ジーク・イェーガー



マーレに攻めてから1ヶ月ほどが経過しようとしている。

マコトは厩舎へ向かい愛馬であるエオスに乗ると食料などの必需品を持った部下たちを率いて巨大樹の森へと向かった。

「リヴァイ兵長」

リヴァイは顔を上げると、久しぶりのマコトに仏頂面の顔が少しだけ緩くなると木箱から立ち上がった。リヴァイはあれからジークの監視をしているため兵団本部へは暫く戻っていない。そのためマコトは定期的にリヴァイに近況の報告をしに来ており「こっちだ」とリヴァイのテントの中へ案内された。




「・・・という感じで。詳しくはこちらの書類に」
「ご苦労だったな」
「いえ。 リヴァイ兵長もお疲れでは無いです?」
「そうだな、野郎共しか居ねぇし・・・あのクソ髭野郎のお守りもしねぇといけねぇしな」

クソ髭野郎とはジークの事・・・テントに入る前チラリと見たがずっと本に目を落として特に暴れる様子などは無い。リヴァイの力を知っているせいか、この巨大樹の森は立体機動装置と相性のいいスポットのため逃げれないと分かっているのか・・・ジークは大人しかった。

「マコト」
「はい」
「仕事は終わった」

そう言うとリヴァイはこっちに来い、と手招きしマコトも椅子から立ち上がりリヴァイに近づくと強く抱き締めた。

「リヴァイさんが居なくて寂しい」
「俺もだ。お前が隣にいる生活が当たり前になってたからな・・・」

リヴァイの肩に頬を寄せれば優しく頭を撫でてくれるので目を閉じる。するとリヴァイはマコトを抱き上げるとそのまま机に座らせ唇を重ねた。

「ん・・・んん」

キスをしたままジャケットを脱がされ、耐Gベルトの隙間からボタンを外すと手を差し込んで胸に触れてくる。胸の先端を爪で弾いたり抓ったりればマコトはくぐもった声を出してリヴァイにしがみついた。

「は、ん・・・りばいさ、ここじゃ・・・」
「ここは俺のテントだからな。人は入ってこねぇ。・・・まあ、お前が声我慢できりゃの話だが」
「こ、ここで?!」
「何だ、嫌か? だったら森の奥まで行って木の上でもいいぞ」

それも嫌だ・・・マコトは首を振ると観念しろというかのようにリヴァイはマコトの首を舐めるとそのまま机に押し倒しマコトのベルトに手を掛けた瞬間

「リヴァイ兵長、お取り込み中すみません。宜しいでしょうか?」

外から監視の兵がやってきた。


「・・・チッ、なんつータイミングだ。 少し待て、もう終わる」
「はい!」

リヴァイはため息を着くとぐったりと項垂れ、マコトの肩に額を押し付ける。マコトはやれやれと苦笑いし頭を撫でてやると耳元で

「もうちょっとで任務も終わるし、ね?」
「言ったな?」

顔を上げたリヴァイは目を細め、マコトのブラウスのボタンを留めながら

「終わったら朝から晩まで相手してもらうからな、いいな」
「もちろん」

身なりを整えたあとマコトとリヴァイは抱き合い唇を重ねると、普段の仕事モードに戻りテントから出た。



***




リヴァイが兵士と話している間、マコトも久しぶりに顔を合わせる兵士と話し近況報告を話し合う。ふと視線を感じて首を動かせば、バチッとジークと目が合った。

「やぁ、どうも」
「ご無沙汰してます。ジークさん」
「キミくらいだよ、俺の事さん付けする人」

ジークは笑いながら本をパタンと閉じるとマコトを観察する。

「にしても、凄い樹だよね。 ガビやファルコにも見せてあげたいよ・・・マーレにはこんな大自然は無いからね。」
「そうなんですか?」
「ああ。全て戦争で焼け野原だよ」

なるほど・・・とマコトは頷くとジークの向かいにある木箱に腰掛けると、チラッと部下と話していたリヴァイがこちらを見てからジークを睨みつけたが大丈夫だと微笑みかける。

「そのガビちゃんとファルコくんですが、今は地下牢に保護されています。定期的に顔を出して話とかはしているんですが・・・ガビちゃんはまだ警戒心が解けなくて」
「ああ、あの子はね・・・どんな話を?」
「ライナー・ブラウンの話を主に」
「ここの兵士だったんだろう?」
「ええ、とても成績優秀でした」
「マコトちゃんはライナーの上司だったの?」
「いえ。訓練兵時代の教官を勤めていまして、彼ら104期は私の初の教え子でした」

そう言うとジークは目を細め、ふーんと髭をさすると

「・・・待てよ、ああ。確かに、ライナーがなんか言ってたな」
「はい?」
「戦士長にお似合いの女性を連れて帰ろうとした、とか」

戦士長、マコトはどこかで聞いたことがあるフレーズだなと腕を組むと


「まあ教官なら、俺達の故郷でも上手くやれるだろ。何か思い出すかもしれないしな? ・・・そうだ、俺達の戦士長に会わせよう。」
「戦士長・・・?」
「ああ。戦士長は強くて頭もいい。 マコト教官も可愛いし、もういい歳だろ?きっと気にいられる。戦士長の嫁さんにしてもらえば・・・」



「・・・あっ」

ライナーにマーレ出身と勘違いされ、エレンと一緒に誘拐された時だ。

「戦士長って、ジークさんの事だったんですね」
「なぁんだ、マコトちゃんだったんだ。確かに可愛いよねぇ、残念。大歓迎だったのに」
「すみませんね、その頃からリヴァイさんとはお付き合いしてたんで」

そう言うとジークは苦笑いし

「それにしてもあんなチビどこがいいの?束縛とか暴力とか」
「無いですよ?私には勿体ない人です」

ニコリと言い返すとジークはへぇ〜と頷き「仲良しだねぇ」と呟くとコーヒーに口をつける。

「リヴァイもマコトちゃんにはメロメロさ。ここに来る時も八つ当たりされたし・・・今日はマコトちゃんが居てご機嫌だからずっとここに居てよー」
「すみませんね、私も仕事があるものですから」
「そりゃ残念だ・・・にしても、マコトちゃんって他の人とは違う空気持ってるよね」
「へ?」

首を傾げるとジークはじっとマコトを透視をするかのように見つめると

「・・・何となくだけどね?」
「は、はあ・・・」
「マコト」

用事が済んだのかリヴァイがこちらにやって来てマコトの前に立つと

「おいテメェ、うちの嫁さん独り占めしてんじゃねぇ」
「ははは、ガビとファルコの様子を聞いていただけさ。」
「・・・本当か?」
「もちろん」

リヴァイは不機嫌そうに眉を寄せるとまあいい、と呟く。

「マコト、もう少し居るんだろ」
「ええ、もちろん」
「お前がいれた紅茶が飲みたい」

そうおねだりされてしまい、マコトはふふっと笑うと

「了解。 ジークさんもいかがです? 前、お茶せずに逃げたでしょ?」

シガンシナ奪還の日のこと・・・ジークはああ、思い出すと

「そうだね、頂こうかな・・・って、怖い怖い怖い怖い」


鬼のような顔をしたリヴァイの顔にジークは震え上がったのだった。


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