26:勧誘

ーエレンとリヴァイ班は急遽、旧調査兵団本部へと移動することになった。
その旧調査兵団本部は中心地から離れ、山に囲まれている。使われていない施設かつ地下もあるのでエレンがもし地下で巨人化しても特別作戦班なら対応ができるだろう。



そうなると、マコトとリヴァイは離れる事になってしまう。
前日の夜、レザーのトランクにリヴァイの荷物をまとめるのを手伝っていると

「マコト」
「はい?」

顔を上げた瞬間、リヴァイは唇を押し付けた。
驚いたが目を閉じてそれを受け入れるとゆっくりとソファに押し倒された。

「ん、ちょちょ、リヴァイさんっ!準備しなきゃ。後ちょっとで終わるから、ね?」
「そんなもん後でいい。」

リヴァイは辞める気が無いようで、マコトの手からリヴァイの着替えであるシャツをポイっと背もたれに掛けると首筋にキスをしマコトのシャツのボタンに手を掛けると耳元で

「・・・暫く会えなくなる。」
「うん。仕方ないけど、寂しいね・・・」
「だから、今日は立てなくなるほど可愛がる」

そう言って首から顔を離して言うと、マコトは顔を赤くしながら頷くと腕をリヴァイの首に回す。

了承の合図と言わんばかりに、リヴァイは噛み付くようにキスをした。





***




ー次の日
リヴァイの宣言通り立てなくなるほど求められ、マコトは脚と腰に力が入らなかったが無理やり動かし見送りに行く…と、一緒には行かず時間をずらしてマコトはリヴァイの数分後に兵舎の入り口へ来た。

最近忙しくてなかなか会えなかったペトラ達も既に準備完了しておりマコトを見ると笑顔になった。

「マコト!」
「ペトラさん、気をつけてね」
「うん!」

ペトラとマコトは駆け寄って抱き合うと、エルド達も微笑ましく見守る。

「皆さんも気をつけて。エレン、皆さんの言うことちゃんと聞くんだよ?」
「はい!」

エレンは敬礼するとマコトはリヴァイを見て

「ではリヴァイ兵長、お気をつけて」
「ああ・・・行ってくる」

そう言って敬礼をすると、リヴァイも頷く。
その声色は普段とは違い穏やかなトーンだ。


暫く見つめ合っている2人にリヴァイ班は

「兵長とマコト、暫く会えないだなんて・・・」
「切ないわ・・・見てよあの兵長の目!(ペトラビジョン)」
「2人とも仲直りしたみたいで良かった」
「うんうん」

そんなリヴァイ班の会話を聞いていたエレンは首を傾げると小声で

「あの、リヴァイ兵長とマコト教官って・・・」
「シッ!」
「リヴァイ兵長は春到来中なんだ!」
「ガキは黙ってろ!大人の恋愛だ!」
「私達は見守り隊なの!」
「はぁ・・・」

一斉にそう言われ、春、大人の恋愛、見守り隊の意味が分からずエレンは首を傾げた。









それから5日後ー

リヴァイと離れてしまい鬱々となる日々だが自分も頑張らねば、と新しい訓練兵団の名簿を見ていると



コンコン



扉がノックされ「どうぞ」と返事をするとエルヴィンとハンジだったので慌てて立ち上がって敬礼をした。

「マコト、仕事中すまないね。」
「い、いえ!むしろ呼んでくだされば・・・」

慌ててソファに案内してお茶を出そうとするがエルヴィンは気にしなくていいよ、と手で制する。

「マコト、君に頼みたいことが。」
「私にですか?」

首を傾げるとエルヴィンとハンジは顔を見合わせて

「いきなりで悪いが・・・調査兵団に来ないか?」
「・・・はい?」









「もしエレンがあの巨人をコントロール出来るようになれば、立体機動術ではなくもっと精度の高い対人格闘術が必要になる。」

エレンが必ず倒す必要がなくても討伐補佐をして兵士にうなじを狙ってもらえる、そう言うやり方もありかもしれない。と考えた瞬間別の考えが出てきた。

5年前の大型巨人が出現した際にもう1体巨人が現れた話を思い出した。今回のトロスト区の件では、1体のみで鎧の巨人は出現していない。
マコトは鎧の巨人は見たことないが、とても強固な身体を持ち門に突撃してきたのだと言う。


マコトはエルヴィンの意図が何なのか・・・
何故、自分に頼んでくるまでエルヴィンはエレンの技術を磨かせたがっているのか・・・

マコトは首を傾げると

「団長は・・・5年前現れた鎧の巨人の対策を練っていらっしゃる?」

そうぽつりと呟くとエルヴィンは驚くと、ははっと笑った。

「鋭いな。・・・そうだ。俺たちはあの時、鎧の巨人が出てこなかった事に疑問を思っていた。・・・そこで、仮にそうなった時の為の対策として、君にはエレン専属の先生になって欲しいんだ」
「・・・確かに、トロスト区で巨人化したエレンを見ましたが動きが酷かったです」
「やってくれるかな?一応訓練兵団にその事を相談したら、許可を貰ったよ。君の返答次第では一時的にだけど調査兵団へ人事異動だ。」
「もしウォール・マリア奪還後に壁外調査ができたら元の世界に帰れるヒントがあるかもしれない。・・・どうかな?」

マコトは驚いたが、ここに来た当初エルヴィン達に誓った事がある。

「私は、皆さんに協力させて欲しいとお願いした身ですので。そのお話、引受させていただきます」

私なんかで良かったら、ですが・・・と笑うとエルヴィンとハンジは嬉しそうに大歓迎だよと喜んだ。

「あとはリヴァイだが・・・説得が大変そうだ」
「リヴァイさ・・・リヴァイ兵長なら、私が自分で選択して後悔しなければそれでいいと許してもらえると思います」
「そっか・・・あ!そうだ、これペトラから伝書鳩が届いてね。マコト宛だよ」
「ペトラさんから?」

手紙を開くと手紙が1枚と地図が入っており内容を読むと

「・・・えっと、旧調査兵団本部が広すぎて掃除が終わらないから手伝って欲しいと」
「ぶっ、ははは!マコトは掃除得意だからね!」
「応援要請か。行ってくるといい。リヴァイも喜ぶさ」
「は、はい・・・」

仕事柄掃除も業務でチリひとつあれば上官に怒られていた自衛官時代を思い出す。
自室のベッドもシワなく整えていたり、部屋を一緒に綺麗にしたリヴァイも悪くない腕だと褒めていたほどだ。

「では、訓練兵団教官はしばらくお休みですね」
「ああ、よろしく頼むよ。」
「こちらこそ、お世話になります!」

そう言ってエルヴィンとハンジと握手を交わした。

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