47:昔話

!ATTENTION!

こちらの章は本編は845年より前の、過去のお話となるので変換は最後の方しかありません!

ご注意ください。






これは、5年以上前の出来事だ

リヴァイはファーランとイザベルを引き連れて調査兵団へ入団した。当時フラゴン分隊長の下に付いていたリヴァイはよく隊内でぶつかり合っていた。


当時分隊長だったエルヴィンの隊にいたノアは執務室からその光景を頬杖をついて眺めていると

「エルヴィン分隊長またやってますよー。あのおチビくん、大人しくしてればいいのに。」
「ふふ、それは君だって同じだろう。」
「えぇ?!それはどっちの意味ですか?身長?生活態度?!」


ノアは心外だと言うようにエルヴィンを見ると冗談だよと笑う。
確かにノアは兵士としては小柄すぎる153cmほどの背丈だ。

リヴァイよりかは小さいので人のことは言えない。

「そうだな・・・ノア、少し仲裁に入ってやりなさい。」
「了解」

そう言ってノアはエルヴィンの執務室の窓を開けて窓枠に脚を掛けると

「こらノア。ちゃんと玄関から出なさい」
「・・・はーい」

この間立体機動でこの部屋から飛び出した時はエルヴィンにめちゃくちゃ叱られたのを思い出して、ノアは渋々といった感じで敬礼をすると部屋を出た。



「貴様!上官に向かってなんだその態度は!」
「チッ」
「舌打ちするな!」

フラゴンは青筋を立てて今にもリヴァイに掴みかかりそうだ。
ノアはフラゴンの後ろにこっそりと立つと

「えいっ」
「ぐあっ!」

膝カックンをしてどこからそんな力があるのかフラゴンの脇に腕を回して転ばないようにする。
リヴァイも、その行動に目を見開いており他の班員もまたか・・・と頭を抑える。

「おいノア!またお前か!」
「フラゴンさん、新兵くんをあんま虐めちゃダメですってば。うちの分隊長が心配してますから」
「いや、こいつが言う事聞かないから・・・」

そう言うと、ノアはリヴァイをじーっと見つめた。
翡翠のような瞳はそのまま瞬きすると

「団体行動にまだ慣れてないから、こればっかりは時間をかけるしかないです。ね?」
「あ、ああ」

何とか場を収めると周りは安堵の息を漏らす。
ノアはフラゴンから離れるとリヴァイに近づいて見上げると、頭をペチン!と軽く叩いた。

突然の事にリヴァイは「はぁ?!」と声を出すと

「新兵くんも、団体行動初めてでしょ?戸惑うかもしんないけど連携しないと外では生き残れない。・・・それはわかるよね?」
「・・・ああ」

目を逸らし、リヴァイは返事をすると

「フラゴンさん、ちょっと新兵くん借りていいです?立体機動見たいんですけど」
「それは構わないが・・・今ならハンジ達が居るだろう」
「ありがとうございます! ほら、おいで」

ノアはリヴァイの腕を取り、引き連れると木の生い茂る訓練所へ向かった。


「きみ凄いよね、独学で立体機動覚えたんでしょ? 私なんて訓練兵の頃よく木にぶつかってたのに。まあ私たちが3年死ぬ気で鍛えた訓練時代があるから君たちの事気に入らないのは分かるけど、何事もセンスってのがあるし、そう言う時代の変化も受け入れていかないと頭ん中ジジババみたいに衰えていくんだよね、・・・あ、私はノア・エヴァンス。ノアでいいからね。 とりあえず、あなたの立体機動見せてちょうだいな」

ベラベラとノアはリヴァイにマシンガントークをすると、リヴァイは若干押され気味に頷く。

「(やかましい女だな)」
「あ、いまうるさい女だなって思ったでしょ」

読まれた、とリヴァイはピクっと眉毛を動かすとノアは笑った。


「(・・・変な女)」


リヴァイは自分よりだいぶ小さい、しっぽのように長い赤色の三つ編みを眺めながら心の中で呟いた。


「ハンジさん
「やっほーノア!・・・それと、新兵の子だね。いらっしゃい」

訓練をしていたハンジとモブリットに挨拶をするとノアは

「ちょっとリヴァイくんの立体機動が見たくて」
「なるほど、私も見てみたいなぁ。エルヴィンのお墨付きだろ?」
「そうですそうです」

ハンジはそう言うと、ノアはリヴァイの背中を押して

「ほら、飛んだ飛んだ」

リヴァイは渋々頷くとアンカーを出して、地面を蹴った。
精鋭と同等の機敏な動きをするリヴァイ。そのままブレードを出すと巨人の模型のうなじを切り落とした。

「へぇー・・・彼訓練兵団出てないのに」
「凄いですねぇ・・・」

ハンジもモブリットもリヴァイの動きを見て感心する。
・・・エルヴィンはリヴァイの動きを見て、彼はいつかこの調査兵団の一翼となると説明してきた。

ノアもそれは何となく分かっており、彼は原石だと思った。




リヴァイはいつまで続ければいいんだと内心思っていると目の前を物凄い速さで飛んでいく影が見えた。
それはノアで木を蹴って身体をひねらせ回転斬すると、見えない速さでうなじを切り落とした。

