9:新しい鬼教官
『すご・・・』

思わず日本語が出てしまった。

訓練施設ではリヴァイ達が立体機動の訓練をしていた。模型となる巨人を連携しながら倒して行く様はアクロバティックで鳥のように綺麗だ。
マコトの時代にはない技術で、一体どういう風に飛んでいるのか・・・

「立体機動装置の重さは10kg。ワイヤーは30mまで伸びる。耐Gベルトを全身に着ける事で細かい重心移動が可能になってるんだ。」

リヴァイは一緒に飛びながらペトラ達に厳しい指示を出して全員それに食らいついている。

「特にリヴァイの所は精鋭班でね。リヴァイが選んだメンバーで構成されてる。」
「へぇ・・・」

ハンジの説明を聞きながらマコトはリヴァイ達の動きに見とれる。


するとリヴァイはこちらに気づいたのか何かを指示するとリヴァイだけ抜け出してこちらへやってきた。

「何か用か?」
「マコトに立体機動装置がどんなものか見せたくてね」
「・・・まさか、マコトも壁外に連れてくのか?」

突然険しくなったリヴァイの顔に、ハンジはまあまあと笑うと

「いや、彼女には訓練兵団の教官をやってもらう」
「そりゃあ斜め上の回答だ」

遠くを見ればペトラが巨人を模したハリボテの脚を狙い、グンタがうなじを狙っている。
巨人と戦うには一人ではなく複数で狙った方が確実に攻められる。

「そういやもう一個の訓練所で訓練兵が訓練してるぞ。見に行っても損は無いだろ」
「そうか、マコト。見に行くかい?」
「はい」

リヴァイ達と別れたあと、第2訓練所へ行くと訓練兵達が連携で巨人を倒していた。
リヴァイ達を観た後だと確かに動き違いがある。
連携が上手くいっていなかったり、まだ体力が少いようにも感じる。

「えるびんさん」
「どうした?」
「こっちの世界は厳しくしすぎて両親から苦情、くる?」

エルヴィンとハンジはそんな話を聞いて「は?」と首を傾げた。

「私の世界、ちょっと厳しくすると、親が出てくる」
「えぇ?・・・ぶっははは!そんな事今までないよ!むしろもっと鍛えてくれって言われるほどさ」
「生き残るための訓練だからな」

今の自衛官の候補生達は少し厳しくしたりするとすぐに両親から苦情の連絡が来ることもしばしばだ。

なのでマコトも指導に当たる時はくれぐれも気をつけるようにと上官から念を押されていた。


***


数日後・・・マコトは訓練兵団へ行きキース・シャーディス教官に挨拶をした。彼はエルヴィンの前の調査兵団の団長だ。

あまり成果を出せず、自責の念でエルヴィンに団長を譲った。 その後は訓練兵団の教官をしている。

見た目はスキンヘッドで193cmもある長身の男性。最初見た時は迫力がありマコトは驚いたが負けじと睨み返すと、

「・・・なるほど、よろしく頼む」

手を差し出され握手を交わす。訓練兵団用の制服を支給されるらしく、渡されたのは訓練兵団は剣をクロスさせた団章ロングコートを渡された。

「すまないな、1番小さなサイズなんだが・・・」

袖がだいぶ余ってしまい、マコトは大丈夫です、と七分ほどの袖を捲る。

「マコト教官には104期訓練生の面倒を見てもらおうと思う。 早速案内しよう」
「よろしくお願いします」

廊下を歩くがお互い無言の空間。
気まずいが、まだ言葉が不十分なマコトはキースの斜め裏で頭をぐるぐると悩ませていると

「記憶喪失と聞いたが、もう大丈夫なのか?言語も分からなくなるほどだと聞いたが・・・」
「はい。ハンジ分隊長やエルヴィン団長が教育してくれましたので、最初の頃よりかは」
「そうか・・・あまり無理せず、困ったことがあれば頼るといい」

