※ ルイ様リクエスト作品
※ 高校三年生



「好き」
「・・・え」
「・・・なんてね!!嘘だよ!」

言った後に、すぐに焦っちゃって彼の驚いた顔を見て咄嗟に出た言葉がこれだった。

「ー・・・ワッハッハ!日頃から告白され慣れているオレでも吃驚したぞ!」
「あはは〜ごめんごめん!」

必死に笑ってるけど、実際は笑えない。やっと好きな人に告白出来たのに、結果がこれだもん。

「・・・本気になるだろ」
「・・・えっ?」
「ワッハッハ!冗談だ!」

一瞬の東堂の真剣な顔に、「やり返した」なんて笑う東堂に胸が締め付けられた。

「こ、告白の予行練習みたいな!ほら、東堂なら告白され慣れてるじゃん」
「まーな!!・・・というか苗字、好きな奴、いたのか?」
「好きな人くらいいますー」
「そ、そうか!そうだよな!」

今日はこうやって誤魔化して、無理にだけど笑っていられたけど。私は1日でも早く東堂にこの気持ちを伝えたかった。思えば好きになって二年になる。本人が自画自賛するくらいに美形で、女の子に人気の高い東堂は告白されても断られるで有名だった。いくら可愛い子に告白されても、首を縦には振らない。そんな東堂に一般的な顔な私が告白して叶うわけがない。それに、告白して断られたらもうどうやって関わればいいのかも分からなくなる。それが嫌で今まで告白出来なかった。でももう三年生。数ヶ月で卒業。気持ちを伝えずに別れるなんて、無理だった。明日は・・・明日は絶対に好きだって言う。練習とかじゃなくて、本当の気持ちを。


いつもより丁寧に少しでも可愛くなれるようにお化粧して、いつもはしない髪型で。服装を整えてから家を出た。

「名前、今日めっちゃ可愛いよ!」
「本当!?ありがとう!」

友達に会えば、さっそく褒められて気分がいい。けど、昨日の事を聞かれて正直に答えたら、凄く怒られた。

「で、今日もその予行練習付き合ってもらうわけ?」
「うん・・・で、でも!その後ちゃんと告白するつもり!」

あの後、告白の予行練習に付き合ってくれるという東堂の言葉に首を縦に振ってしまった私は、今日も告白の予行練習をする事になった。でも、それが終わったら本当に告白しようと思っている。

「頑張りなよ」
「うん、頑張る」

予行練習は放課後。今日の授業は昨日同様集中出来なかった。頭の中はずっと東堂の事ばかりで、緊張してそれどころではなかったから。気付けばもう放課後のホームルームで、先生の言葉で生徒達は一気に教室から出て行った。東堂は部活があるから、時間は少ししかない。

「東堂、ここじゃあれだから・・・」
「そうだと思って、予め先生にこれを貸してもらっているのだよ」
「・・・準備室の鍵?」
「うむ、あまり使っていない準備室の鍵だ!物置にしたいと頼み込んだらすぐに貸してもらえたぞ」

流石自転車競技部。それだけの成績を収めてれば、先生も納得するよね。私と東堂は準備室へ向かった。東堂のファンに遭遇せずに、騒がれる事なく準備室についた私達は途中で誰かが入ってこない様に中から鍵をかけて予行練習をした。練習なのに、今でも一回一回好きというのは緊張する。

「東堂、ありがとうね。もう、予行練習はこれで最後にする」
「そうか。・・・告白、頑張るのだぞ」
「うん、ありがとう・・・」

東堂が、それじゃあと言って準備室から出て行こうとした。今、止めなければもうチャンスは無い。

「待って!」
「・・・苗字?」

東堂を引き止めてから、すぐには言えなかった。暫く沈黙が続いた後に東堂に名前を呼ばれて口を開いた。

「好きなの・・・東堂が好きなの」
「・・・それは、練習か?それとも・・・」
「本当だよ・・・ずっと前から好きだった」

顔を上げるのが怖かった。きっと、呆れている、そう思って。

「顔をあげてくれ、苗字」
「・・・っ」
「オレも、前から好きだった」

東堂の言葉が暫く理解出来なくて、理解できた時には東堂に抱きしめられていた。なんて言えばいいんだろう、幸せ過ぎて言葉に言い表せない。

「・・・私でいいの?」
「お前がいい」
「っ、よ、よろしくね」
「こちらこそ」

その後二人で手を繋いで、笑って東堂の部活に向かった。帰りに一緒に帰るなんて高校生らしい事は出来ないけど、好きな人ならこうやって部活に送りに行けるだけで幸せなんだと、こんなに笑顔になれるんだと知った。



end

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