59:再始動

自室に近づいてくると、リヴァイはマコトを見ると

「マコト、俺の部屋に来い。次の作戦についてだ」
「はい」

マコトは気を引き締め頷くとリヴァイの部屋へ来た。
リヴァイは執務机の引き出したから書類を取り出すとそれをマコトに手渡す。


「これが、新しい特別作戦班の兵士だ。目を通しておけ」
「はい!」

マコトはそれを受け取り書類を見て「え?!」と驚いた。

特別作戦班 名簿
班長:リヴァイ
副班長:マコト・マカべ

エレン・イェーガー
ミカサ・アッカーマン
アルミン・アルレルト
ジャン・キルシュタイン
コニー・スプリンガー
サシャ・ブラウス
クリスタ・レンズ

マコトは目をパチパチとさせてリヴァイを見ると

「クリスタに関しては本名はヒストリアだが、そのままで書類を回した」
「あ、はい。え?104期の新兵での編成なんですね・・・」
「ああ。エレンとヒストリアを守る事。これが最重要任務だ。さっきアルミンに渡した手紙は辞令の紙と潜伏先の地図だ。 俺達も暫くはここに帰って来れない。」

104期のメンバーと言うのは、リヴァイにも意図があるのだろう。

「エレン・・・アイツには死に物狂いになれる環境が相応しいと思った」
「ふふ、リヴァイさん。やっぱり優しいですね。・・・了解です!」

そう言うと敬礼をして早速荷造りをしよう、と書類をリヴァイに返すとそのまま腕を掴まれた。


「リヴァイさん・・・?」
「暫くは帰って来れない・・・」
「うん? さっきも言ってたね・・・?」
「その代わり、時間は無いが。・・・今いいか?」
「へ?」

そう言うとリヴァイはマコトの顎に手をかけると唇を合わせる。


突然の事にマコトは驚いたがリヴァイのキスにふわふわしてしまい目を閉じるとそれを受け入れるために口を開く。

リヴァイの舌がマコトの舌を捉えると執拗に絡ませたり攻めてくる。・・・どのくらい経ったかリヴァイとマコトは唇を離し、リヴァイはペロッとマコトの唇を舐め上げた。

「ん、はあっ・・・い、今です?」
「あ?あのガキ共と一緒に住むんだ。お前が喘ぎ声聞かれてもいいなら、俺は別にいいが」
「だっ・・・駄目です!しましょう!」

マコトは色んな意味で真っ赤になって慌てるとリヴァイは口元に笑みを浮かべると

「最近は随分と積極的になってくれて俺も嬉しいな。 ・・・それに、俺達には時間が無い。分かるだろ?」

頬に手を添え優しく撫でながらリヴァイはそう呟く。

「ハンジはこれからウォール・マリアの穴を塞ぐためにエレンの硬質化実験をする。それが成功しちまえば、あとはもうトントン拍子だ。」
「っ・・・リヴァイ、さん・・・」

そうすれば、元の場所に帰ってしまうかもしれない。
マコトはリヴァイの首に腕を回して抱きつくと

「短時間じゃ、嫌です・・・夜になってもいい?」
「・・・はっ!まあいいだろ。」

リヴァイはそう言うとマコトを抱えてベッドに沈めると両脇に手を着いてまた唇を合わせたのだった。




***




さすがに暗くなるまでには到着しなければ・・・とマコトは痛む股関節を撫でる。身体が硬いとこのようになるのだが生憎マコトは身体の柔らかさには自信がある。

それなのに、お互いがっつきすぎなのか・・・のマコトは先程の情事を思い出して顔を赤くしていると


「マコト、あそこだ」

見えたのは一件の家があった。
厩舎に馬を繋ぐと、なにやら中が騒がしい。

きっとサシャがまたつまみ食いでもしたのだろうか。と、マコトはふふっと笑うとリヴァイは舌打ちをして

「チッ、やかましいな」
「訓練兵団の頃もやかましかったです」

そう言いながらドアを開けると掃除をしているエレンとコニー、そしてパンを片手に持ったサシャを止めるジャン達。

「芋女てめぇマジでいい加減に・・・」
「なんの騒ぎだ」


そう言うとリヴァイを見て全員が固まった。

リヴァイとマコトを見ると「やばい」という顔になり固まった。
まず真っ先に、リヴァイは机の下を撫でた。


パラパラ


机の下からホコリが落ちる。
マコトは、エレンと顔を見合わせるとエレンは申し訳なさそうな顔をした。

「・・・時間は十分にあったはずだが? 」
「す、すみません・・・兵長」

代わりにエレンが謝るとリヴァイは手を拭きながら

「まあいい。マコト、ミカサ、ヒストリア、サシャは夕飯の支度だ。男共・・・テメェらは俺が躾てやる。掃除道具を持て」
「は、はい!」

そう言うとマコトは同情したが女性陣を連れてキッチンへと向かった。




***



「んー!うめぇ!マコト教官、じゃないマコトさん!うめぇっす!」
「んんん・・・!このスープ濃厚・・・ッ!パンに合いますうぅ!」
「おめェら喋って食うんじゃねぇよ!テーブルに飛んでるじゃねぇか!」

