83:花冠

マコトはリヴァイと孤児院へ足を運んだ。
ヒストリアが女王になり1ヶ月・・・民衆からは牛飼の女神様と親しまれ、孤児院にも力を入れている。

「リヴァイさん、あれです!」

マコトは建物を指して笑いかける。


マコトもリヴァイの代行で様子を見に行っていたのでもう慣れているが、リヴァイがここに足を運ぶのは初めてだった。

マコトは門をくぐり、こんにちはー!と声をかけると遊んでいた子供たちが顔を上げる。

「あ!マコトだー!!」
「マコトお姉ちゃーん!!」
「みんなー!いい子にしてるー?」
「してる!」
「遊んでー!」

マコトは手を大きく振ると、4歳から6歳くらいの子供達がマコトの腰にしがみついたり飛びついたりする。

見かけによらず力持ちのマコトは子供達と仲良くなろうと抱えたり肩車をしていたら懐かれてしまい、今では孤児院の人気者になってしまった。

あまりに元気すぎる子供たちの迫力にリヴァイは驚きながらそれを遠目に眺めていると、1人の男の子がマントを羽織り

「なあマコト姉ちゃん!立体機動ごっこしたい!」
「俺も!マント持ってきた!」
「お、いいよ!やろうか!」

そう言って抱えていた布を広げるとマコトははいはい、と微笑みながらマントを掛けてやる。

その姿はさながら母親のようだとリヴァイは見守る。

「(・・・ってか立体機動ごっこってなんだ?)」

リヴァイはマコトは男の子2人を抱えると

「壁外調査を開始する!」
「前方14m級!」
「全員、立体機動に移れ!」
「巨人ぶっ倒してやるー!」
「しんぞうをささげよ!」

キャッキャウフフしながらマコトは子供たちと草原を走り回る。

・・・あの体重の子供を両脇に抱えて走れる女はマコトくらいだろう。

柵に凭れてそれを眺めていると足元に4歳ほどの女の子がリヴァイを見つめていた。

「・・・どうした、遊ばないのか?」
「だっこ!」
「は?」

リヴァイは突然の要求に戸惑うと女の子のを持ち上げる。すると女の子は嬉しそうに笑い、リヴァイに抱きついてきて擦り寄ってきた。

子供を抱きしめたことがないリヴァイはまた戸惑ったが・・・可愛いと素直に思った。

リヴァイは女の子を抱えながら子供たちと走り回るマコトを眺める。
自分との間に子供が居たら、こんな感じなのだろうか。叶わないと思いつつ、そんな未来を考えてしまう。

「・・・悪くねぇな」

そう思わず口から漏れた。



立体機動ごっこが落ち着いてからはマコトは10歳くらいの少女や小さな女の子達と交えて花で遊んでいる。
長い髪を下ろすと少女はマコトの髪を三つ編みをしながら隙間に花を差している。

「私もマコトさんくらい伸ばしたいなぁ」
「エレナの髪は綺麗だからね、伸ばしたらもっと素敵になるよ」

そう言うとエリナは頬を染めて笑うと、遠くで眺めているリヴァイを見て

「ねぇ、あの人がマコトさんの旦那さん?」
「そうだよ。」
「孤児院を作るの、後押ししてくれたって」

マコトは頷くとエレナは立ち上がるとマコトの手を取ってリヴァイの所へ向かった。

「マコトさんの旦那さん!」

リヴァイの名前がわからないのでそう呼ぶ。
何だ?と首を傾げるとエレナは頬を赤くして恥ずかしそうに

「孤児院、援助してくれてありがとうございます。私、今すごく幸せです!」

拳を握ってそう言うとリヴァイは驚いたが口元に笑みを浮かべ

「・・・そうか。良かった」
「はい!」


マコトもそれを見て微笑んでいると、女の子が駆け寄ってきて

「マコトちゃん、できた!」
「おー!上手!綺麗に出来たね。」

シロツメクサで出来た冠を持ってきた女の子をマコトは褒めて頭を撫でる。

「マコトちゃんにあげる!」
「いいの?」
「うん!あたま載せてあげる!」

そう言うとマコトの頭にシロツメクサの花冠を載せると

「マコトさんお姫様みたい!」
「ふふ、ありがとね」
「あー!マコト姉ちゃん俺も!これ持ってきた!」

そう言うと今度は男の子がやって来てマコトの前に突き出すと

「おれと結婚してくれ!」
「あ?」

リヴァイは眉を顰めて男の子を見下ろすと男の子もリヴァイを見あげて

「・・・なんだよオッサン」
「オッサンじゃねぇクソガキ」
「お前マコト姉ちゃんの何だ!」

そう言うと男の子はマコトの太ももに巻き付きリヴァイを睨みつける。

生意気なガキだ、とリヴァイは舌打ちをしそうになると

「おーい!晩御飯の時間だよー!」

孤児院のスタッフが大きな声で呼ぶと、子供たちは返事をして走りながら建物へ入っていく。


「じゃねマコトさん!」
「マコトちゃんまたね!」

エレナと女の子は手を繋いで孤児院へ入っていくが、男の子はリヴァイを睨みつけると

「おれの名前はロイだ!」
「ほう、俺の名前はリヴァイだ」
「リヴァイさん、相手は子供ですから・・・」

マコトは苦笑いするとロイは

「マコト姉ちゃん、しゃがんで」
「ん?」

ロイの目線に合わせる。ロイはマコトの指に花で作った歪な指輪を差し込むと、マコトの頬にキスをした。

ロイは頬を赤くしながら手を振ると

「じゃあまたね!マコト姉ちゃん!・・・リヴァイのオッサン!マコト姉ちゃんは渡さねぇぞ!」

そう言うと走って孤児院へと戻って行った。
ロイの背中を眺めながらリヴァイは

「はっ!威勢のいいガキだ」

腕を組んで笑うと、マコトも立ち上がって

「最初は皆大人しかったんだけど、ヒストリアとか104期の皆で遊んだりしてるうちにだんだん打ち解けてきたの。」
「そうだったのか」

マコトはロイにはめてもらった指輪を見て笑うと

「リヴァイさんも懐かれてたね」
「ああ・・・扱いが分からなくて困ったが、お前は子供に慣れてるな」
「ふふ、そうかな?駐屯地の行事で子供達も来るから、接し方は慣れてるかも。」
「・・・お前は子供、欲しいか?」

突然そう言われてマコトは驚いてリヴァイを見ると、リヴァイは柵に凭れてこちらを見つめている。
マコトは頬を赤くして頷くと

「俺も、お前との子供ならいくらでも欲しいと思う」
「私も、リヴァイさんとの子ならいくらでも欲しい、です・・・」

お互い黙り込むと、リヴァイは手を取って孤児院の門を出る。
リヴァイは振り向いてマコトに笑いかけると、

「・・・これで、1つ楽しみが増えたな」

いつしかリヴァイが言った、見つけ出してマコトを迎えに行くと言う言葉。

今はそれが叶わないが、いつか再会して、その時には・・・


マコトは嬉しくて泣きそうになったが、くしゃりと笑うと

「うんっ、そうだね!楽しみだなぁ・・・」

そう言うとリヴァイの手を握り返した。
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