巨人化したアニとエレンの攻防戦。
この間のように、森の中ではなく街中で行われているので市街地の損傷が激しい。
恐らく、逃げ遅れて潰されてしまった住人も多数いるだろう。
「ハンジさん、住民の避難もさせないとこれ以上は危険です」
「ん、だね・・・まったく、憲兵は何してんだろうね・・・! お前たち、捕獲網を準備しておけ!」
マコトとアルミン、ジャン、ハンジ、モブリットは住民を避難させなければ・・・と辺りを見渡すと、訓練兵の合同演習の時に居たマルロとヒッチ、周りの憲兵団は呆然と街を眺めていた。
「マルロ!ヒッチ!何ボサっとしてんの!住民を避難させなさい!」
そう言うと、マルロはえっ?!と戸惑い、ヒッチも困った顔をする。
「マコト教官?! し、しかし・・・自分の独断だけでは」
「そうだ調査兵団!勝手な真似はするな!」
そう言って、他の先輩憲兵がマコトの肩をドンッと突き飛ばした瞬間、マルロとヒッチがゲッという顔をすると
「ちょっ、ロイド先輩!まずいで・・・」
その瞬間、マコトがそのロイドという憲兵に拳を振るうと鼻目掛けて殴りつけた。
「ガアッ!」
「マコト?!」
さすがのハンジとモブリットも驚くとロイドは吹き飛ばされボタボタと止まらない鼻血を手で抑える。
鼻が折れたのか、変形してしまっている。
「き、貴様!暴力行為だぞ!」
「そっちが先に手を出してきたから正当防衛、ですよね?ハンジさん」
「・・・あーあ。 君、マコトを怒らせちゃったね」
マコトは親指で1本1本の関節を鳴らしながらロイドに近づき、目線を合わせようとしゃがみながら少し乱れて落ちてしまった髪の毛を耳に掛けるとニッコリと微笑むと
「私、ガチで殺りに行く時は鼻を狙うんですよ。」
「ヒッ・・・」
「躾に一番いいのは痛みだって聞いたんです。やってみませんか?」
マコトは何処からそんな力があるのか一回り大きなロイドの胸についた耐Gベルトを掴んで立ち上がらせると、足を踏み込んで右ストレートを決めようと拳を振るい、ロイドも腕で顔を覆ったが、フェイントをかけて衝撃が来たのは鳩尾だった。
「がはっ・・・おえっ!」
ロイドは屋根の上でのたうち回り、嘔吐すると周りの憲兵も唖然としている。
そして、ハンジとモブリットもまともにマコトの格闘技を見たのは初めてだったので驚いて口を開けている。
「あれ?憲兵団って、訓練兵団上位10名しか入れない優秀な人達じゃありませんでした?こんな拳をまともに食らっちゃうなんて・・・軽く殴ったはずなんですけど。大丈夫ですか?」
マコトは拳に付いたロイドの血を眺めると
「チッ、汚ないなぁ。」
そう言ってロイドの制服で拳をゴシゴシと拭うと憲兵団全員を睨みつけて
「あなた達さぁ、ここの住民のおかげでご飯食べれてんだからその分働きなさいよ!ぼーっとしてんじゃねぇぞこの豚共っ!さっさと行け!」
「はっはいぃ!!」
「住民の救助と避難だ!急げ!」
「あの女に殺されるぞ!」
その場にいた憲兵が蜘蛛の子を散らすように立体機動に移り、マコトはマルロを睨むと
「マルロ。あんた、真面目で志高いなって思ってたけど、憲兵に来て豚野郎の仲間になってんじゃないよ! 指示待つだけのグズ野郎に教官達は育てた覚えはないよ!その状況によってアドリブ使いな!このキノコ頭!」
「は、はい!すみませんっ!!(キノコ?)」
「今何をすべきだ!?」
「住民の避難、救助です!」
「分かってんじゃねぇか!」
「はいぃ!」
半泣きのマルロとヒッチは敬礼をするとマコトは舌打ちをして
「敬礼しとる暇あんならとっとと行け!ほらっ、はよ飛ばんかい!」
「ぎゃあああ!」
そう言ってマコトは回し蹴りをするとそのままマルロを屋根から突き落とした。
マルロは叫びながら立体機動へと移り、ヒッチも後を追いかけた。
巨人同士で殴りあっている間に、ここでも殴り合いが・・・気づいたら調査兵団が全員固唾を飲んでマコトを見ている。
そんな2人を見届けながら、マコトは今度はハンジを見る。さすがのハンジも肩を震わせると、
「さ、ハンジさん。住民の避難は大丈夫そうですから、女型の捕獲に集中できますね!」
両手を合わせて笑顔でそう言うとハンジは爆笑してしゃがむと屋根をバンバン叩いた。
「ぶはははは!さすがマコト!リヴァイに似てきたね!こえーわ!」
「分隊長!笑いすぎです! ぶふっ」
「モブリットだって笑ってるじゃないか!あの憲兵がマコトに怖気付いて逃げてったよ!」
ハンジはアルミンとジャンを見上げると
「あー笑いすぎた・・・ねぇ、マコトって教官時代もあんな感じなの?」
「はい・・・まさにそれでした・・・思い出したら・・・震えが・・・そうだ、僕達は思い出した・・・マコト教官の恐ろしさを・・・」
アルミンも昔、判断が遅い!とお尻を蹴られて3日間痛みが引かないことがあった。
「あのパンチ、俺喰らいましたけど・・・マジで破壊力エグいです・・・同情するぜ」
ジャンは最初の挨拶の頃同じように腹パンをされた事がある。
そう言うとまたハンジはリヴァイに見せてやりたかったと笑い転げた。
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