56:疑い

【連載こそこそ話】

37章「駐屯地にて」で、実はマコトさんの正体をネタばらししています。

あの文章は文字化けで作った文章ですので、修復してくれるサイトなどで変換すると読めるようになります。



ウォール・ローゼが突破された可能性があるとの一報で、ローゼの住民はウォール・シーナ内の旧地下都市への避難を余儀なくされた。

だが、残された人類の半数以上を食わせることの出来る食料の備蓄は一週間が限界であった。
それを超えてしまえば、人間同士の奪い合いや殺し合いになるのは必至でそのため、問題発生の一週間後にウォール・ローゼの安全宣言をするしか無かった。



・・・あれから一週間、エルヴィンはトロスト区の兵舎である自室での療養が許された。

化膿止めや抗生物質などが投与され、ここ最近では調子もよく起き上がれる範囲になったのでリハビリがてら部屋を歩けるようにもなった。

リヴァイはエルヴィンに面会しに来たピクシスと話しており、今回の巨人はラガコ村が発生源と判明した。
負傷したハンジの代わりに調査に向かったモブリットの結果をハンジはエルヴィンに報告しに来ていた。


そしてマコトは、と言うと訓練兵団の教官から正式に調査兵団への移籍をするために兵団支部へと手続きに来ていた。

キースや他の教官たちに挨拶がしたかったが状況が状況なのでスケジュールを考えると行く暇がない。落ち着いてから顔を出そう・・・と慣れない書類を書いて、マコトは疲労からくるため息をつきながら兵舎に戻ってきて廊下を歩いていると

「あれ、エレン。もう歩いて平気?」
「あ・・・教官」

そこにはエレン、アルミン、ミカサ、ジャンが居た。しかし、ミカサは肋骨を負傷したはずだが・・・と首を傾げると

「え、ミカサ・・・あなたは大丈夫なの?」
「はい。もう平気です」
「大丈夫じゃないよミカサ、君は今肋骨にヒビが・・・」

そう言うとマコトはえっ?!と驚くと

「笑うだけで痛いって言うのに・・・ミカサ、頑丈だね・・・」
「親に感謝します」

キリッと言い切るミカサにこりゃダメだとアルミンはため息をつく。

「ジャンは?頭の怪我は大丈夫なの?」
「はい。もう瘡蓋になってるんで。」
「そう、良かった。」

安心したようにマコトは笑うと、アルミンは少し緊張した面持ちで

「あの・・・マコト教官、聞きたいことが山ほどあるんですが」
「ん?」

その瞬間、3人の顔が強ばりマコトは穏やかな話ではないなと吹き付けてきた風に髪の毛を抑える。


「・・・何かな?」
「その、本当にマコト教官は・・・ライナー達と同じ故郷では、無いんですよね?」
「マコト教官まで巨人だなんて、言わないでくださいよ?」

アルミンは真剣に、ジャンはいつも茶化すようなノリでそう言うとマコトはああ・・・と失笑すると

「あれは、ライナー達の勘違いだよ。」

そう言うとアルミンはまだ腑に落ちないのか言葉を続けた。

「この間のトロスト区襲撃の際、マコト教官は僕を助けてくれました。 ・・・でも、あの時の言語は、一体どこの言葉なんですか?」

マコトは目を見開いた。
ほんの少し前に起きたトロスト区襲撃、マコトもよく覚えている。

その時マコトは初めてサラの能力を使った瞬間でもあった。



『よくも私の可愛い教え子達を食べてくれたね。私が見た範囲だと3人は食べられたか。』


マコトも無意識に出てしまっていた。
これはさすがに隠しきれない・・・とマコトは目を細めると

「・・・さすがアルミン、記憶力がいいね」
「教官・・・、教官まで・・・」

エレンは目を潤ませ、ミカサとジャンも臨戦態勢かと思いきや眉を寄せて悲しそうな顔をしている。

すると


「・・・おいガキ共、俺の副官を囲んで何やってやがる」

振り向くと、リヴァイが立っていた。


「マコト、遅いから迎えに来た」
「あ、ありがとうございます。リヴァイ兵長」
「手続きは終わったか?」
「はい。無事に」

そう言うとリヴァイはエレン達を睨むと

「・・・何かあったのか?」

突然のリヴァイの登場に全員これ以上追求は出来ないか、と拳を握るとアルミンは

「マコト教官の、潔白を証明していました。」
「・・・あ?潔白だと?」
「リヴァイ兵長も、ご存知ないんですか?」
「話について行けん。マコト、説明しろ」

マコトは眉を下げるとリヴァイにトロスト区の襲撃時、アルミンの前で日本語を喋ってしまった件を話した。

その時の言語が、ライナー達の故郷の言語なのでは?とアルミンは考えているのだろう。
リヴァイはああ・・・と納得すると

「マコトの身の事なら、俺とエルヴィン達幹部勢と貴族のヴァロア家が保証する。」

そう言い切ると全員がえっ?!と驚く。
仕方ない・・・とマコトは

「そう言われても、スッキリはしないよね。いいよ、皆。私の執務室においで?」
「おい、マコト」

止めるリヴァイにマコトは笑いかけると

「まあ、信じてくれるかはこの子達次第ですよ」
「・・・分かった、お前の選択を信じる。」

そう言うとリヴァイは3人を睨みつけると

「いいか、これからマコトが話す内容は調査兵団の機密事項だ。知ってるのは俺、エルヴィン、ハンジ、ミケやモブリット。・・・あとは俺の部下だった特別作戦班のみ知っている情報だ。 ついうっかり漏らしてみろ。お前ら、朝日を拝めなくしてやるからな。」

特別作戦班・・・エレンはその言葉に反応すると驚いて

「リヴァイ班の皆さんも・・・?」
「ああ。お前を守る任務の前はこいつの警護だったからな。・・・とにかく、行くぞ」

そう言ってリヴァイは背中を向けるとマコトも隣を歩く。

これから、どんな話をされるのか・・・エレン達は顔を見合わせると兵舎にあるマコトの執務室兼自室へと向かった。

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