「ったく面倒くせェなァ、何でオレがこんな事しなきゃなんねーンだヨ」
私の今日の夕飯のペア、荒北は文句を吐きながら手を動かしていた。やる事はきちんとやるんだろうけど、口が悪い。怖いし、見た目も苦手。
「あのさァ・・・」
「なに?」
「オレ料理得意じゃねーンだヨ。何やれば言い訳ェ?」
料理当番は自分でメニューを決めて、買い物もして来なければならない。ここからスーパーまでは五分で着く。それを、苦手な、荒北と行かなければならない。
「夕飯のメニュー決めなきゃ」
「メニュー?」
「何が食べたい?」
「唐揚げ」
即答するあたり、唐揚げが好きなのね。唐揚げをメインにして適当に作ればいいかな。
「今まで料理したことある?」
「ねェけど・・・鈴木は?」
「クッ◯パッドに頼ってる」
「は?ンだよソレェ」
「知らないの?クッ◯パッド」
クッ◯パッド知らない人なんているんだ?東堂以外は料理出来ないみたいだし、男は料理しないのが普通なのかもしれない。
「めんつゆも神だよ」
「はァ?(・・・ンだヨそのドヤ顔)」
さて、買い物に行かなくちゃ。肌寒いだろうから、厚めのカーディガンを羽織って外に出た。秋だし、18時になると流石に寒いな。
「前にも言ったけど、お前ら性格も見た目もバラバラなのにどう仲良くなったンだヨ?」
「・・・・・・趣味が、合ったの」
「その間がすげェ気になるんだけどォ」
「詳しくは教えられない。・・・ついたよ」
スーパーについてすぐに買い物を済まして早く家に帰った。ヒAのバイトもあるし、早く作らなきゃいけないから。明日はヒAはバイト無い代わりにヒCがバイト。昼間だけど。
「はい、これ見て作って」
荒北に見せたのは【簡単美味しい味噌汁の作り方】・・・味噌汁も作ったことが無いらしい。けど、荒北はこういうのを見ればきちんと料理ができるらしい。他にもおかずを作って、あっという間に完成させた。思ったよりは時間がかからなかった。
「唐揚げ!!!!」
唐揚げに反応したヒAとヒB。唐揚げって結構誰にでも好かれる料理なんだ。皆で・・・っていっても御堂筋はいないけど、いただきますをすればあっという間に無くなる唐揚げ。ほとんど荒北が食べたんだけどね。
「荒北!唐揚げばかり食べていては栄養バランスがだな・・・」
「わーったヨ、うっせェな!!」
「オレはお前の為に言っているのだぞ!!だいたい、大会も近いというのに」
「大会?なにそれ?」
「ロードバイクの大会だ」
だから最近夕飯の後に走りに行ってるんだ。サークルか何かの大会かな。
「巻ちゃん!!トマトも食べろ!!」
「苦手なもんは苦手ッショ」
「そうそう、はいあげるよ東堂」
「おい!?」
ヒAと巻ちゃんがサラダに入っていたトマトを東堂の皿に移している。文句を言いながらも結局東堂は全て食べていた。
ガチャッ
「・・・・・・おかえり」
「・・・おォ」
食事を終えて下で一人でテレビを見ていたら、二時間くらい外に出ていた荒北が汗をかいて帰ってきた。ロードバイク乗って走ってたんだ。
「お茶出そうか?」
「頼むわァ」
どさっとソファに座る荒北を見て、冷蔵庫からお茶を出してグラスに注ぐ。
「はい」
「アンガトネェ」
お礼言えるんだ、初めて見たかも。
それ以上話すことが無かったし、気まずいので私はすぐに部屋に戻った。
to be continude
前 / 次