上空をブルーインパルスが飛び、卒業生の門出を祝う。

今日はいよいよ卒業式だ。

「さらば、同士たちよ! 解散!!」

ワッという掛け声と同時に地響きのような足音と共に卒業生が飛び出して学生舎へと走っていく。

その勢いに圧倒されながらも坂木は全員を見ると

「椅子と帽子の撤収作業だ! 急げ!!」
「「「はいっ!」」」


講堂の中に入ると何百もの学帽と蹴散らされたパイプ椅子。そんな光景に圧巻されながらも帽子を急いで回収しパイプ椅子を畳むとすぐに任命式と宣誓式が始まった。






卒業生と最後の別れをし、麻琴も前期、中期、後期とお世話になった部屋長、校友会の4年生に挨拶をしたり写真を撮る。

前期の部屋長であった真下と柳への挨拶・・・と知念と麻琴は真下と柳の所へやって来ていた。

「麻琴、本当は陸希望だったんだって?」
「はい!」
「私も第1とは違う要員で悩んだけど、教官達が決めてくれた要員にして良かったって今は思ってるよ。麻琴もいつか、そう思える時が来る。」

そう言って麻琴と知念をぎゅっと抱きしめると

「2人とも頑張りなさい。またいつか、どこかで会おうね 」

その言葉に麻琴はと知念は堪えていた涙腺が崩壊し真下と柳の背中に手を回すとわんわん泣き始め、2人はは笑い始める。

「ちょっとあんた達泣きすぎ!」
「制服汚れるから!!」
「うわああん真下さーん!柳さーん!」
「お世話になりました〜!」

入校当初の地獄の中サポートしてくれた真下と柳・・・色々な思い出が蘇り涙が止まりそうにもない。


「真壁たち大号泣ですね」
「ん?」

大久保も坂木もまた先輩たちに挨拶をしていたのだがわんわん聞こえる泣き声に視線をやると真下と柳に巻きついた麻琴と知念が居た。

「チッ、ったくあいつらみっともねぇ・・・」

止めに行こうかと思ったが、入校当初の麻琴達を思い出せばそんな事は出来ない・・・と思いとどまり坂木は苦笑いする。 そんな坂木の顔を見た大久保は

「・・・次は私たちの番ですね」
「ああ。 あと1年だ」
「坂木は卒業したら真壁に告白するんです?」

突然さらっと言ってきた発言に坂木は驚きのあまり口をあんぐりと開けて大久保を見上げ、大久保も「え?」と首を傾げる。

「しないんです?」

楽しそうに顔を覗き込んでくる大久保から顔を逸らし帽子を深く被ると

「・・・さあ、どうだかな」
「焦らしますねぇ・・・好きですよ、そういうの。」

帽子で隠せていても、耳が赤いのまでは隠せれていない・・・大久保は微笑ましくなり両手を後ろ手で組むと早咲きの桜を眺めた。



避雷針と卒業式



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