失礼します、と4人は敬礼をしマコトの部屋を後にする。
マコトは手を振って見送り、ドアを閉じて振り向くとリヴァイを見て引き笑いをした。
リヴァイは眉を寄せ、腕を組んで、仁王立ちという不機嫌3コンボを醸し出していた。
「・・・リヴァイさん、すみませんでした。いてっ」
思わずリヴァイはペシン!と軽くマコトの頭を叩いた。
その顔は怒っており、睨みつけると
「・・・もう二度とこんな馬鹿なことをするな。いいな?」
「はい・・・ごめんなさい・・・」
マコトも反省し、目を伏せるとリヴァイは腕を引き寄せて抱きしめる。
「一応、お前は女なんだ。傷は付けるな」
「一応ですか」
先日ライナーに付けられた傷の時はあんなに優しく労わってくれたが、からかうように言われた言葉に思わずツッコミを入れるとリヴァイはふっと鼻で笑うと
「お前は本当にどんな動きをするか分からん奇行種みたいだ。見ててヒヤヒヤした・・・ほら、医務室に行くぞ。」
「はい」
リヴァイはマコトの手を握り部屋を出た。
*
医務室の医師には訓練中にブレードが軽く当たったという嘘をつき治療をしてもらった。
縫うほど傷は深くなく、消毒をしてもらい(かなり痛く、リヴァイに羽交い締めされながらの治療だった)、包帯を巻いてもらい事なきを得た。
兵舎の廊下を歩いていると、階段をあがってきたハンジと鉢合わせした。
「あっ、マコト!」
「ハンジさん!怪我はもう大丈夫ですか?」
「見ての通り、全快だよ!・・・ってマコト、その腕どうしたの?」
眉を寄せてハンジは包帯を見るとリヴァイは先程のエレン達とのやり取りを聞くと、ハンジは驚いたあと大笑いした。
「マコトは大胆だなぁ!・・・まあでも、証明するにはそれしかないか。」
「はは、咄嗟にこれしか思い浮かばなくて・・・。ハンジさんはラガコ村に行ってたんですよね。」
「そうそう。リヴァイにはこの間話したけど、今回の巨人の発生源はラガコ村らしいんだよ。」
廊下を歩きながらハンジはことの流れを説明した。
発生源はラガコ村・・・104期調査兵のコニー・スプリンガーの故郷だ。
ストヘス区の女型の巨人捕獲作戦のため、104期が監禁されている間に巨人が発生。
土地勘のある兵士が各地に散らばり避難勧告をしに回ったそうだ。
その巨人はラガコ村の方角から発生した事でコニーは真っ先にラガコ村へ行ったが村人は居らず巨人が蹂躙した後だった。
しかし馬も村に残されたまま、家屋は内側から爆発したような跡がありなど不審な点が幾つか挙がった。
その中、コニーの家に手足が小さく自立できない巨人が仰向けになって倒れていた。
その巨人は、コニーを見るなり「オ・・・アエリ・・・」と言ったそうなのだが当時はコニーの空耳だろうと思った。
しかし、その巨人はどこかで見たことがある・・・と言ったが時間もなく、後日エレンとマコトが誘拐された後モブリットがハンジの代わりに調査をしに向かう。
コニーの実家に落ちていた両親の肖像画と、その巨人と見比べるとその巨人は、コニーの母親にそっくりだったそうだ。
そこまで話を聞くと、マコトはまさか・・・とハンジを見上げる。
「あの巨人達は、ラガコ村の住人って事ですか・・・?」
「その信憑性が出てきた。つまり巨人の正体は、人間である。=v
「そんな・・・じゃあ、私達は今まで」
人を殺していたという事だろうか。
膝から力が抜けそうになるがグッと堪えるとハンジは
「・・・まだ確証は無いけどね。何故そうなったのかもまだ不明だし。」
「エルヴィンは、また一歩真実に近づいたとほざいてたが・・・踏み台にした巨人の人間の数にしちゃ割に合わないな」
マコトがここに来た3年間の間だけでも沢山の命が失われた。
その中には大切な人達も含まれている。
俯いてしまったマコトを見てリヴァイはとにかく、と話題を変えた。
「俺の班の再編成・・・もうそいつらには行動させている。そのメンバーでヒストリアとエレンを保護。一旦身を隠すことにするぞ」
「うん、分かった。ここからはしばらく別行動だね・・・気をつけなよ、2人とも。」
「はい・・・ハンジさんも、休んでくださいね」
そういうハンジも度重なる出来事に、疲労が伺える。
ありがとう、と手を振ると自室へ入っていった。
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