私が異世界からきたことについて説明するときにスマフォ・・・携帯を見せた。
某リンゴ会社のスマフォを使っている私。
ティルさんはそれを見て興味津々で、私は
「よかったら貸しますよ。あ、でも電池の減り早いので気をつけくださいね」
と言うと凄く嬉しそうな顔をしてありがとうと頷いた。
この頃はああ、天使の笑顔だ・・・とか思ったんですけど
今じゃ貸したことに後悔しています。
暇だったのでルックくんにちょっかいを出しているとティルさんがやってきた。
その瞬間ルックくんの顔が嫌そうな顔になる。
「楓、今いいかな?」
「はい、ティルさん。」
「これありがとね」
にっこりと笑顔でスマフォを返してくるティルさん。
ああ、と私はそれを受け取って
「電池なくなっちゃいました?」
「ううんまだある、と思う」
携帯充電器があるからいいけど、それも限界があるのでいつかはこの携帯も使えなくなるだろう。
ティルさんに充電したらまた使います?と聞くと
「んー?満足したからいいかな。ありがとう」
今日は珍しく手を出してこないティルさん。
まあこんな日もあるか、と思っていると「執務残ってるからまた後で相手してあげるね」とか言ってきやがった。
願わくばずっと執務していてほしい。
ティルさんが去るとルックくんはスマフォを見て
「へぇ、それが君の世界のもの?」
「うん、写真・・・んーと、なんというのか難しいけど見せれば分かるか」
そう言ってロックを解除して写真を見せようとしたが
「・・・うわぁ」
ルックくんのそんな声が聞こえた。
「ひぃい・・・」
私からはこんな声が出た。
私の写真フォルダが私の写真ばかりなのだ。
いつ撮られたのかも分からない写真で、寝てる顔やご飯を食べている顔、ビッキーちゃん達と話している時の顔や
階段登ってる私の後ろ姿など。ちょっとこれパンツ見えてるじゃん!
バッと顔を上げてれば、ティルさんを見ればあの人は全力で走り逃げていく最中だった。
「あんのっ・・・!ルックくん、これ触ってていいよ」
「え?うん」
ルックくんにスマフォを渡すと私は全力で走った。
「くぉらティルさん!」
「あはは!楓、遊んで欲しいの?悪いけど今から執務なんだ!」
「遊ばなくてもいいですけどこれだけは言わせてください!」
私は息を大きく吸い込んで腹から声を出した。
盗撮が犯罪って知ってますか?
「残念ながらこっちにはとうさつ、って言葉が無いんだよ」
「あああああそうだった!!!!」
「あの子も苦労するね」
ルックは写真を見ながらため息をついた。