マコトとミカサ、サシャとヒストリアで作った食事。主にマコトが作りヒストリアは皮むき、ミカサは包丁を使いながらサシャの監視をしつつ作業を手伝った。

安心したようにマコトは笑うと

「良かった、口に合ったみたいだね」

リヴァイに関しては先程から黙々とスープを飲んでいる。が、顔を上げると

「・・・おい、テメェら。せっかくマコトの手料理が食えるんだ。喜べ。咽び泣きながら食いやがれ」
「あははは!リヴァイ兵長、大袈裟すぎですって」

マコトの手料理は自分だけのもののはずだった。
リヴァイは不機嫌オーラ丸出しかつ爆笑するマコトを見ると

「・・・美味いな」
「ふふ、ありがとうございます」

素直にそう褒めているリヴァイと嬉しそうに頬を赤くするマコト。
そんな光景を全員が眩しそうに見つめる。

「なんだよあれ、新婚夫婦か?はぁ?」
「あんな顔したマコトさん、見たことない・・・」

ヒストリアはマコトとリヴァイを見つめる。
確か、マコトは好きな人がいたはずだ。

訓練兵時代、マコトの悩み相談の相手を思い出したりその相手と食事に行くと手伝った時や相手の特徴を思い出していた。

____________________

「その人って、どんな人なんですか?」
「えぇ?んー・・・目つきが悪い。綺麗好き。 私が保護された時も、慰めてくれたり訓練行く前も近くまで送ってくれる優しい人だよ」

____________________


ヒストリアはあぁ・・・とマコトを見つめる。
ここに来た時の部屋の掃除チェクなどを思い出した。
あの話の相手は、リヴァイだったのだ。

お祝いの言葉をひとつでも言いたかったが、ヒストリアは今後の自分について目的が分からなくなっており俯いてスープを飲む。


そんなヒストリアを見てマコトは心配そうに見つめた。



食事の後は、クリスタ・・・ことヒストリア・レイスについての話をした。

ヒストリアはウォール・シーナ北部にある貴族家・レイス卿の領地内にある小さな牧場で生まれた。
父親はそこの領主であるロッド・レイス。母はアルマと呼ばれ使用人にして妾だった。

アルマはいつも本を読んでおり、ヒストリアには関心がなかった。抱きついてみれば突き飛ばされそれ以来は母親は牧場を出ていったそうだ。

845年
ウォール・マリアが陥落した後の夜、父親であるロッド・レイスが迎えにやってきた。
そこには久しぶに見る母親、アルマも居た。

しかし王政の健全化・・・その名目で母親は中央憲兵に殺され、ヒストリアも殺されかけた。が、ロッドはここよりずっと遠くの地で慎ましく生きるのであれば見逃してやってはどうかと提案しそのままヒストリアは2年間の開拓地を経て後、訓練兵団に入団した。


話を聞きながらマコトは頭でまとめてそれを報告書としてペンを走らせる。

マコトは眉を寄せた。


・・・なんとも、壮絶な人生だ。


その上、親友のユミルを失ったのだ。あのテンションなのも頷ける。

何と声をかけたらいいのか、マコトはヒストリアと2人きりになれるタイミングを伺って話を聞いてみようと思った。




話を聞きながら、リヴァイは食後の紅茶を飲む。

「・・・了解した。 この話はエルヴィンにも通す。 お前たちは引き続き、慎ましくここで潜伏してろ。・・・エレン、お前はハンジが硬質化の実験をしたくてうずうずしてやがる。明日から早速やるからな。 お前らも参加しろよ」

そう指示をすると全員ははい!と頷きマコトは書き終えたペンを置く。


「(レイス家か・・・ヴァロア卿は知ってるのかな)」


ヴァロア卿もまた貴族だ。何かしら関わりがあるのかもしれない・・・

「リヴァイ兵長、少しお話が」
「了解した。部屋に行くぞ」
「あ、みんなはもう休んでね。 明日も忙しいから。」
「はい!」







マコトはリヴァイの個室にやってきた。
書類に蝋封をしながら

「で、話はなんだ?」
「レイス家の件ですが・・・ヴァロア卿は何か知ってるかもと思いまして」
「ああ・・・そうか。確かにヴァロア卿なら・・・その件も、エルヴィンに報告するか。エマ、だったか。親交はあるのか?」
「はい。手紙でやり取りをしていますよ」

エマとはもう3年の仲だ。
と言っても内地なので余り会う時はなく文通のみ・・・今では16歳ほどだろうか。

「・・・お前ももう休め。疲れただろう」

リヴァイはマコトの頭を撫でるとマコトは微笑んで頷く。
マコトはリヴァイに報告書を渡すと部屋を出る前に軽くキスをする。

「寂しかったらいつでも来い。喜んで添い寝してやる」
「み、皆にバレますから!」

マコトはミカサ達と同室だ。
居なくなれば怪しまられるだろう・・・顔を赤くしながらマコトはドアを閉めた。

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