65:頑張って拷問

!ATTENTION!

この章は暴力・流血表現がございますのでご注意ください。



雨で天候が荒れた日を狙い、リーブス商会の会長であるディモ・リーブスが運転する馬車に乗せられた中央憲兵・・・ニックを拷問して殺害したジェル・サネスの乗せた馬車はわざと崖から落とされた。

それをリヴァイ達が拾い上げ、山奥の小屋へと引きずり込み地下へと連れていかれた。

エレン達は上で待機している中地下では・・・




「こ、これが・・・拷問器具ですか・・・」

トンカチ、釘、ニッパーのようなもを並べながらマコトは青ざめた。こんなものは、映画でしか見たことが無い。

「マコト、今の内にサネスの手を固定しろ。動かれたら爪を剥がしにくい」
「は、はい!」

マコトは心の中で謝罪しながら椅子にネジを差し込んで固定をする。

「あ、あの・・・リヴァイさん、これ・・・まさかクーデターを起こそうとしてる・・・前兆ってやつです?」
「ああ。多分そうなるな。」
「も、もし失敗しちゃったら私たちって」
「首を吊るされるかもな、広場とかで」
「公開処刑・・・それは嫌だなぁ・・・はい、出来ましたよ」
「よし、そろそろ起こすぞ。」

言うと、マコトは傍らに置いておいた水の入ったバケツをサネスにバシャッと掛けた。

「ゲホッ!うっ・・・ここは・・・はっ!」
「おはようございます、サネスさん」

エプロンとゴム手袋を着けたマコトとリヴァイがそこには立っていた。
ハンジは後で合流するらしく、先に進めていても大丈夫だと言われた。

「さあ、拷問の時間だ。楽しもうぜ。まずはマコト、鼻でも折るか?丁度可愛い教え子たちに貰ったアレがあるだろ」
「ああ、出番があって私も嬉しいですね。・・・すみませんね、サネスさん。私たち、慣れてないもんでして。それにしても、怖いなぁ・・・無防備な人をボコボコにするなんて。」
「大丈夫だマコト、俺がついてる。 お前と俺で・・・頑張って拷問しよう」
「リヴァイさん・・・! はい!共同作業ですね!」

と全力で返事をする。

・・・決してそんなムードではないのだがコイツら正気か?とサネスは見つめ合ってピンクオーラを出している2人を交互に見る。

「お、お前ら・・・何も聞かずに拷問するやつが・・・」
「オラァ!てめぇの血は何色だァ!」
「ああああぁ!!!!」
「おいおいおい・・・マコト、落ち着け。死んじまうだろうが。」

その叫び声は、上にいるエレン達にも聞こえていたらしく

「マコトさん、あんなビクビクしてたのに・・・」
「ナックルダスターをプレゼントしようって言った奴誰だよ・・・」
「あの提案者はマルコだろ」
「マルコかぁ・・・!」

ジャンは頭を抱えるとドアの隙間から

「おいマコト、顔はあまり狙うな。喋れなくなる。ボディだ、ボディ」
「了解!」
「ぎゃああああ!」

すると今度はハンジがバーン!とドアを開けて入ってきて全員に「やあ!」と颯爽と挨拶して地下へと降りていくのを見て全員が「もっと騒がしくなる」とため息を着く。


「リヴァイ、マコト!もう終わってないだろうね?!」
「ああ、俺達も慣れてなくてな・・・まずはマコトが鼻を折った」
「好調な出だしだね!サネス、私も人間の拷問は初心者なんだが・・・よろしく頼むよ!」
「だ、だからお前たち!目的を聞け!何も聞かずに拷問する奴が・・・!」
「黙ってろ!全て剥がしてから本番だ!ニックがされた通りにするんだ!」

拷問のプロを拷問しながら本人にレクチャーされる構図もシュールだがハンジはそれを聞かずに爪を剥がすとまたサネスから絶叫が響く。

爪を剥がされてるところはマコトも一緒に叫ぶほど壮絶なものだった。

モブリットが椅子を抑えながらリヴァイが拳を振るが、それは、マコトより重く攻撃力が高い。
それを左右に食らわせて手に着いた血を拭きながら

「・・・ニックが受けたメニューってのはこんなところか」
「サネス、見てくれ。いやなかなか難しかったよ。やってる内にコツを掴めてきたんだけど・・・ごめん。サネスほど上手くは剥がせなくて・・・一体何枚剥がせばあんなに上手くなるの?」
「数え切れないな・・・一人につき何枚爪が生えると思ってるんだ。爪や皮だって何枚も剥がしたさ。そいつに嫁がいようが産まれたばかりのガキが居ようが、関係ねぇ。この壁の平和を守るためだからな。」

マコトも薄々だが疑問に思っていた。何故かこの壁内では内乱がなかったからだ。
この壁の中で何故今まで戦争が起きなかったのか、それは生まれる火種を影で第一憲兵団が詰んできたからだ。

利口な教師、王を脅かす銃を作った男性、空を飛ぼうとした夫婦。

「田舎の牧場にいた、売女も・・・!」

きっとそれは、クリスタの母親だろう。

「全部俺達が消したから、人類は今までやってこられた!それもこれも、全部俺たち第一憲兵のおかげだろうが!!感謝しろよ!!」
「・・・やっぱりか。技術の発展からこの世界を守ってくれてたんだね。本当にありがとう」
「お前らこそ、初期の段階で消されるべきだった。勝手に壁の外に出て死ぬもんだと思われていたんだろうが・・・今じゃこの壁の平和を脅かす1番の病原菌だ」
「そうか・・・大変だったな。お前らはお前らなりに・・・頑張った。それはよく分かった。」

