42:選択
解散、となると全員は席を立つがリヴァイは

「エルヴィン、ハンジ、マコトは残れ。・・・マコト、あの時のお前のことだ」
「あの時?」

ハンジが首を傾げ、エルヴィンも眉を寄せマコトもああ・・・と言うとリヴァイの横に座り直した。

「巨大樹の森であった女型の巨人との戦い。俺はミカサと奴を追っていたが交戦中にマコトが自力で出てきたんだ」
「・・・ああ、あの時の。それが、どうかしたの?」
「マコト本当に覚えてないのか? お前はあの時、ノアに身体を乗っ取られたんだぞ」

ノア・・・その名前を聞いてハンジとエルヴィンが目を見開いてマコトを見た。

「うん・・・覚えてないです。ただ、飲み込まれた時に・・・元の世界に居たんです。あちらの世界で、私はこっちの世界の事をすっかり忘れて、普段通り自衛官の生活をしていましたがどうも気分が悪く、訓練を休もうと廊下を歩いていたら・・・何故かそこにノアさんが居ました。」

エルヴィンは顎に手を当て何かを思考をするとハンジは続けて、と身を乗り出す。

「最初は誰だか分かんなかったですが『早くリヴァイの所へ帰りなさい』って、そしたら全部を思い出しました。」








トロスト区襲撃の事、リヴァイと話したノアの前世説、女型の巨人との交戦・・・エルヴィン、ハンジは全ての話を聞いて頭を抱えた。

「・・・つまり、マコトの前世ってやつがノアの可能性が?」
「確かに…ここまで繋がっているとその説が濃厚だな」
「・・・あと、帰る方法も教えてくれました」

その言葉にリヴァイは目を見開いた。それは初耳だ。
マコトもリヴァイを見つめてから全員を見ると

「ただ、ノアさんは教えてくれるんですけど言葉が聞き取れなくて・・・」

マコトは冷めきった紅茶を口に含めると

「だから私は、この世界に飛ばした詫びとして力を貸してほしいとお願いしました。 ここにも大切な人が居るから、守りたいってお願いしたんです」
「それで、ノアがその時・・・」

リヴァイは女型の巨人との戦いを思い出しながらマコトはこくりと頷いた。

「その帰れる方法、どうにか知りたいよね・・・マコトの方からはコンタクト取れないの?」
「はい。何かきっかけみたいなのがあれば・・・」
「トロスト区や女型の巨人の時みたいに生命に危険を感じた時に発動するのかもしれないね。実験したいけど・・・」

チラッとハンジはリヴァイを見る。


しかし、リヴァイは先程から口開かず目に光がなくなっている。
さすがのエルヴィンも眉を寄せて

「・・・リヴァイ、大丈夫か?」
「ああ。」

掠める程度だがすこし光が見えた。
リヴァイはマコトの手を握ると左手の薬指を撫でて

「俺が言ったこと、覚えてるか?」


未来で待ってろ


「マコト。俺は、選ぶぞ。・・・待てるな?」

その言葉を思い出してマコトはまた鼻の奥がツンと痛くなり涙を堪えるように瞬きをするとこくりと頷いた。

「え?え?何の話?」
「うるせぇメガネ。とにかく・・・・・・マコトを帰す。それが俺の中での最優先事項だ」


悔いのない選択を、リヴァイの目には光が戻っていた。

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