プロローグ
プロローグ
私立箱根学園高校の自転車競技部。私はここでマネージャーをしている。部活のメニューを終えた選手達に、タオルとボトルを渡す。
「燐、俺の登りは見たか!?今日も美しかっただろ!」
「あーはいはいカッコよかったよ〜。お疲れ様」
このうるさい男、東堂尽八は自転車競技部の副主将でありエースクライマー。そして、一応私の彼氏だ。
「また巻ちゃんに電話してるの?」
「巻ちゃんに電話をかけるのは俺の日課だからな!」
「無視されてるじゃん」
「む、無視ではない!気付いていないだけだ!」
東堂がパチンと携帯を閉じると同時に、目つきの悪い男ー・・・荒北靖友は口を開いた。
「もうすぐインターハイ予選だなァ。まァ、俺達シード校には関係ねーけどォ。なァ?フクちゃん」
「ああ」
フクちゃん、と呼ばれたこの男は箱学自転車競技部主将、福富寿一。
「千葉は何処か来るかな」
そしてこの男は、新開隼人。
「総北で決まりだろ」
「だが、何処が来ても・・・勝つのは俺達だ」
「インターハイかぁ。これが終わったら卒業だね」
「心配するな、部活が終わっても俺の登りはいつでも見れるぞ!」
「いや別に東堂の登りが見れなくて寂しくなるって意味で言ったわけじゃないんだけどね」
「そうなのか!?」
いちいち自信家で呆れてしまう。まぁそこも含めて好きなんだろうけど。
「インターハイ、今年も優勝してね」
「当たり前だ!なんていったって、この天才山神がいるのだからな!」
「私はマネージャーだから、東堂だけを応援する事は出来ないけど応援してるよ」
「本音を言えば、俺だけを応援してほしいのだがな」
「卒業したらね」
インターハイに向けて、これから部活はどんどん忙しくなるのだろう。寮生の私達は寮までの道を、二人並んで歩いて帰った。こうして帰れるのも、残り一年も無いんだなと思うと少し寂しいな。
「明日も頑張ろうね!東堂!」
「ああ!」
to be continude