62:リヴァイの初体験

深夜、森の中で最小限の小さな焚き火でリヴァイ達は火を囲んで作戦会議をする。
その中、マコトはなにかゴソゴソと晩ご飯の準備をしながら話に参加していた。

アルミンはあの・・・とジャンとエレンを見つめると

「ストヘス区で行った替え玉作戦・・・今回も使いませんか?」
「あぁ?!って事は・・・マジかよ」
「・・・嘘だろ」

エレンとジャンは顔を見合わせて嫌な顔をする。
なるほどな、とリヴァイは頷くとエレンとジャンを睨みつけると

「・・・お前ら、やれ」
「「了解!!」」


拒否権のない威圧に、エレンもジャンも背筋を伸ばして返事をした。


「あの、でもヒストリアはどうするんです?」

サシャがそう言うとヒストリアは不安そうな顔でこちらを見ていた。

マコトはヒストリアを観察する。

「金髪の碧眼・・・美少女・・・金髪って事は・・・」

全員がアルミンを見つめた。
アルミンは男子ながらにして目はくりっとしており可愛らしい顔立ちだ。眉毛は立派だが・・・

するとジャンはニヤ・・・と下衆な顔で笑うと

「アルミン、一緒に変装しようぜ?俺達、苦楽を共にした仲だろ?な?」
「自分で言っててまさかとは思ったけど・・・仕方がない。や、やります!」


アルミンは引きつった顔でそう答えるとリヴァイはケイジ、二ファ、アーベルを見る。


「変装したアルミンとジャンはそのまま俺たちと行動。エレンとヒストリアは馬車で別ルードだ。ケイジ、二ファ、アーベル。馬車の手配は出来そうか?」
「はい!」
「手配出来次第またご連絡を」
「ああ、頼む。」
「では、また後ほど」

そう言うと3人は敬礼して早速行動開始をする。



アーベルはマコトの捌いているものを見て失笑した事は、リヴァイは気づかずそのまま暗闇へ消えていった。


サシャとミカサ、マコトがアルミンを見ると

「アルミン、安心して。何かあればすぐに助けるから」
「服は私のを使いましょう!」
「アルミン、可愛くしてあげるから・・・へへ・・・」
「マコトさん、顔が怖いです」

ヒストリアのツッコミにマコトはごめんごめん、と笑うと何かを串に刺す。



晩ご飯の用意をしていたはずだが・・・リヴァイはマコトを見るとやや穏やかな顔で

「マコト、飯は出来たのか?」
「はい!今から焼きますね!」
「わーい!ご飯ー!」

サシャは喜びながらそれを受け取って焚き火の近くに置くとそれを焼き始めた。

全員それを受け取り、マコトもリヴァイの分を焼き始めると魚を焼くような香ばしい香りが漂う。
それの匂いを嗅いでリヴァイは

「今日は魚か?」

そう聞くと全員はえ?とリヴァイを見つめる。
リヴァイは眉を寄せると

「・・・違うのか?」
「リヴァイ兵長、蛇です!」

マコトはニコッと満面な笑顔で答えるとリヴァイは顔面蒼白になった。

「おいおいおい、マコトお前・・・ああ、お前そういや・・・」
「リヴァイ兵長、3年前私と会った時のあだ名“蛇女”でしたもんね! ほーら、出来ましたよ!」
「マコトさん、焼き加減こんな感じでいいすか?」
「うん!食べ頃だね。」

マコトはリヴァイに串を渡すと

「はい、リヴァイ兵長」
「ああ・・・頂こう」
「リヴァイ兵長は、蛇は初めてですか?」

ミカサがそう聞くと、リヴァイは頷く。
リヴァイは訓練兵団を出ておらずここまでのサバイバル訓練は受けていない。

ジャンは蛇を焼きながら

「まあ俺も最初は抵抗ありましたけど、食ってみると意外と行けるって言うか」
「小骨もありますが食べられる範囲です!」
「これで味変で塩があったらなぁ・・・」
「そんな高級食材、あったら最高だぜ」

その会話を聞いてマコトはああ、と言うと背嚢から小瓶を取り出すと

「塩、あるよ」
「えっ?!」
「嘘っ?!」
「マコトさんは貴族ですか?!」

熱中症になりかけた時用に水で薄めて飲めるように訓練時にマコトが常備していたものだ。
まさかここで役立つとは・・・と中身が無事なのを確認して塩を渡した。

「リヴァイ兵長・・・何事も挑戦です!」
「ああ、お前の作った料理だ・・・期待はしている」

そう言ってリヴァイは蛇に齧り付くのを全員が見守る中、リヴァイは咀嚼する。

「・・・悪くないな」
「でしょ? 」

最初は生臭さがあるが、焼いてしまえば魚のような匂いを放ち食べてみると鶏肉のような味で固いが食べられる範囲だ。小骨も歯で食べ切れる。


「蛇には栄養が豊富ですからね!体力回復にもうってつけです」
「マコトさん、野戦の時はめちゃくちゃ張り切ってましたからね
「そう言えば、リヴァイ兵長の言ってた蛇女って言うのは?」

アルミンが疑問をぶつけると、リヴァイはああ・・・とボリボリと蛇を食べながら

「・・・黒い人間ってのは聞いた事あるか?」
「何年か前に噂になりましたね、山の中で数十人の賊が一掃されたって話」
「俺はその時、その黒い人間の調査に山の中に入った。そしたら、その黒い人間はコイツだった」