見た目の割に結構気にかけてくれる、いい人なのかもしれない。マコトは笑顔でお礼を言うと、広場に到着した。

「整列!」

訓練兵がそう叫ぶと、バラバラで談笑していた訓練兵は慌てて整列をするとよろしくお願いします!と敬礼をした。
マコトも後ろに手を組んでキースの斜め後ろに立つと全員が視線だけでマコトに注目した。

「今日から新しい教官が加わることになった、マコト・マカべ教官だ! 彼女には対人格闘技、行軍などの立体機動術以外の知識をお前らに叩き込む!・・・ではマコト教官、挨拶を」

突然マコトに対して口調が柔らかくなったキースに全員は不気味さを覚えながらも全員はマコトを見つめた。

マコトはキースの隣に立つと敬礼をし、

「初めまして、ご紹介にあずかりましたマコト・マカべと申します。 死なない程度に皆さんを教育していいと聞きましたので、皆さん死ぬ気で食らいついてきてくださいね」


そう言ってにこりと笑うと、全員がよろしくお願いします!と敬礼をした。


「はっ、新しい教官って女かよ・・・」

小声でそう呟いたのはジャンだ。
見た目は小柄でジャンより頭1つ分小さいマコトを見て大したことは無いだろうと笑っていた。
エレンの隣にいたアルミンは、チラッとエレンを見ると

「綺麗な人だね。ね?エレン」
「ん? ・・・ああ。そうだな」

そのつぶやきが聞こえたのか、ジャンはへぇ・・・と後ろを向いてニヤニヤすると

「なんだエレン、お前ああいうのがタイプか?」
「はぁ?お前何言ってんだよ。俺は別に・・・」
「シッ、エレン。静かに」

その隣にいたミカサがエレンに注意すると、マコトは涼しい顔をしてこちらを見ておりまずい、とエレンは真っ直ぐと前を向いた。

マコトはそのままバインダーを持ちながら・・・ジャンの前に立った。

「ジャン・キルシュタインくん、で合ってる?」
「はっ!」

ふむ・・・とマコトはジャンの成績を見ると

「立体機動術や座学の成績はトータルで優秀だね」
「あ、ありがとうございます」

ジャンは余裕そうに笑うと、マコトはバインダーを閉じてジャンの隣にいたマルコにポイッと渡すと、

「んじゃ、構えてみな」
「・・・は?」
「対人格闘技、キース教官に教わったでしょ? ほら」
「は、はい!」

そう言って構えた瞬間、マコトは素早くジャンに顔目掛けて拳を振るった。ジャンは咄嗟に両腕でガードするが、小柄に見えて重い一撃にジャンは痛さに顔を歪めた。

「重っ・・・」
「反射は悪くないね」

素早い殴りに全員は驚いてざわつきながら距離を開ける。

「君はどこ希望なの?」
「け、憲兵団です」
「成績上位10名から選ばれる所だね。・・・君、憲兵なる気ある? 実力があるのに手抜いてない? 対人格闘技なんて、別に成績関係ないからとりあえず教えられた型を覚えときゃいっか、みたいな。そんな風に見えるんだけど」

ざっと全員を見ると目を逸らす訓練兵がちらほらと見える。目を逸らさない人間はきっと真面目に取り組んでいるのだろう。

マコトはジャンから距離を置くと再び構えた。

「いい? 私が教える対人格闘技は・・・」

そう言ってマコトは今度は左手で殴ろうとしたのでジャンは構える、が繰り出してきたのは右手でその拳はジャンの鳩尾にクリーンヒットした。

そのままジャンはむせて膝から崩れ落ちる。

「ガッ・・・!ゲホッ、ゲホッ」
「い、いま左から来ると思ったのに・・・」

コニーが驚いて居ると、マコトは周りを見渡して

「ならず者達は型なんてない。そう言う人達に皆が勝てるように私はここに来ました。巨人も怖いかもしれないけれど、何よりも怖いのは人間だ」

そう言ってマコトはしゃがみこんでジャンを見ると

「ジャン、悪かったね。 吐かない程度に軽く殴ったつもりなんだけど」
「こ、これで軽く?!おえ・・・」
「ごめんごめん、水飲んできなさい。 はい、行った行った。んーと、マルコだよね? ジャンに付いてってあげて」
「は、はい!」

ジャンの背中をバシッと叩くと、マルコからバインダーを受け取る。

「ってわけで。皆さんよろし・・・」


サクッ


何かをかじる音が聞こえた。
ん?とマコトは眉を寄せて、辺りを見渡していると


サクッ


まただ。

「・・・何の音?」

近くにいたミカサに声をかけると、ミカサは2人隣にいる少女を指さした。

ポニーテールの少女は、芋を食べていた。
全員が「またかよ」「終わった」と言う顔をする中マコトは信じられない、と言う顔で少女の前に立った。

「・・・えっと、貴方は?」

その瞬間、敬礼をするが芋に心臓を捧げているようなポーズになる。

「はっ!ウォール・ローゼ南区、ダウパー村出身、サシャ・ブラウスです!」

よく通る声が響き、マコトはそう・・・と頷く。

「サシャは・・・なんで芋を食べてるのかな?」
「調理場に頃合のものがあったので、つい・・・」
「つい・・・?そうか、ご飯は芋料理なんだね」
「はい!冷めてしまっては元も子もないので、今食べるべきだと判断しました」

真剣な眼差しで訴えるサシャ。
悪気は無いのだろうが、何故ここで芋なのか。マコトは動揺しながら、

「でもなんで・・・今芋を食べようと・・・」
「それは、何故人は芋を食べるのか・・・という話でしょうか?」

マコトは呆気に取られ頭を抱えると

「哲学かぁ・・・」
「あの、怒らないんですか・・・?」

怯えたようにマコトの顔色を伺うサシャ。
自覚はあるのかよ、とため息を着くと

「食欲は人間の欲求だからね。芋は腹が膨れるし・・・美味しいよね」
「じゃ、じゃあ・・・!」

サシャはそう言うと、芋を半分に割ると満面な笑顔で

「教官にも、おすそ分けです!」

半分になった芋を受け取りマコトはかじると

「・・・悪くない」

どこかの兵長の真似をした。するとマコトの後ろでキースが鬼の形相で立っており、

「ブラウス!!貴様は死ぬ寸前まで走ってろ!また芋を盗んだのか!!!!」
「ひああああ!!!!」

叫びながらサシャは慣れたように訓練所を走り始めた。

マコトは全員を見渡すと

「えっと・・・いつもあんな感じなの?」

そう聞くと、全員が揃って頷いたのだった。


「と、とにかく、これからよろしくね!」

芋を片手に、にっこりと笑うと、全員は怯えながらよろしくお願いします!と敬礼をした。



***



マコトの訓練は壮絶なものだった。
全員1列に並べられてマコトから繰り出される攻撃に対応出来るかと言う訓練が始まった。

出来なければ訓練場を10周走らされるノルマが課せられる。 クリア出来たのはミカサ、アニ、ライナーの3名のみでそれ以外は全員叫びながら訓練場を走らされている。

ジャンは走りながら悪態をつくと

「くそっ、なんだよあの女教官!めちゃくちゃ強ぇじゃねーか!」
「それもだけど、この人数を相手にする体力も凄いよね」

マルコもまたマコトに負けたメンバーで、ジャンと並びながら走る。体力の無いアルミンはヘトヘトになりながらジャンを見ると

「ジャン、お腹は大丈夫なのかい?」
「あ?ああ・・・さっき腹見たらアザできてた・・・あれで軽くっておかしすぎんだろ」
「マコト教官もキース教官みたいに調査兵団だったのかな?」
「さあな。まあでも調査兵団でも納得行くかもな・・・」

全員が10周を走りきる頃には夕方になっており、全員がフラフラしながら広場に戻ってくると

「あ、きたきた。 お疲れ様。 ミカサ、アニ、ライナーよろしく」

3人は返事をすると全員に水を配り、マコトも水筒を持つと訓練兵に渡し始める。マコトは水を渡す度にお疲れ様、頑張ったね、と声を掛けてポンポンと背中を叩く。

「クリスタ、手は大丈夫?」
「は、はい!大丈夫です!ありがとうございます!」
「ん。よく走りきったね。サシャ、大丈夫?」
「お、お腹すきました・・・」
「もうこれで訓練終わりだからもう少し我慢な。よく頑張った。あー・・・と、ダズが泡吹いてるから誰か介抱してあげて」

マコトから声を掛けれて励まされる訓練兵が全員半泣きでありがとうございます!と水を飲み始めた。

まさに飴と鞭である。




訓練後、自由時間となりエレンは自主練習をしていた。正直エレンも、本来の目的は巨人を殺す事だったので格闘技なんて人相手にするものだから適当にしていればいいやと思ったが、アニに1度ひっくり返された事や今日のマコトを見て少し興味が湧いてきたのだ。

格闘技用のサンドバッグを用意し、マコトがジャンに繰り出した技を思い出そうとするが速すぎて見えなかった。・・・かと言ってミカサやアニに教わるのは悔しいと思いこうやって1人でこっそり今日のおさらいをしているのだった。


訓練場を訪れたマコトはまだエレンが居ることに気づき、こっそりと後ろに立つと

「練習?」
「うわあああ!・・・って、マコト教官?!今足音しなかった」
「足音消すの得意。あー疲れた」

マコトは肩をぐるぐる回しながら首をコキコキ鳴らすと、ちょっと休憩しない?と笑った。




「記憶喪失・・・?」
「そ。だから、あまり言葉が得意じゃないの」
「そんな風には見えませんでしたが・・・」
「ありがとう。だいぶ神経集中させたから。で、エレンは何の特訓?」

エレンは朝マコトがジャンに繰り出した技を真似していたとは言いずらかったが本人にきいた方が早い、と顔を上げると

「あの、マコト教官!俺に朝やった技教えてください!左かと思ったら右から出た技!」
「フェイントの事?」
「ふぇ・・・?はい、それです!」
「エレンは勉強熱心だね。いいよ」

マコトは腕を伸ばすと構える。脇を締めて、手は力を入れすぎずゆるく構える。

「まあ簡単だけどね、人の反射を利用するの」
「反射・・・?」
「レモンって言うと唾液いっぱいでない?それも反射なの」
「へぇ・・・」
「構えた時にフェイントする側の肩をちょっと出すの。すると相手が左から来るって左に注意を払う。・・・その隙に右側ががら空きになった隙に鳩尾にを狙う」

実演しながら説明すると、エレンはすっげぇ・・・と目をキラキラさせるのでマコトは笑った。

「まあ、あま使いすぎも意味は無いから。ここぞと言う時に使うんだよ?」
「はい!あの、見てもらってもいいですか?」
「うん、いいよ」


2時間後・・・さすがのエレンも体力に限界が来たのか、マコトが休憩をさせる。 ベンチに座らせて水を渡すととてもいい飲みっぷりで微笑ましく見守っているとふと疑問が浮かんだのでエレンにぶつけてみた。

「エレンはなんで訓練兵に?」
「俺は、巨人を駆逐したいんです」
「くちく・・・?」

さらっと真顔で言われた発言にマコトは目を丸くするとそうなんだ・・・た頷く。


エレンは10歳の頃に住んでいたシガンシナ区を超大型巨人に襲われ陥落してしまった。母親を巨人に食べられてしまい、その日から巨人を憎むようになった。

それからは開拓地に移り、2年後の訓練兵団の入団資格のある年齢になったので真っ先に志願したそうだ。

「だからもっと、強くならなきゃ・・・」
「じゃあエレンは調査兵団に行くの?」
「はい!いつか外の世界をアルミンと探検に出るんです!」

目をキラキラさせるエレンは年相応の少年で可愛らしい。思わず頭を撫でると子供扱いしないでください!と赤くしたが

「外の世界には、海っていう大きな湖や、炎の水、氷の大地があるんです!俺とアルミンは、それを見に行くって約束したんです!・・・って大声で言えない事なんですけどね。異端者って言われるんで」

