「燐ちゃんから電話がくるなんて、及川さん嬉し・・・」

「で?練習試合ってどういうことかな?徹くん」

「そんなの燐ちゃんに会いたいからに決まっ」

「そういうのいいから。しかも、影山飛雄を正セッターにするならって・・・影山と何かあったの?」


部活から帰宅した私は、真っ先に徹くんに電話をかけた。


「・・・燐ちゃんには敵わないなぁ・・・飛雄は俺の中学の時の可愛い可愛い後輩だよ」

「それだけじゃないでしょ?」

「うーん・・・言わなきゃだめ?」

「・・・言いたくないなら言わなくていいよ。どうせ、天才は嫌いみたいなかんじなんでしょ?」

「わーお、さすが俺の燐ちゃん」

「まぁいいけど、私の後輩あんまり苛めないでね」

「燐ちゃんに庇われて益々嫌いになりそう」

「めんどくさ!!」

「燐ちゃんが好きって言ってくれたら、優しくしてあげるかも」

「あーはいはい好きだよー」

「うわっ、適当」

「うるさいなぁ、早くご飯食べてお風呂入って寝なよ」


じゃあね、と言って私はいつも通り一方的に電話を切った。






「日向、大丈夫?」


練習試合当日、緊張にやられている日向はいつもみたいに元気が無かった。


「日向、食いもんやるぞ!・・・え、お前なにその顔!?」

「ちょっと昨日眠れなくて・・・うっ、ま、窓っ、窓開けてもいいです・・・おぇええ」

「ああああああああああああ!!」


日向は田中の股間に嘔吐した。






「す、すみません!!田中さんすみません!!」


青城についてバスから降りた日向は、田中に謝り倒す。


「いいっつってんだろうが。そんな事よりお前は大丈夫なのかよ?」

「はい・・・途中休んだし、バス降りたら平気です」

「そうか!ならいい。今日の試合はお前の働きにかかってるからな!三対三のときみたく、俺にフリーで打たしてくれよ!」

「ちょ、田中!!」

「プレッシャーだめ!」

「え、何すか?」

「が、ががが頑張り・・・ぐぅ・・・と、トイレ行ってきます!」

「上の次は下か!忙しい奴だな!」

「大丈夫かな日向」

「あいつまた・・・情けねーな!一発気合入れて・・・」

「何言ってんのお前!?日向はそういうの効くタイプじゃないだろ!」

「やってみないと分かりませんよ!」

「田中!この単細胞抑えろ!」

「はぁ・・・」






「なぁ、今日来る烏野ってさぁアレがいるとこだろ?」

「・・・」


一人先に歩いていた私は、偶然青城の人が烏野を噂しているのを聞いてしまった。


「あれ?」

「コート上の王様。お前、出身中学同じだろ?金田一」

「ああ、影山ッスか?別に対した事ないッスよ。確かに個人技は頭一つ抜けてましたけど、チームプレーってもんが根本的に向いてないんスよ。あいつ自己中だから」

「へー・・・まぁ行った先が烏野だしな。昔は強かったのか知らんけど、烏野っつったらマネが二人共美人って事くらいしか覚えてないし」

「マジすか!?」

「そうなのよ。ちょっとエロいかんじでさぁ、もう一人はドS王女!みたいな!あ、あとそういえば柄の悪い奴いたなぁ。坊主で目つき悪くてさ、頭悪そうな顔したー・・・」


ドS女王とか本気でやめてほしい。なにを見られたんだ私は。田中を締めているところ?それしか考えられない。最悪だ。


「ふーん」


あ、田中。


「「!?」」

「あ、えーと・・・」

「ウチをあんま舐めてっと・・・食い散らかすぞ」

「そんな威嚇しちゃダメですよ田中さ〜ん。ほら、エリートの方々がビックリしちゃって可哀想じゃないですか〜」

「別にビビってねーよ!」

「おう、そうだなぁ。虐めるのは試合中だけにしてやんねーとなぁ」


そろそろ止めに入ろうか。と思ったら澤村先輩が走ってやってきた。


「お前ら!ちょっと目離した隙に!」

「ゲッ」

「失礼しました!!」

「あ、いえ・・・」

「田中その顔やめろ!」


謝った田中達はその場から去ろうとしたが、一人が影山に話しかけた。


「久しぶりじゃねーの、王様。こっちでどんな独裁政権強いてんのか楽しみにしてるわ」

「・・・ああ」


あの話ぶりからして、昔のチームメイトだろう。いつもみたいに突っかかりもせずにそれだけ返事して田中達の元へ行く影山。少しだけ変わった気がする。そりゃあそうか。

影山は昔みたいに、王様じゃなくなったからね。完璧じゃなくても。






「で、デカイ・・・!体育館も人も・・・!」

「挨拶!!」


此方が挨拶をすれば、すぐに青城側も返してくれた。・・・これが、徹くんが纏めているチーム。部活中だし、岩ちゃん先輩に話しかけるのはやめておこう。


「守備も攻撃も、全員の能力が平均して高いのが青葉城西だ。他所行ったら何処でもエース張れるような奴が揃ってる」

「ブロック強力で有名だしな」

「どうしたんスか二人とも!それ引っ掻き回すための日向じゃないッスか!な?ま、お前が下手くそなのは分かってるから、カバーは任せろ!」

「!」

「あ、でもサーブ打つときだけは一人だからな!ミスんなよ」

「!」

「ハッハッハッハッ、冗談冗談。サーブミスくらいなんてことねぇ!お前はなにも心配しないでガンガン・・・あれ?日向何処行った!?」

「トイレ行ったよ」

「またかよ!?」






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