゃんに送るのだ」

「向こうも迷惑だろォ。こんなモンの写真送られても」

『うわあ、巻ちゃん迷惑だよ絶対』

「そんな事はない!!!ライバルの様子というのは常に気になるものだよ!!」

「機材の写真は関係ねーだろォ!!」

「東堂さんの自転車も写真に写る様にすればいいんですよ。・・・こうやって・・・これでちょっとは雰囲気出るんじゃないですかね?」

「対して変わんねーよ」

『下汚さないでよ』

「オメー掃除してねぇくせに偉そうに言ってんな」

「グッドアイデアだな、真波!」


カシャッ カシャッ


「東堂さんが一緒に写ってたら、もっといい感じだと思いますよ?」

「そうだな。巻ちゃんにオレの勇姿を見せつけてやろう!真波、シャッターを頼む」

「はい」

「名前、オレの隣に来い」

『え、やだよ』

「いいから早く来い!」

『・・・はいはい』

「何なんだこいつら」

「よしっ、この、尽八スペシャルポーズでいこうっ!今だっ、撮れっ、真波!」

『私いる意味なくね?外れていい?』

「だめだっ!」

「あー、すみません!もう少し後ろに下がってください。そこだと全身入らないんで」

「お?こうか?」

「オイちょっと待てェ!!」

「後ろ棚です!!」

『ええっ!?』


ガタァンッ ガッシャーン


『・・・最悪』

「・・・遅かったか」

「落としやがったァ・・・」

「オイル缶が床に・・・」

「棚の最前列にオイル缶を置いたからな。落ちるとしたら真っ先にこれが落ちる」

『当たり前の様に言わないで?あなたのせいですよ?』

「床、オイルまみれになっちゃいましたね」

「落ち着き払ってる場合かよ!?」

「また掃除すればいいだけの話だ。時間はいくらでもある」


pi pi pi pi


「・・・んがぁ!?・・・お、おう、オレだ!おう、完璧だぜェ・・・オレに任しときゃこんなもんよ・・・あ?ナニィ!?いや、いやいやいや何でもねーよ。お、おう、分かった」


ピッ


「電話、福富さんからですか?」

「おう、ミーティングが思ったより早く終わったから、今から学校来るっつってた」

『あーあ・・・』

「おおそうか!良かったじゃないか!ワッハッハッハッ!」

「良かねーよ!?どーすんだよコレェ!?フクちゃァァァァァん!!!」



end.

/
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -