「かぎ、ない・・・」

「・・・マジかヨ」


東堂と苗字@と別れた後、苗字Aを家まで送って帰ろうとしたところでこいつの発言に足を止めた。鍵が無ェって・・・どーすンだヨ。


「んー・・・なんでー・・・」

「ちゃんと探してンのォ?」

「んー・・・」


・・・可愛い・・・じゃねーだろォ!!!どーすンだヨこれ。こんな状態じゃオレも帰れねーヨ。


「あらきたー・・・」

「あー・・・ウチ来る?」

「うん」

「はァ?お前、マジで言ってんのォ?」

「マジじゃないの?」

「マジかヨ・・・」


仕方ねェ、男なら覚悟決めろ荒北靖友。鍵がねーンだ、仕方ねェだろォ


「まだ歩けンのォ?」

「んー・・・むりー・・・おんぶ」

「っ、ったくよォ・・・おら」


オレが背中を向けて屈めば、苗字Aは直ぐに首に腕を回してきた。こりゃやべーなァ。・・・当たってるし。背おって立ち上がり、オレの家に向かう。


「あらきたー・・・」

「んだよ」

「寝ていい?」

「・・・いーよォ」


了承すれば、苗字Aはすぐに気持ち良さそうに寝息を立て始めた。ったく、こっちの身にもなれっつーンだヨ。


「・・・き」

「あ?」

「・・・す、き」

「!?」


吃驚し過ぎて落とすところだったが間一髪体勢を立て直した。何言ってンのこの子。・・・寝てる、よなァ


「・・・誰の事好きなんだヨ」


まさか東堂?いや、それはねーだろォ。他に友達で好きなやついたりすンじゃねーだろうなァ。


「ハァ・・・」


どーすりゃいーんだヨ。

苗字Aが明日まで起きない事を願いながら、帰路についた。






ブーッ ブーッ


「・・・っ痛ェ・・・誰だヨ」


朝、携帯のバイブで目が覚めて自分が床で寝ていた事に気付く。身体の節々が痛ェ。つーか誰だヨ

携帯の画面を見れば、【東堂尽八】の文字。通話ボタンを押して耳に当てる。


「・・・ンだよ」

「でたか!荒北、昨日はどうだったのだ?」

「はァ?別に何もねーヨ」

「進展ないのか?」

「ねーヨ!オレァまだ眠ィーンだよ、切るぜ」


ブチッ


「・・・寝よ」


ベッドに上がろうと振り返ったところで気がついた


「・・・ヤッベェ、忘れてたわァ」


昨日、苗字Aを家に連れてきていたことに。苗字Aは今だ気持ち良さそうに寝ている。起きたら色々とめんどくせェことになりそうだなァ・・・つーか、これじゃ二度寝できねーじゃねーかヨ。


「ん・・・」

「っ!!」


小さい声をもらして、もぞもぞと動く苗字A。思わず身体が固まってしまった。ゆっくりと瞼があがる。


「・・・よォ」

「・・・・・・え・・・荒北・・・?」


寝ぼけた目は一瞬で見開かれる。覚えてねーんだろうな


「ちょっと待って・・・なんで?」

「昨日、オメーが酔っ払って家まで送ってったんだヨ。そしたら鍵がねェとか言うから置いていくわけにもいかねーだろォ」

「・・・ご、ごめん」


申し訳なさそうな顔して直ぐに布団から出る苗字A。


「私、帰るよ」

「帰るっつっても鍵ねぇんだろ?どーすンだァ?」

「・・・鍵・・・なんで無いんだろ」


自分の鞄を漁って、たいして入ってない中身を出して探す苗字A。外ポケットの中に手を入れた瞬間だった。


「ごめん・・・あった」


鍵は鞄の外ポケットの中に入っていたらしい。


「帰るよ。・・・迷惑かけちゃったみたいでごめん。・・・ありがとうね」

「別に迷惑なんて思ってねーヨ」

「・・・うん、それじゃあまた」


そう言って苗字Aは家を出て行った。


「・・・つーか昨日の言葉・・・誰なんだヨ」



to be continude


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