女子力向上委員会






テンガアールとナナミ、ニナと楓は女子力(笑)向上委員会というわけでどうすべきか考えた。

ちなみに今はお城の食堂だ。


テンガアールはAランチのハンバーグセットを食べながら

「・・・とは言ってもどうすればいいのかな」

うん。どうしようか。

それは全員同じ気持ちだったらしく4人は一斉に頷いた。ナナミはBランチのオムライスセットを食べながら

「んー料理とか?」
「料理・・・」

楓は思わずナナミの料理を思い出した。
見た目はいいのだけれど、味がすごいらしい(リオウ談)

するとフッと笑ったニナ。ちなみに彼女はCセットの麻婆豆腐を食べている。
何かいい案があるのだろうかと楓はDランチのカレーライスを食べながらニナを見る。

ニナはスプーンを持ってニタリと笑うと



「編み物よ!」




編み物ならバーバラがわかるだろう、と彼女に教えてもらうことになった。

バーバラは快く了承すると


「そうかいそうかい。好きな子にでもあげるのかい?」


その反応は様々だった。
恐らくテンガアールはヒックスにあげるだろうし、ナナミはリオウ、ニナはフリックだろう。

楓は「私は・・・」と思って思考を停止させた。

相手が居ないことに気づいた。




編み物といってもそんなすぐにできるわけもなく。週何回か集まって作ったので2週間はかかった。


皆思い思いに編んでいくので楓は微笑ましく見ているとニナは楓を見て


「ねえ、楓は誰かにあげるの?」
「へっ?」
「実は私も気になってたんだーね、ね、ね!誰かにあげるの?」


ナナミは楓の隣に来て目をキラキラさせる。

「・・・いや得に」

その言葉に女の子全員がええええええと声をあげる。あまりのチームワークの良さに楓はビクッとなって「何!?」と3人を見た。


「私てっきりルックにあげるのかと!」
「ボクもそう思ってた!」
「え、ルック?」
「だってあなた魔法兵団の護衛隊でしょ?」


後方にいる魔法兵団。
相手の作戦によっては後ろを突かれて魔法兵を狙う軍も出るだろう。
その被害を軽減させるために護衛隊ができて、楓はその隊長を任されている。

確かに、ルックとは居る時間は長いし・・・しかしそういう目で見たことがない。

「それは・・・ないかなぁ・・・」
「じゃあそれどうするのよ?」

ニナに聞かれて改めてマフラーを見る。
自分的には上手く出来ていると思われるマフラー、緑や黄色などの色が混じっているモヘア調の毛糸を使っていて、元々自分で使おうと思ってたので剣を振り回しても邪魔にならないようにスヌードにしたのだ。

全員渡す相手は戦闘をする人なので楓の意見を言うと全員「そのほうがいいかも!」と言いスヌードにしたのだ。


「自分で使おうかなぁ・・・と」
「「「それじゃだめだよ!」」」


この子達は本当にチームワークいいなぁと楓は苦笑した。



***


スヌードが完成して楓はそれを持って部屋に向かっていた。

確か午後から魔法兵団との訓練だ。

楓は階段を上がっているとちょうど上から来た人とぶつかりそうになった


「わあ!ごめんなさい!・・・ってあれ、ルック?」
「ちょっと、もうそろそろ訓練始まるんだけど」

楓のように驚きもせず、涼しい顔で言うルック。確かに、と楓は焦ってルックの腕を掴むと

「ごめん!これ置いてくから一瞬おくれる!」
「一瞬ってなんだそれ・・・」

呆れたようにため息をつくルック。
楓の腕にかけてあるスヌードを見てあぁ、と言うと


「ナナミもリオウに作ってたね、それ」
「え?ああ、うん。皆誰かにあげるみたいでね、私は自分用に作ったんだけど」
「ふぅん」

そう言ってルックは楓のスヌードを手に持つと網目を見る。 何か言われるのだろうか、彼の毒舌が炸裂するのだろうかと楓はドキドキしながら見てると


「時間かかったのかい?」
「へ?いや、2週間くらいかな。週何回かで集まってたから集まった数合わせると1週間くらいかな」
「そう」
「うん・・・ってルックさーん。何してるの」


突然ルックはスヌードを自分の首に巻き始めたのだ。 色が色なのか、ルックに似合う色だ。


「ちょうどいい、外寒かったんだよ。借りるよ」
「え、ええええ」
「部屋に行く用事なくなっただろ?ほら、行くよ」


そう言ってルックは楓の右手を掴んで階段を下りていく。

途中フリックを探しているニナに会ってニヤァと笑われ、楓は顔が熱くなった。


ちら、とルックの横顔を見るといつもの涼しい顔で歩いている。


「あの、ルック?」
「なに?」
「それ、あげるよそれ簡単に作れたからまた自分で作るし」

そう言うとルックは楓をしばらく見て、また顔を前に戻すと

「・・・そう、じゃあ有難く貰っとくよ」
「はい、どうぞ・・・」
「ん」

するとルックの足の速度が上がった。
髪の毛から覗いた耳が赤くなっている。
楓はドキッとして下を向いた。

「(寒いだけだ寒いだけだ耳が赤いのは寒いだけだ)」





その日の訓練はずっとルックの事で頭がいっぱいだった。







訓練中、リオウが見学をしに来た。
リオウの首にはナナミから貰ったスヌードがかけられている。

リオウはニヤニヤしながらルックに近づくと

「楓から貰ったの?」
「取り上げた」
「えっ」
「借りるって言ったらあげるって言われた」

照れくさいのかリオウを見ないルック。
こいつも可愛いところあるじゃないか、と肘で小突いて

「ルックも素直じゃないなーもっとアタックすればいいのに。」
「詠唱開始。このバカリーダーに標準合わせてね」

その言葉に魔法兵はえっと戸惑うがリオウは慌てて「しなくていいから!」と叫ぶ。

少し離れてる楓が首をかしげていた。


「ルックーどうかしたのー?」
「な、なんでもない!」


ルックは照れ隠しなのか、スヌードをつまむと口元を隠した。







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