一週間が経過した。実習生からの軽い嫌がらせは、彼女達の心に余裕が無くなったらしくパッタリと無くなり、荒北や東堂に構ってもらう余裕すら無い様に見えた。荒北も、何故か私に構う様になった。何故かは分からないけれど。


「今日で先生達とはお別れです」


私の言葉に、少しだけ寂しそうにする園児たち。最後の外遊びに、皆黒原さんと杉本さんに寄ってたかった。


「せんせーあそぼー!」
「せんせーはわたしとあそぶのー!」「おやまつくりましょ!!」


私が言われているわけでもないのに、可愛いな なんて思ってしまっている。名前@も荒北も東堂も優しく笑いながら園児たちを見ていた。


「嬉しそうだね、あのふたり」

「はじめて可愛いらしい笑顔見たかも」

「あはは、私も」


二人の笑顔はとても嬉しそうで、だけど少しだけ寂しそうで。年相応の笑顔で、可愛いと思ってしまった。






「今日までご苦労だったな」


園児達が帰ったあと、金城園長と私達四人、そして黒原さんと杉本さんで職員室に集まりこれまでの反省などを話した。金城園長は沢山褒めてくれて、どこが嬉しそうな二人。来週からはまた私達四人になるのか。


「お前達が先生になるのを楽しみにしている」





ガチャッ


「二人ともお疲れ様」

「頑張ったね」

「・・・ありがとうございます」


更衣室に入って、さっそく褒めればツンとしながらもお礼を言う二人。


「・・・あの」

「ん?」

「・・・今まで、すみませんでした。私達には荒北先生や東堂先生が見向きもしてくれない事が分かったのでもうああいうことはしません」

「・・・あはは、なにそれ」

「気にしてないよ、私達は」

「寧ろ感謝してるかも」


黒田さんと杉本さんは暫く目を点にしたあとに顔を合わせて笑った。


「頑張ってくださいね」

「まぁ、私達が言うまでもないと思いますけど」


なにを言っているか理解し難いが、多分、荒北や東堂の事だと思う。・・・まさか、こんな若い子達にバレていたなんてね。


「一週間お疲れ様」

「ありがとうございます」

「また機会があったらよろしくね」

「はい」


二人を門まで送って別れた。


「なんだかんだ言って楽しかったね」

「あの子達のおかげで、色々分かったこともあるしね」


分かったこと・・・ーー荒北の事が本気で好きなんだと気付けた。今まで嫉妬したことなんてない。それが、この一週間絶えず嫉妬していた。おかげで名前@も自覚できたみたい。


「アイツらもう帰ったのォ?」

「荒北・・・うん、帰ったよ」

「最初はどうかと思ったが、良い子達だったな」

「うん」


来週からまた、この四人で園児達を見ることになる。仕事の他に頑張ることが出来た。それでも、恋愛に現を抜かして仕事が出来なくなるなんてことはしたくないけれど。


「よし、飲み行くか」

「いいね!行こう」

「オレ達も頑張ったからなァ」

「そうだね」


今日は目一杯飲んで、来週からまた頑張ろう。



to be continude


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