苗字@が怒って教室から出て行ってしまった。本人は怒っていないと言っているが、怒っているだろう、あれは。苗字@はオレの気になっている人・・・つまり、好きかもしれない人だ。オレは今まで恋愛をしてきたことがない。彼女はいたが、好きにはなれなかった。苗字@は他の女子と違ってオレに媚びない。最初は変だと思った・・・けど、日に日に気になっていた。オレに冷たく当たったりもするが、怒ったりなんてしなかった。そんな苗字@が怒っている。何故?オレが何かしたのだろうか。


「東堂先生?」

「え?・・・あ、ああ。何だね?」


オレが考え込んでいることを不審に思ったのか杉本さんが話しかけてくるが耳に入らない。その後待っても、苗字@は帰って来なかった。







「「ハァ・・・」」

「!?ど、同時に溜息をつくな!」

「オメーが被ってきたんだろォ!?」


園児や実習生が帰って更衣室で着替えていると、苗字@の事が頭に浮かんでついため息が出てしまった。そして、オレと同時にため息をつく荒北。


「何ィ?苗字@と何かあったのォ?」

「あ、荒北こそ苗字Aと何かあったのか?」

「・・・」

「・・・」

「飲み行くかァ、東堂」

「そうだな」


荒北から飲みに誘うなんて珍しいと思ったが、荒北も苗字Aと何かあったのだろうな。






「へー、珍しいんじゃナァイ」

「だろう!?で、お前はどうなんだ荒北」

「・・・機嫌悪ぃ」

「・・・む?何だそれだけか?」

「オレがそれだけならオメーもだろうが!!」

「だいたい荒北、お前はそんな小さい事を気にする男だったか?」

「オメーもな」


お互い同時にため息を吐いた。オレ達はこんな小さな事をいちいち気にする男では無かった。荒北は恋愛に対しては冷たかったし、オレもそうだ。好かれていても一定の距離を保った。相手には興味は無かった。なのに、こんな小さな事を気にしている。恋人でもないのに、だ。


「変わったなァ、東堂」

「お前もだろう荒北」

「どーにかしねーとなァ」

「そうだな」


明日、謝ろう。・・・とは思うが実際何を怒っているのかさえ分からない。そんな状態で謝れば苗字@は余計に怒ってしまうだろう。






翌日


「苗字@」

「・・・あー・・・おはよ」


名前を呼ばれた苗字@は、オレを地チラっと見てすぐに顔を反らされてそのまま更衣室に入って行ってしまった。ここまでは予想していたが、実際やられると傷つくな。オレはもう着替えてあるから出てくるまで待つか。


「苗字A、お前なんか怒ってんのォ?」

「!?」


廊下の角から荒北の声がして、こっそり覗いてしまった。そこには荒北に腕を掴まれている苗字A。苗字Aの顔は少し焦っている。・・・いいではないか、お前ら両想いだろ。


「怒ってはいない・・・けど」

「んだよ」

「ただ・・・やっぱいい、なんでもない。もう大丈夫、冷たく当たったりしない。ごめんね荒北」

「あ!?お、おう」

「荒北の事嫌いとか、そういうのじゃないから」

「・・・あー、そうかよ」


照れ臭そうに頭をかく荒北。見て損した、戻ろう。戻ったと同時に開く扉。オレの存在に気付いた苗字@はギョッとしていた。そうだろうな、まさかオレがまだここにいるなんて思わないだろ。


「なに」

「・・・昨日、怒っていた理由を聞きたくてな。理由が分からんとオレも苗字Aに謝れない」

「分からないならそのままでいいんじゃない?」

「ならんよ」

「・・・はぁ」


諦めようとしないオレに、苗字@はため息をついた。


「東堂が・・・・・・」

「む?なんだね」

「だから!!!東堂があの子のペースに飲まれてるのがいやなの」

「・・・へ」

「し、嫉妬とかそういうのじゃないからね!?ただ、それだけ!!じゃあまたあとでね!!!」


頬を赤くした苗字@は、そのままオレの横を通り過ぎて走って行ってしまった。・・・嫉妬だろう、苗字@。オレが実習生にばかり構ったりするから、嫉妬、してくれたのだろう。自惚れてもいいのか?多分、オレが良いように解釈しているだけかもしれんが。まあいい、これできっと解決し・・・いや、ならんね。オレは苗字@に謝っていない。きっと嫌な思いをさせたと言うのに。このままではいかん。


「苗字@ーーーーーーー!!!!」

「な、なんで追いかけてくるのー!?!?」


to be continude


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