1.スキンシップじゃなくてセクハラです




ひょんなことで私は異世界というもにトリップしてしまいました。



しかし私は運のいい女だったらしい。解放軍という軍に拾われました。

軍主はティル・マクドールさん。


彼は私と同じ歳の子で凄く紳士的な子なので、私の居る世界の同年代の少年たちに爪の垢を煎じて飲ませてやりたい勢いだった。


・・・と思ったのは最初だけで、私はこの軍主さんに好かれてしまったようです。




「んー・・・ん?」


目を開けると朝だった。

この世界に来てまだ1ヶ月・・・周りの皆がとても親切にしてくれる。解放軍という立場で常に危険や死と隣り合わせだけどそれ以外は穏やかな日が多い。

今日もお仕事だ、と起き上がろうとしてみたけど ・・・何やら拘束されている気がする。


「おはよう、楓」
「・・・は?」


私の身体に回る逞しいけど細い腕。
なんだ、凄く見覚えのある手だぞ。

反射的に私はその腕を掴んで離そうとするが、力が強くて離れそうにもない。


「ちょ、離してくださいよ!ティルさん!」
「えー楓抱き心地がいいし・・・」
「えー、じゃねぇよ」


思わず素が出た。

こうなったら最終手段私は息を大きく吸い込むと




「グレミオさーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!」




数分後、ティルさんはお縄になりました。








「君も厄介なのに好かれたね」
「ルックくん、助けてよ」
「やだよめんどくさい」

ルックくんもティルさんの餌食になったらしい。
ティルさんはルックを見るなりイジり倒してルックくんは最終的にキレてテレポートでどっか行ってしまう。


「あのルックさんお願いがあるんですけど。もしティルさんが来たら一緒に」
「僕がどうかした?」
「ヒィ!」


突然腰に回ってくる腕に耳元で囁かれる低すぎず高すぎない声。 これがイケメンボイスだから困る。顔もイケメンなんだけど。


ルックくんは無表情で私を見る。


「あのルックさん、見てないで助けて・・・」
「悪いね。僕まだ死にたくないんだ」


そう言うとテレポートで消えてしまった。

裏切り者め・・・!



「二人きりだね、楓」
「二人きりじゃないです皆見てます」
「え?見てないよ?」


それは巻き込まれたくないからですよ!

1回ビクトールさんが「まあまあティルさんよ」って止めてくれたんですけど
その後ビクトールさんを見たものは居ないって言われてるし・・・


「僕がいるのに考え事?」
「ひゃっ・・・ちょっとどこ触ってんですか!」

制服のままの私。
ティルさんは私の脚をなでてきたのだ。


「セクハラ!セクハラ!」
「やだなースキンシップだよ。もっと声聞かせてほしいな」
「はぁ!?」


私は息を吸い込んでこう叫んだ。


スキンシップじゃなくてセクハラです




「ティル殿、失礼」


ゴン!という音が聞こえてズルリとティルさんが傾く。

それを受け止めたのはマッシュさんだった。


「はやり楓の所でしたか」
「マッシュさん・・・!命の恩人です・・・!」
「いえいえ。 ほらティル殿、執務放棄はよくありませんよ。部屋に戻りましょうね」


そう言って気絶したティルさんをマッシュさんは襟首を掴んでズルズルと引きずってエレベーターの中へと入っていった。




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