王者箱学

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「以上の様な展開で、千葉代表は総北高校に決定しました」

「そうか。報告ご苦労だった」

「はい!失礼します」


予選の結果を報告した部員は、部室を出ていった。


「千葉は今年も総北ですか」

「な?俺の言った通りになったろ?」


まつげの長い男、泉田塔一郎の言葉にドヤ顔で高笑いする東堂。勿論慣れた皆はスルーである。


「んな事より、真波はどうした?」

「真波の野郎、一年のくせにミーティングすっぽかすとはいい度胸じゃねーかァ」

「あぁ・・・真波なら、どうせまた・・・」

「山に登ってるね」


私と東堂は山を見つめた。真波、とは自転車競技部の部員であり、一年のクライマー、真波山岳。遅刻癖とサボり癖があるのはマネージャーとしても悩みの種。まぁ、顔が可愛い不思議ちゃんだから私は許しているけど。


「燐!真波を贔屓するな!」

「してないよ。っていうか心読まないで」






「失礼します!東堂さん、そろそろ取材が・・・」

「東堂、あんたの大好きな取材・・・」

「あ、巻ちゃん?俺、東堂!どうだい?元気かい?体調はどうだね?湯上がりは髪乾かしてるか?身体暖かくして寝ろよ?」

【うるさいッショ!お前は母親か!?】

「ワッハッハッ、ではまたな、まーきちゃん」


ピッ


部員と一緒に部室に入ると巻ちゃんと電話していたであろう東堂は、いつもは長電話なのだが此方に気付いたのかすぐに電話を切った。


「東堂、取材始まるって」

「分かった」

「あの!いまの電話、巻ちゃんってひょっとして東堂ファンクラブの女の子ですか!?さすが東堂さん!モテモテですね!」

「(男の子なんですけど)」

「まぁな」


ドヤ顔で髪を整える東堂に若干引いている部員。ていうかお前否定しろよ。巻ちゃん東堂ファンクラブじゃないからね。いや仮に東堂ファンクラブの子と電話してたら携帯へし折るけどね。


「あ・・・あと、新開さんと泉田さんは何処に居られるか分かりますでしょうか?」

「あ、それは私が分かってるから私が行って来るよ」

「な!?他の男を燐が迎えに行くというのか!?ならん、ならんよ!」

「うざいよ東堂」

「うざくはないな!」


東堂が名前を叫んでいるのが聞こえるが、私は部員に東堂を任せてその場を去った。

どうせ、泉田はトレーニングルームで、新開はウサ吉の所だろう。






「お疲れ様〜。みんなかっこよかったよキメ顔」

「キメてるつもりねーヨ!!!キメてるのは東堂だけだろ」

「確かに」


取材が終わって、応接室から出た私はさっそくキメ顔をしていた皆を茶化す。


「来週はテレビの取材が入るらしいぞ」

「・・・あ、真波」

「またあいつか」


入り口から一年の真波が入ってくるのに気付き、皆足を止めた。


「取材で言えば良かったな。うちには問題児が一人いますってなァ・・・一年、真波山岳」

「あれ?」


キキッ


「遅刻だ真波。全員集合だと言ったろ」

「どうしたの?福富さん、荒北さん。皆揃って」

「取材だよ。昨日言ったろォ?」

「あー取材・・・ごめん先輩、そういうの興味無い」

「遅刻じゃなくて来る気無かったみたいだなァ」

「ったく・・・」

「じゃ、俺はこれで!」

「待ーて真波!」


通り過ぎようとした真波を止めたのは、東堂だった。


「はい?」

「取材の人が、お前の興味ありそうな事を言っていた。ここから20kmくらいの所にサイクルスポーツセンターがあるだろ?彼処で千葉代表が合宿張ってるらしいのだ!」

「千葉代表?」

「三年に面白い登りをする奴がいる。行ってこいよ、偵察」

「登り・・・!」

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