そう言うとリヴァイはマコトの折った鼻を掴むとグッと力を入れるとべキッ!と音がすると同時に鼻から出血をする。


「・・・そろそろ拷問を始めよう。いいか?質問に正確に答えられなければおしおきだ。」

リヴァイはそう言ってサネスの頭を撫でると

「レイス家とは、何だ?公には王家との繋がりは浅いとされる。どこの田舎にもある貴族家の一つ・・・そんな一家系になぜ・・・壁の中の巨人やらを公表する権限がある? ウォール教を使って民間から壁を遠ざけてんのも、レイス家の意思か? そんな事を何故王家ではなくレイス家がやっている?知ってる事を全て言え」

サネスは少し間を置くと

「はっ、お前らほど・・・」
「待った。答えるのが遅かったよ、おしおきだ。虫歯じゃないヤツが抜きたいなぁ・・・これか?ごめん、よくわかんないや」
「オイ・・・喋れなくなっちまうだろうが。あまり抜くなよ」
「まだいっぱいあるだろ?」
「こっちの時代は、入れ歯はあるんですか?」
「入れ歯?なにそれ?」
「外付けの歯みたいな・・・歯の抜けたお爺さんとかが使ってるんですよ」
「へぇサネス、早く言わないとそれを付ける羽目になるよ」

マコト達は呑気にそんな会話をしていると

「お前らほど!!楽しそうに人を痛めつけるやつは見たことがねぇ!やれよ!もっと!お前らの大好きな拷問を続けろ!俺もそうだ!抵抗できない奴をいたぶると興奮する!もっと俺で楽しんでくれ!」

サネスひたすら叫び続けると力なくだらりとすると

「俺は・・・!俺には・・・王がいる・・・何年も、仲間と一緒に王を守ってきたんだ・・・俺はこの壁の安泰と・・・王を信じてる。俺たちのやってきた事は間違っていないと・・・信じたい・・・けど、こんなに痛かったんだな。俺を嬲り殺しにしてくれ・・・それが俺の、血に染った人生の全てだ。」

そう言い切ると、ハンジは道具を置き

「・・・休憩しよう」

そう言うと部屋を出ていく。
サネスはとりあえず一息できると思ったのか、スっと目を閉じた。
ハンジは眉を下げながらため息をつくと

「困ったね・・・なんか、かわいそうになっちゃったね」

ドアを閉め、リヴァイはマコトを見ると

「マコト、お前は一回休んでこい。顔色が悪い」
「え・・・そうですか?」
「あはは、あまりいい気分じゃないよね。少し休んでおいで。」
「どうせここからは最終手段だ、ラルフに作文を読ませたら直ぐに呼ぶ。」

マコトは頷く階段をあがり、ハンジとリヴァイは一緒に捕まえたラルフの部屋へと向かった。







「ぶはぁ!」

外の空気が吸えて、マコトはドアを開くと全員が驚いて立ち上がる。

「マコトさん!」
「ど、どうなりました・・・?!」

あんなに脅えていても、結果が気になるのだろう。
血だらけのエプロンに全員がドン引きしながら、マコトはミカサから紅茶を受け取るとお礼言って口に含む。

「とりあえず・・・私達はニック司祭がやられたメニューをサネスにやったよ。そこからが本番だったけどなかなか吐かなくてね・・・いまは最終手段を使ってる」

最終手段というのは、ラルフに偽のセリフを喋らせる事だ。

それでサネスの心を折れば、レイス家の事話すに違いない。話さなければ拷問第2ラウンドだ。


「出来れば拷問はやりたくないね・・・二度と」
「その割にマコトさん、楽しそうでしたが」
「はは・・・さすがに無抵抗の人を痛めつけるのは心が痛んだよ。テンション上げて馬鹿にならないと、やっていけない。」

そう苦笑いするマコトに全員は胸を痛める。
確かにマコトは教官時代は鬼だったし拳を握れば戦闘狂にはなるが、無闇に先走って手を出したりなどはせず本来は穏やかで心優しい人間だ。

拷問など、やりたくは無いがこれもリヴァイの副官になった使命。汚れ役をしなければならない。


すると、ハンジがバン!とドアを開けると

「マコト!第2ラウンドだ!次は彼の希望通り嬲り殺しだ。 まずは睾丸の左右、どちらかを攻めようと思う!」
「睾丸?! そうですねぇどちらにしようかな≠ナ決めますか?!」
「いいねぇ!」

そう言いながらマコトは暗かった顔を一瞬で明るくさせてテンションを上げるとハンジに引っ張られながらドアを閉め、残された104期はまた始まるのか・・・と項垂れた。


階段を降りてハンジはドアを開くと

「おはようサネス、私も辛いんだけど、頑張って拷問するよ。君の希望通り、嬲り殺しだ。本当に死んだら困るんだけどね。さて、いらないのは右と左のどっちの睾丸・・・」

その言葉を遮るように、サネスは


「レイス家が本当の王家だ」


そうポツリとつぶやいた。


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