親指でマコトを指さすとマコトはにっこりと笑う。
コニーは驚くと

「えっ、あれマコトさんだったんですか?!」
「まあ色々あって・・・また今度サシャとコニー、クリスタには説明するけど、その時は山から動かずにしばらく潜伏してたんだよね。」
「俺とエルヴィン、ミケとハンジが行って、こいつはミケを背負い投げして俺とはほぼ互角に戦った」
「いや、リヴァイ兵長の方が上でしたよ。」

あの巨体なミケを投げ飛ばし、人類最強と渡り歩く。
全員は驚くとマコトは笑いながら

「あの時皆、私を殺しにかかってくる勢いだったからねぇ。いやぁ、怖かったー」
「お前も十分おっかねぇ女だっただろうが。こいつ、武器全部無くなって降参すると思いきや、拳で闘おうとしてたからな。とんだ負けず嫌いだ」


そんな2人の馴れ初めを聞いてジャンはへぇ・・・と言うと

「マコトさんの好み、リヴァイ兵長ドンピシャっすね」
「あ?」

そう言うとマコトは顔を赤くしてこら!と言うとミカサは

「マコトさんは、自分より強い男が好みだと言っていました。」
「ほぉ・・・」

落ち着いたら覚えてろよ、そんな感じの視線を受けてマコトはうぅと呻く。

コニーとサシャはああ!と手を叩くと

「リヴァイ兵長とマコトさん、付き合ってるんですか!」
「そういう事ですか!」

2人が核心を突いてしまい全員がリヴァイとマコトを見つめるがリヴァイは何も言わず立ち上がると

「ガキ共・・・飯食ってクソしたら寝ろ。交代で見張りだ」
「は、はい!」

森の中へ入っていくのを見届けると全員はマコトを見て

「で、どうなんですか」
「もうこの際です、俺たちは気にしないんで」
「いつからですか?」
「マコトさん、追いかけるべきです」
「あんた達は・・・」

マコトは詰め寄られて蛇を齧りながら顔を赤くすると

「・・・皆が思ってる関係で、ま、間違いないよ。言うなよ!鼻殴るぞ!」

そう言うと全員はニヤニヤしてジャンは食べ終えた串を焚き火に投げ込むと

「じゃあ、俺たち片付けしとくんで」
「いやいや、今は任務中だから私情は・・・」
「今はご飯中ですから関係ないです!」
「ごゆっくり!」

そう言うと片付け始めたのでマコトは苦笑いしながらリヴァイの後を追った。







「リヴァイさん」

森の中で、リヴァイは周囲を警戒していた。月明かりだけたが今日は満月なのだろう、明かりがなくても歩ける範囲だ。

リヴァイはマコトを見ると、警戒していた顔を少し顔を緩めて

「お前も逃げてきたか」
「完全にバレましたからね。リヴァイさんの所に行けと言われたよ」
「ガキのくせに」

フッ、と笑うとリヴァイはマコトを見つめる。

「・・・マコト、よく聞け。」

マコトの手を取ると優しく撫で始めた。
その手は白く傷一つない。そんな手を眺めながらリヴァイは

「ここから先、俺たちは巨人じゃなくて人と戦うことになる。・・・お前も、人間に手を掛ける日が来る」

出来るか?

リヴァイはマコトを見つめる。

自衛官とはいえ、マコトの時代は戦争状態ではなかった。ただ国を守る、訓練だけで実際には人に手を掛けた事は無い。

「3年前、お前は賊を壊滅にはさせたが致命傷は避けていた。 あの時、俺はお前を殺すつもりで戦った。しかしお前は、技でねじ伏せるという行動を取ったからな・・・一瞬で“戦闘力はあるが人を殺したことが無い”と分かった。 でも今回は致命傷で済ませれるほど生ぬるい状況には出来ない。・・・殺れるか?」

その言葉にマコトは俯いた。
恐らく、人を殺めてしまった後の事をリヴァイは心配しているのだろう。

マコトの知人で精神病院勤務がいるが、車の運転中に不慮の事故で相手を殺してしまった患者は精神がおかしくなってしまったらしい。
薬で抑えているが、効きすぎていると暴れたりして最終的には地下に隔離した・・・と聞いた。


その先、自分は大丈夫だろうか・・・自我を保っていられかどうか。

「分からない・・・けど、いざ自分の身が危険になった時は、やるしか無い。 これ以上仲間は無くしたくないの」
「ああ、そうだな」
「・・・それに、リヴァイさんが居てくれるなら。もう何も怖くないよ」

そう笑うと、リヴァイは目を見開いて驚くとそのまま手を引き寄せて抱きしめる。

「ああ、俺がついてる。」
「ありがとう、リヴァイさん」

マコトは腕を回すとリヴァイの頬にキスをすると、リヴァイはマコトの服装を見て

「・・・その格好はそそるな」
「え?」

夜は冷えるため、マコトは薄手のタートルネックのセーターを着ている。
どこがだろうとマコトは首を傾げると

「お前の体のラインが分かるからな。俺以外には見せたくねぇが・・・」

そう言ってネックの部分を引っ張るとリヴァイはマコトの首筋を舐める。

「ひゃっ・・・リヴァイさん!」

腰をがっつり回されているので身動きが取れない。
そのままリヴァイは肌に唇を寄せて吸い付くと赤い痕をつけた。

「んっ」
「見られたくないんだろ?これなら幾らでも付けれるな。」
「だ、だめだよここじゃ・・・」
「あ?ヤるとは言ってねえが、なんだ?期待したか?」
「し、してない!」

マコトはやり返してやるとリヴァイの薄手のカットソーを襟元少し下ろし唇を寄せて吸い付いたがリヴァイはただ満足しただけで終わった。

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