あの飲み会から、東堂が気になって仕方ない。あのあと、興奮して名前Aに電話をかけたら電源が切れていて、寝ているのかと思っていたが次の日の昼間に電話がかかってきて荒北の家にいたことを知らされて凄く驚いた。それで、自分も東堂にキュンとした話をしたんだよね。それから名前Aと出かけて、また飲んで、朝まで語っていてその次の日は潰れて、月曜は家で大人しくしていたけどなんだかんだ東堂の事を考えていて・・・今に至る。
「あ、金城園長おはようございます」
「早いな。この間の飲み会、行けなくて悪かった」
「いいんですよ、奥さんと仲良しなんですね?」
前日に早くに寝てしまって早くに目が覚めた私はいつもより早くに園に来てしまった。いつもは一番に名前Aに会うけど、今日一番に会ったのは園長先生。いつもこの時間に出勤しているのだろう。まだ私服姿のままだった。
「あ 他の皆が来るまで時間ありますし、何かやることありますか?」
「そうだな・・・飾り付けの制作を頼んでもいいか?」
「わかりました」
バッグとを更衣室に置いて、テレビのある部屋に入って冷房をつけて創作開始。夏が近づいて来ているので結構蒸し暑い。
ガラッ
「お前が朝一番とは珍しいな」
「っ!と、東堂!」
「む。なんだねその驚いた顔は」
教室の扉が開いて名前Aが来たのかと振り向いてみれば、そこにいたのは東堂だった。扉を閉めて私が作業しているテーブルへ向かって来た。
「オレも手伝おう」
「いいよ、もう終わるから」
「人の優しさは受け取っておくべきだぞ?それに、二人でやった方が作業も早く終わるしな!」
何と言ってもこの男は辞めないだろうと思い、手伝ってもらうことにした。小さなテーブルを挟んで、目の前に東堂がいる・・・緊張するに決まっている。
「あ、あの・・・」
「む?なんだね?」
「金曜日、送ってくれたじゃん?・・・東堂、家反対方向だよね・・・?」
「・・・」
バレていたというのに、驚きもしない東堂。
「な、なんでわざわざそんな遠回りしてまで送ってくれたの?」
「・・・ハァ。苗字@、お前は馬鹿なのか?」
「え」
「夜に女子を一人で帰らせる奴がいると思うのか?少なくともオレはそんな事はしねぇ。帰り道に何かあったらどうする?もしもそんな事があったら、オレは自分を恨むよ」
「・・・」
少しだけ、口調が荒っぽくなる東堂。怒っているのかと思ったが、そういう訳ではなさそうだ。
「けど、同じ方向だと言わないと、お前は意地でも送らせないだろうからな。ああ言えば送らせてもらえると思ったのだよ」
「そ、そっか、ありがと」
「礼には及ばんよ。だいたい、他の女子なら自ら送りを頼んでくるぞ」
「あー・・・美形だから?」
「うむ」
「ウッザ」
「ウザくはないな!」
ああ、凄いいい事言われていて胸が高鳴っていたのに最後の言葉で台無しだー。・・・けど、まだドキドキしているのは秘密ということで。
「はよー・・・って何してンのォ」
「おはよう荒北ー。夏用の飾り制作」
「お前も手伝え荒北」
「ふーん、頑張ってネェ」
「無視か!?」
荒北が教室の扉を開けて挨拶をして、手伝えという東堂を無視して扉を閉めて何処かへ行ってしまった。そのあとすぐに制作は終わり、そろそろ支度をしないといけないので東堂とはまた後でと別れた。
「あ、おはよう名前A!」
「おはよう。早いね」
タイミングよく名前Aも来て更衣室で着替えを済ませて教室へ向かった。
「せんせいー」
「・・・」
「せんせー!!!!」
「うわぁ!!は、はいィ!?・・・って、どうしたの真波くん」
「せんせい、どうしたの?ずっとぼーっとしてたよ」
「えっ」
お外で遊ぶ時間に、ぼーっとしていたらしい私は真波くんに呼ばれて戻ってきました。ああ、なにやってるんだ私は。しっかりしろ。
「ごめんね、真波くん。どうしたの?」
「おやまつくったの、みて」
「どれどれー?わ、凄い!っていうかおっきいねー」
「おっきいおやまのほうがかっこいいから!」
真波くんが作った山は結構でかかった。私の脛のあたりくらい。って分からないですよね。
「おお、凄いな真波!」
「あ とうどうせんせー」
「っ!」
ここで、東堂登場。やめてくださいさっきまであなたのこと考えてたんだから。
「苗字@、さっきまでボーッとしていたが大丈夫なのか?」
「へーき!!へーきだよ!!うん!!!」
「?ならいいのだが・・・無理はするなよ」
「うん!!!」
東堂さん、優しくしないでください。
惚れてしまいそうです。
to be continude
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