「なっ・・・速い」

リヴァイの居る、フラゴンの班の誰よりも素早い。
木の上に着地すると

「正直に言いますと、私のいるエルヴィン分隊は他の班より精鋭揃いですよ。」

ノアはそう言うとドヤ顔で笑った。






初めての壁外調査後、リヴァイは雨の中巨人の返り血だらけのまま草の上で膝と手を着いた。
ファーランとイザベラは巨人に食べられ、その巨人をどうやって倒したのかも覚えていない。

エルヴィンを暗殺する計画も失敗し、自分の選択により大切な仲間も失ったリヴァイは途方に暮れているとフードを被ったノアがリヴァイの周り・・・亡くなった兵士の兵服からナイフで何かを切り落とす音だけが響く。

何をしているのだろう、とリヴァイは不思議そうに口を半開きで眺めているとノアがやってきて、目の前で膝を着いた。

「酷い顔だなぁ・・・最初の威勢はどうしたよ、リヴァイくん」

そんなノアの顔も、失った仲間のせいか顔色が悪い。
ノアは兵服から腕章を取っていたらしく何かを探すとリヴァイの血と泥にまみれた手をハンカチで優しく拭き取った。


そして、手のひらに2枚の腕章を置いた。
ファーランとイザベラのものだ。

「これが、ファーランとイザベラが生きてた証だ。 私達は、その屍を道にして前に進む。後悔して振り向くことは出来ない。・・・君はどうする?」
「俺は・・・」
「・・・霧が晴れてきた。ほら馬に乗って、あなたは私達の隊に一旦入るよ」

そう言ってノアはリヴァイの腕を掴んで立ち上がらせると馬に乗せた。

「・・・なあ、ノア」

並走するリヴァイは、初めてノアの名前を呼んだので驚いて顔を見るとその顔は夕焼けのせいか鋭い目に光が差し込んで思わずノアは息を呑んだ。

「アンタの技術、俺に叩き込んで欲しい」

そう言われると、ノアは目を見開いて笑うと

「次の世代に引き継がせるのも、先輩の役目だからね。・・・いいよ、とことん付き合ってあげる」




その後、キースが団長を辞退しエルヴィンが13代目の調査兵団団長に就任。

「ノア・エヴァンス 辞令だ。 君を調査兵団 兵士長に任命する」
「はっ!拝命します!」

ノアは手を胸に当て敬礼するとニコッと笑う。

「それで、君に特別作戦班を編成させたいんだが、誰か引き抜きたい兵士は居るかい?」
「まずはー・・・スカーレット、ジェレミー、サイモン・・・リヴァイかな」
「良いだろう。しかしなぜその組み合わせなんだ?」
「この3人は討伐補佐が多いですからね、リヴァイと私で1番危険とされるうなじを狙いに行けば効率がよろしいかと」
「なるほどな。まあ元々リヴァイをお前に預けるつもりだった。色々と教えてやってくれ」
「了解です!」


こうして初代特別作戦班が結成され、壁外調査の最前線を担った。



ー 845年
ノアは訓練休憩中、左手に輝く婚約指輪を太陽に当ててニコニコしていた。

「明日だろ、ヘマして怪我すんなよ」

振り向くとリヴァイが腕を組んで立っていた。
明日はノアと婚約者の結婚式・・・幼なじみの彼は実家の店を継いでおりノアも今月で寿退団する予定だった。

「めでたいが、お前が前線を引くの痛手だな」
「大丈夫だよ、リヴァイが居るし。」
「はっ、どうだか」
「ふふっ、ねえ・・・明日来てくれるんでしょ?」
「ああ。緊張してションベン漏らすなよ?一生に一度しかねぇ晴れ舞台だろ」
「ぶはっ式前にトイレ行っておかないとね」

腹を抱えてノアは笑うと、リヴァイを見つめて

「まじで、あとは頼むよ。」
「・・・ああ」

その瞬間、身体が浮くほどの大きな地響きが鳴り全員が立ち上がった。リヴァイもノアも、壁に向かって息をするのを忘れるほど固まった。

「なに、あれ」
「巨人か・・・?」

超大型巨人と、鎧の巨人の襲来。


その後調査兵団の精鋭部隊であるノアの班はリヴァイ以外を残して全滅した。


ノアの結婚式前日。リヴァイが兵士長として任命された日でもある。





馬車の音で周りには聞こえなかっただろう。
リヴァイの新兵時代の過去と自分の前世であるノアの過去。

「・・・こんな感じで、今のリヴァイ兵長が居るんだ。彼はこの間の壁外調査を含め3回、大事な仲間を失ってる」

マコトは黙り込むと、チラッとリヴァイを振り向いた。その横顔は目を閉じており、今何を思っているのか。

「・・・マコト、リヴァイ兵長を頼むよ。」

モブリットの言葉に、マコトは頷いた。

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