Lesson1



「あーっここにいたー!リヴァーーーイ!」

パラディ島という小さな島。そしてトロスト地区にある田舎の学校タイタン・ハイスクール。

いつものように学校の廊下を掃除をし、リヴァイはその声を聞いて気だるそうに振り向けば、そこにはメガネを掛けた女性が手を振ってこちらにやってきた。

「ハンジ、そこは掃除したばかりだ。走り回るんじゃねぇ」
「あぁごめんごめん。 それより、面白い研究があるんだ!」
「研究?また学校中をめちゃくちゃする奴じゃねぇだろうな?」
「大丈夫、今回は大人しめだから!」

ハンジ・ゾエ・・・好奇心を満たすためなら法までも犯しがちなこのスクールの化学教師だ。

そしてリヴァイはこのスクールの清掃員。ゴキブリが走りゴミだらけだったこのスクールも、リヴァイの手によりゴミひとつ、ゴキブリが食べる餌がないほど清潔感のある学校に早変わりした。


このハンジに目をつけられてからは、研究にも付き合わされて散々な目に遭っているのだが・・・あまりにもしつこく、最終的には家にも押しかけてくるため仕方なく付き合ってやっている。

頭はいいのだからどんな汚れも落ちる洗剤でも開発してくれれば、多少見る目は変わるのに。と、心の中でつぶやきリヴァイは面倒くさそうに眉を寄せると

「今度はなんだ」
「なんと! 君の前世が見たいんだよ!!」
「・・・・・・あぁ?」

なんと!の意味がわからない。リヴァイは寄せていた眉のシワを一層深くさせた。しかしハンジは気にせず身振り手振りで

「自分が生きてる前の記憶を見るんだよ!」
「・・・オカルトならよそでやれ」
「オカルトじゃないよ! スピリチュアルってやつ!ミカサって子が教えてくれたんだよ」

ゴスロリツインテールの少女を思い出しリヴァイは

「・・・オイオイオイ、それやべえ奴じゃねぇか」
「私もやってもらったんだよ! どうやら私も君もエルヴィンも、何らかの関わりはあったらしい!だから私たち仲良しなんだよ!」
「勝手に仲良くさせるな。気のせいだろ」
「そりゃ信じるも信じないもアナタ次第だけどさぁ〜楽しいじゃん!」
「知ってどうなる」

話は終わりだ、と背中を向けてモップを掛け始めると後ろから腕を回され

「ねえぇーいいじゃぁあぁん!!おねがああぁい!やり方を教えてもらったからやってみたいんだよォ!」
「俺は興味無い」
「ほら、リヴァイは眠りが浅いって言うじゃない。理由とか分かるかもよ?」

確かに、昔から眠りは浅い人間だった。
しかし別に苦労は・・・特に無い、と思いたいが正直身体が重い。

止まってしまったリヴァイを見たハンジは、聞く気になったと判断しペラペラと説明をし始める。

「リヴァイ。一応前世療法ってのがあって過去を遡ってその原因を突き止めて解決させるっていう方法もあるんだ」
「・・・そんなのがあるのか」
「んん!その反応!どう、興味持った?これは実験じゃなくて、治療だと思えば・・・」
「他を当たれ。 事務員のモブリット辺りでいいだろう」

事務員のモブリット、彼はハンジに惚れているので何でも言うことを聞くはずだ。

掃除道具を片付け、ハンジの静止の声を無視しながら本日の勤務は終了した。




***




時は流れ、9月に入った新学期・・・
まだ暑さが残る外をリヴァイはいつものように敷地内の清掃をし、首筋に伝う汗を首にかけておいたタオルでぬぐっていると

「あの、すみません」

声を掛けられチラリと視線をやると、ベージュのパンプスと白く細い脚が飛び込んできた。固まったリヴァイの視線はそのままのろのろと上へと行く。

パステルカラーのフレアスカートと暑い日差しに反射するほど眩しい白のポロシャツ。

下から上へと視線をやればそこには黒髪の小柄な日本人女性が立っていた。


生ぬるい風に揺れる髪の毛を抑えながら女性はニコッと笑うと

「初めまして。今日からここで日本語教師を務めさせていただきます、ナマエ・ミョウジと申します」

別に、どこにでもいるアジア人だ。
しかしこの不思議な感覚は何なのだろうとリヴァイは珍しくぼーっとしてしまったが意識を取り戻すと

「・・・どうも」
「ここに来るのは初めてなもので、職員室の場所を教えていただきたいんですが・・・」

困ったように眉を下げるナマエに、リヴァイは箒をを動かす手を止めると

「ここは広い。案内しよう」
「ありがとうございます!」

助かった、と頭を下げてくるナマエ。
まだ残る違和感・・・きっとリヴァイの知り合いに日本人が居ないから珍しいだけだろう。

そう心の中で解決したリヴァイは背中を向けると校舎の中へと入っていった。




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