「えーーん!!!!」
「どうしたの、りえちゃん」
季節は梅雨。お外遊びが一番好きな園児にとっては地獄の季節がやってきた。月曜から今日、金曜まで続けて雨だった。外は土砂降りなので、DVDを観るかお歌をやるかお勉強をするか室内で遊ぶというローテーションしか無い為に園児は不機嫌な子ばかり。その為か、園児同士の揉め事が絶えない。私達でも、大変だったりする。
「どうしたのだ、りえちゃん」
そんな揉め事をすぐに解決できる男がいた。
「とーどーせんせー!!!」
東堂だ。東堂が来ると、女の子たちはすぐに仲直りする。女の子のお気に入りの先生は、なんだかんだ言って東堂だからね。男の子同士だったりすると、荒北の方が良いんだけど。ってあれ?りえちゃんて真波くんが好きだった様な。先生の中では東堂が好きってやつか。
すぐに解決したのか、りえちゃんはもう笑顔になっていた。まぁ、東堂が来てくれた時点で笑顔になっていたけど。
「とーどーせんせーすきー!」
「ワハハ!!ありがとう!」
「とーどーせんせーはみおの!!」
「カナのだもん!!!」
「心配するな、先生は皆のものだからな!」
あれ?カナちゃんは新開くんが好きなんじゃないの?あれれ?おかしいな。東堂めっちゃ嬉しそうだし、なんだあのドヤ顔は。
「見ててイライラするね」
「まああの満足そうな顔はイライラするよね」
「ヒュウ!名前@せんせー、やきもちか?」
「新開くんは、どこでそんな言葉覚えて来たのかな?」
「急に呼び出して悪かった」
「ったく、ンだよ急に」
「四人を呼び出すなんて珍しいな」
園児を帰した後、職員会議をしてから急に用があると金城園長に呼び出された。
「これを渡したくてな」
「あ?」
「む?・・・遊園地の無料チケット?」
「嫁に貰ったが、生憎その日は行けなくてな」
荒北に渡された四枚の紙は、遊園地の無料チケットらしい。しかも、最近出来た人気の遊園地。
「え、いいんですか!?貰っちゃって」
「ああ」
「・・・待て金城ォ、これ・・・」
「ああ、四人で行ってこい」
「・・・」
マジですか、金城えんちょー・・・
私達は皆、固まった。いきなりそんな事言われても・・・意識し出したばかりだし。ていうか好きって分かっちゃったんだよ。
けど結局、日曜日は遊園地に行くことになってしまった。
to be continude
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