あきらさんはあんなこと言っていたけど、わたしには分かる、同じだから。人と関わることが苦手なんだと思う。本当はお腹、すいてるんだろうな。
コンコン
「あきらさん!あの、夕飯」
「・・・ボクゥ、いらん言うたやろ」
「でも・・・」
「ひつこいわァ、キミィが食べたらええやろ」
頑として受け取ろうとはしないあきらさん。扉すら開けてくれない。
「ここに置いておくよ!」
「邪魔なとこ置かんでくれる?」
「食べなきゃダメだよ」
「ボクゥの勝手やろ」
このまま粘ってもきっとあきらさんは出てきてくれないだろう。諦めて、ご飯を扉の横に置いて皆のところに戻った。
「・・・食べてない」
次の日の朝、手を付けられていない食事を見て、どれだけ頑固なのと言いたいけどそこは我慢した。ああ、勿体無い、折角東堂さんが作ってくれたのに。次の日の荒北さんとヒ@のご飯の時も、わたしのご飯の時もあきらさんは決して食べてはくれなかった。
「ヒC・・・食べてないの?」
「うん・・・」
「勿体無いし、ヒCがそこまで世話を焼く事でもないと思うよ?」
「そうだよ!ヒCちゃんが可哀想・・・」
ヒ@とヒBが心配して言ってくれているのは分かるけど、できる限りこれは辞めたくないなあ。きっといつか食べてくれるよね。捨て猫だってそうだもん。
今日のご飯は、ヒBと巻島さんと東堂さんが作ってくれた。ヒBと巻島さん、料理が苦手なのに一生懸命作ってくれたんだから食べてもらわないと。
コンコン ガチャッ
「またキミィか、何やの?」
「はい、これ夕飯だよ」
「いらん」
「・・・ヒBと巻島さんが一生懸命作ってくれ・・・」
「キミィ何なん?いらん言うてるんやから放っておいてくれへん?」
流石にわたしも今日は下がれなかった。人が一生懸命作ってくれたものを無駄にはできない。
「ちょっと、あきらさ・・・っ!」
ガシャーンッ
後ろを向いたあきらさんの腕が御盆に当たってそのまま御盆ごと下に落ちてしまった。急いで御盆に戻していると、あきらさんは「本当キモいわァ」と言って謝りもしない。
「オイオイなんの音だヨ」
「!お皿割れてるじゃん・・・って、ヒC手切れてるよ!?大じょ・・・」
「・・・ってい・・・最低だよあきらさん!!人が一生懸命作ったものを粗末にするなんて!謝る事もできないの!?」
「何言うてるん?キミィが勝手に落としただけやろ?」
「・・・っ」
「ヒCちゃんっ!?」
いてもたってもいられなくなったわたしは、その場からいなくなりたくて部屋に逃げ込んだ。あきらさん、本当なんなの・・・ただ人見知りなだけだと思ったら愛想も思いやりの気持ちもない。
「ヒCがあんな風に怒ってるところ、初めて見たかも・・・」
「ヒBも・・・」
逃げて来て三時間は経ったとおもう。どうして、あんな事言っちゃったんだろう。すごく後悔してる・・・どうしよう。謝りに行こうかな・・・
ガチャッ
「ヒC・・・ちょうど良かった。明日夕飯の当番頼める?ヒAまたバイトらしいから」
「うん、大丈夫だよ!」
「ありがとう。・・・手、大丈夫?」
「・・・うん、大丈夫」
「良かった。じゃあ明日頼むね。・・・御堂筋にも頼んでおいたから」
「・・・うん!!」
明日、ちゃんと謝ろう。
to be continude
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