「っ離して!」
「いいじゃんよー、オレらと遊ぼ?ね?」
「だから無理です!!」
目の前・・・程じゃねーけど、三メートルくらい先でナンパを始めるチャラチャラした男共。ナンパされてるのは苗字Aと苗字@。それを見てオレはすぐにその間に割って入った。
「おい」
「なァにしてンのォ?」
同時に東堂の声も聞こえて、多分、こいつも咄嗟に割って入ってきたんだろ。んだよオメーもうそれ好きなンじゃねーのォ?顔が整ってるやつ程、真顔で怒ると怖ェーな。
「なにってこの子達と遊ぼうとしてるだけだろ」
「あ?ワリィけど、オレの連れなンだよネ」
「嫌がっている女子を無理矢理連れて行こうとするなど感心せんな」
「っ、チッ、行くぞ!!!」
去って行く男を見て鼻で笑うが、内心イライラしていた反面焦った自分にも笑っちまうなァ。まさか、オレがこんな小せえ事気にするなんて。
「大丈夫かヨ」
「大丈夫、ありがとう・・・」
本当に大丈夫かァ?不安そうな顔しやがって。こいつがいねーところでナンパ男みたら一発殴りてー
東堂も苗字@の事を心配しすぎて、若干困ってんぞ。気持ちは分からなくは無ぇけど、オメーそれは心配し過ぎだろ。ったくよォ
「暗くなってきたな。そろそろ帰るか?」
「その前にあれ乗らねェ?」
オレが指差したのは、観覧車。三人もすぐにノッてきて順番待ち。こいつら、四人で乗る気満々じゃねーのォ?オレはそのつもり無ぇけど。
「次の方どうぞー!」
店員の声を聞いたオレは苗字Aの腕を掴んで観覧車の中に入る。
「カップルの方ですね!では、行ってらっしゃーい!」
「え、ちょっと、荒北!?」
「いーんだヨ」
目の前で扉が閉まれば、東堂と苗字@は驚いた顔してこっちを見てる。口パクで頑張れよっつってやったら、東堂は顔を少しだけ引き締めた。
「・・・本当に良かったの?」
「オレはオメーに話があんだヨ」
「話?」
告白するっつったけど、告白なんてした事がねぇ。その場のノリで「付き合うか」っつったことはあるけどよォ。好きになって改めて告白するなんて経験したことねーし。
暫く黙っていれば、もうすぐで頂上につきそうだ。
「あー・・・めんどくせェ」
「え?なに・・・っ!!!」
オレは目の前にいた苗字Aを引き寄せてそのままオレので唇を塞いだ。強引にしちまったから、拒まれるかと思ってたけど、苗字Aは抵抗しない。ゆっくり離せば・・・苗字Aは顔を赤くして驚いていた。
「え・・・あ・・・」
「オレ・・・好きなんだよネ、苗字Aの事」
「・・・うそ・・・」
「んなくだらねー嘘つくわけねーだろォ?」
「・・・」
おいおい、いつまで黙ってんだヨ
「・・・私も・・・」
「あ?」
「私も、荒北の事すき」
「・・・マジで言ってんの?」
「うん」
マジかよ?信じらんねぇ。付き合っていいってことだろォ?
「私、男の人の気持ちとか分からないけど、・・・それでもいいの?」
「あたりめーだろ」
「良かった・・・じゃあ荒北、よろしくね」
「・・・」
荒北、ね・・・。付き合ったんなら、やめてもいいだろォ、苗字で呼ぶの。
「荒北?」
「・・・とも」
「え?」
「靖友」
「(名前で呼べってこと?)・・・靖友」
「・・・名前A」
抑えきれねーから、思いっきり名前Aを抱きしめた。壊れちまうんじゃねーかってくらいに。
「・・・ヨロシクな」
ちらっと後ろの東堂を見れば、あまり話が進んでいるようには見えなかった。
to be continude
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