「いままで雨続きだったくせにこの快晴・・・」
雨だったら中止ということになっていたのだが、天気は快晴。いままでの雨が嘘のようだった。
「はぁ・・・なに着て行こう」
楽しみじゃなかったわけではない。嫌なわけでもない。・・・ただ、緊張する。飲みの場とは違ってアルコールは入らないし、仕事と違って園児もいない。どう接していいか分からない。
集合時間は10時。いまは8時30分。
「支度しよ・・・」
洗顔して、朝ごはんをたべて化粧を終えたくらいになって携帯が鳴った。相手は名前@から。
「・・・もしもし?」
「もしもし名前A?私もう支度終わったらそっち行っていい?」
「ん、いいけど」
「じゃあいまから行くね!」
電話が切れて5分、ガチャッと音がして玄関が開けられたと思えば当たり前のように入ってくる名前@。5分て・・・絶対向かいながら電話してたな。
「はい、名前A」
「・・・なにこれ」
「どうせ名前Aじゃあデートらしい服着てこないと思って・・・ジャーン、ワンピース持ってきました」
「・・・」
「どうせスキニーパンツはくつもりだったんでしょ?はい、これロングだから大丈夫着てお願い」
無理矢理私に渡してきたマキシ丈のワンピース。丁寧にカーディガンまで私のクローゼットから勝手に引っ張り出してきてるし。
「私それ脚の長さが足りなかったらあげる」
「身長小さいとこういうの着れないから可哀想だね」
「嫌味!?」
「・・・まぁ、ありがと」
お礼を言えば嬉しそうに笑う名前@。化粧も終わらせたし、そろそろ家を出よう。待ち合わせ場所は遊園地。
「あ、いたいた」
待ち合わせ場所に行けば、既に待っていた荒北と東堂。前はパーカーにジーンズといったラフな格好だったけれど、今日はいつもと違ってお洒落な雰囲気がでている。(東堂は眼中に無い)
「・・・っ、おせーヨお前ら」
「(名前A見て顔赤くしてるよ)待ち合わせ五分前に来たから遅くは無いと思うんだけど・・・」
「いいではないか。行くぞ」
入り口でチケットを渡して中に入れば、家族連れや恋人達で賑わっていた。
「あ ひとつ言っておくね」
「む?どうしたのだ?」
「私、絶叫無理」
「・・・」
「・・・」
「・・・いいだろ、今日で克服しろ」
「え゛っ」
私も無理だったけど、名前@程ではない。名前@は顔面蒼白になっているが、折角来たんだから仕方ない。頑張って乗ってもらおう。まずは小さめのジェットコースターから。
「ギャァアアアアアアアアアアア」
と、いうものを想像していたのだが。
「う・・・っ」
「な、泣くな苗字@」
実際は静かに泣いていた。
「ぶっ・・・ぐふ・・・」
「荒北、笑うの我慢しなよ」
「だってよォ・・・ブフッ」
私も本当は笑いたいけど、そこまで鬼畜じゃないから我慢している。・・・吹き出しそうだけど。
「大丈夫か、苗字@?」
「う、うん・・・」
「荒北、飲み物を買って来てくれるか?」
「ったく、わーったヨ」
「私も行くよ」
咄嗟に言ってしまったが、二人きりになるってことだよね。けど、今更断れないし・・・。仕方なく、そのまま荒北の飲み物を買いに行った。
「オレはベプシィ、東堂はブラックコーヒー、名前Aはァ?」
「私は微糖コーヒー」
「苗字@アイツ何飲むンだヨ」
「炭酸系かな?」
「プァンタでいいだろォ」
ガコンッ
「ほらヨ」
「ありがと」
飲み物を持って戻ってみると、東堂と名前@の顔が何故か赤かった。
to be continude
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