28:特別レッスン

ー次の日。

マコトはリヴァイの宣言通り、外が薄らと明るくなるまで寝かせてはくれなかった。
最終的に意識が無くなったのでどうなったか覚えては無いのだが、起きたらリヴァイがいつものようにマコトを抱きしめて眠っていた。

「リヴァイさん、朝だよ」
「ん・・・」

こんな寝顔も久しぶりに見た。
マコトはリヴァイが普段やってくれるように頭を撫でてみると

「・・・悪くねぇな」
「起きてたんかい」
「寝起きはいい方でな」

そう言うとリヴァイは目を開いて軽くマコトにキスをすると

「おはよう」
「おはよう」

そんな何気ない挨拶も幸せであった。





マコトは伸びた髪をキツく三つ編みにするとそのままお団子にしてピンを止める。

軽く腕を伸ばして準備運動をしていたエレンを見ると、

「さあエレン、やるよ!」
「はい!よろしくお願いします!」

旧調査兵団本部、少し離れた広場でマコトとエレンは格闘術の訓練が始まった。

ペトラやエルド、オルオやグンタ達はリヴァイの遣いであったり清掃、訓練などをしている。
リヴァイはエレンが巨人化して暴走しないように・・・と椅子に座ってマコトの訓練を見る事にした。


「準備運動開始!」

ピーッ


マコトは笛を吹きながら例の地獄の体操をエレンとやる。やはり一矢乱れぬ2人の動きにリヴァイもやらないかと巻き込まれそうだったので、俺は水を持ってくると逃げ・・・ではなく、席を外した。



体操を終えてマコトは息を整えて軽く構えると、

「じゃあエレン、どこからでもいいからおいで」
「は、はい! ・・・せいっ!」

エレンは足元を狙おうと蹴りをすると、マコトはそれを受け止めた瞬間片足を引っ掛けてエレンを仰向けににすると関節技をやり始めた。

「いっ、いてててて!」
「エレン、今日は関節技を教えるよ!確かライナー達とお遊びでやったけど、もうちょっと突っ込んだ技も教えるからね。」
「はい!」
「それに関節技をやってるうちに巨人のうなじを狙ってもらえるかもしれないから」
「なるほど・・・!」

格闘術マニアだったマコトに関しては嬉しい役を貰った。


巨人化したエレンが関節技やプロレス技をしたらめちゃくちゃかっこいいのではないか・・・? パイルドライバーとかさせたら凄そうだ・・・

と、そんな自分の欲が出てしまっているので、自分も大概ハンジと同類なのでは?と少し怖く感じながらもエレンに教え込んだ。







「・・・オイ、お前ら・・・これは・・・どういう状況だ?」

水を取りに少し席を外している間にマコトはエレンと地面で縺れ合う・・・寝技の説明をしている最中だった。

マコトがエレンの胸元にまで跨り、バンザイさせられているエレンの肘を掴んでいるいる状況だ。

「あ、リヴァイ兵長おかえりなさい」

マコトはニコリと笑うと

「・・・それは訓練なのか?」
「はい!」

屈託のない笑みを浮かべ、リヴァイは一瞬焦った自分を殴りたいと思った。


それからもエレンの首をマコトの細い脚が挟んだ瞬間は、エレンに向かって椅子を投げそうになったがリヴァイは腕を組んでそれを耐えた。






休憩となり、リヴァイが持ってきた水をエレンとマコトは飲む。
リヴァイとマコトは汗を拭きながら椅子に座り、エレンは地面に胡座をかいて喉を潤すと、そう言えば・・・と話題を出した。

「あの、リヴァイ兵長とマコト教官ってどういうご関係なんです?」

15歳の少年からのストレートな質問。
リヴァイとマコトはお互い目を見合わせた後エレンを見ると、マコトは笑って

「リヴァイ兵長は、命の恩人だよ。エルヴィン団長とハンジ分隊長も」
「命の恩人?」
「3年以上経つか・・・こいつが山の中で賊を潰して暴れてるって憲兵から情報を貰ってな。俺たちが調査に行ったらこいつが居た。」
「暴れてるとは人聞きが悪いです」

マコトはリヴァイに体重を傾けてそう言うと、間違ってねぇだろと手でマコトの頬を挟む。

「こいつが発見された時は、記憶喪失で言葉も話せなかった。まあ色々あって、調査兵団で預かることになった」
「記憶喪失は確か初日で聞きましたが・・・じゃあマコト教官はどこで生まれたとか、分からないんですか?」

本当はそうでは無いのだが、胸を少し痛めながらマコトは苦笑して頷く。


「喋れるようになるまではハンジさんから言葉を教わってね。格闘術は記憶にあって得意だったからそのまま教官にならないかって」
「ああ・・・だからあのタイミングで」
「そう言うこと。・・・ですよね、兵長」
「ああ。」

マコトはリヴァイを見てにっこりと笑うと、リヴァイも普段とは違い割と穏やかな顔だ。

そんな2人を眺めながらエレンはへぇ・・・と頷くと

「俺はてっきり、おふたりは恋人同士なのかと」
「は」
「げほっ!んんっ!」

水が気管支に入ってしまいマコトは思わずむせてしまった。

鋭いのか鈍感なのか・・・エレンはわからなくなる時がある。ミカサも苦労するな、とマコトは苦笑いするとリヴァイはマコトの頭を掴みグリグリと撫でる。

「・・・こいつがただ人懐っこいだけだ。」
「あはは。確かに俺たち訓練兵とも溶け込むの早かったですから。訓練と休みの切り替えがしっかりしててフォローもしてくれたり・・・俺達みんなマコト教官が大好きですよ」
「エレン・・・!!」
「超がつくほどのお人好しだからな。」

マコトは感動して目をキラキラさせ、リヴァイはそんなマコトを見つめて微笑む。

エレンは何となくこの2人はリヴァイ班のメンバーとは違った別の・・・自分やアルミン、ミカサのような絆が深い関係なのだなと納得した。

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