あはは、とエレンは頭をかくとマコトは微笑むと

「大声で言っても良いと思うよ」
「え・・・」
「アルミンが言ったものは全部実在する」
「は? え?」

エレンは混乱するがマコトは構わず続ける。

「・・・まあ憶測だけどね。君たちが心置き無く探検に出れる手伝いになれればいいよ」

そう言うと、エレンはこくこくと頷いた。





***





初めての訓練兵の教育とエレンの個人特訓に付き合ったマコトは、誰も居ない宿舎を歩いていた。
恐らくもう晩御飯時だろう、マコトも人が空いた辺りに顔を出そうと一旦自分の執務室へ向かうと、丁度リヴァイが自分の執務室から出てきた。

「ようマコト教官」
「あ、リヴァイ兵長」
「あ?なんだその取って付けたような呼び方は」
「私もここの組織の人間になったので、改めようと思いまして」

えへん、と胸の前に手を当て敬礼をする。

「今更気持ちわりぃな」
「ふふ、一応人前ではそうさせて頂きますので」
「・・・今は2人だけだろ」

目を逸らしてリヴァイは呟くと、マコトは確かにと頷くと

「じゃあリヴァイさんで」
「やっと発音できるようになったか」
「え? 今の出来てた?ほんと?」

パッと嬉しそうに笑うマコト。
言葉が分かるようになってきてからはマコトはよく喋るようになった。人類最強と怯えられてるリヴァイにすら笑顔で突進してくるのはハンジかマコトくらいだろう。

「あ、ねえリヴァイさん。質問いい?」
「なんだ?」
「くちく、ってなに?」
「・・・お前、それ誰から教わった?」
「え?訓練兵だけど」
「ガキが何ほざいてんだか。ほらメシ行くぞ」

リヴァイはそう言うとぷいっと背中を向けて食堂への道を歩く。

結局、駆逐の意味が分からないままマコトは執務室に寄るのはやめてリヴァイの背中を追いかけた。



突如兵団に入ってきた女教官・・・兵団全体に知れ渡りマコトは有名人になっていた。
記憶喪失のため経歴は不明、山の中さ迷っていた所遭遇した賊を1人で壊滅。 ・・・その後調査兵団に保護される。

整った顔とは裏腹の鬼特訓が壮絶と早速噂が広がり食堂に入ると沢山の調査兵に見られ少したじろいだ。

「あれが新しい教官だ」
「くっそー俺もこの時期の訓練兵になりたかった・・・!」
「話しかけたいけど、リヴァイ兵長も一緒だからな・・・」
「おい、近づいたら削がれるぞ」

6人がけのテーブルなのに対して、リヴァイとマコトの2名しか座ってこない。
突然入ってきた無名な人間など受け入れてたまるか・・・と思われているのか、マコトは青ざめた顔でリヴァイを見ると

「私、嫌われてる・・・?」
「・・・いや、そうじゃない」
「ははは!マコト、違うよ。番犬がいるからだよ」

振り向くとそこにはハンジが居た。その後ろにはモブリットがどうも、と軽く頭を下げる。
するとペトラもやって来てマコト達を見ると

「あ!皆さん、ご一緒してもいいですか?」
「好きにしろ」
「ありがとうございます!」

ペトラは慣れたようにニコニコとマコトの隣に座る。
人が集まってきてマコトはホッとするとスプーンを手に取った。

「で、教官1日目はどうだった?」
「格闘術、みんな弱かった。3人クリアしたくらい。」

えっ、と全員が固まる中マコトはパンをむしゃむしゃと食べる。

気を取り直して、とペトラは

「キース教官の通過儀礼ならぬ腹パンがあったって噂で聞いたけど?」
「うん。あ、でも軽く吐かないくらいに」
「お前・・・どういう訓練してんだ?」

恐る恐るだがリヴァイが聞くと

「とりあえず、私とスパーリングして負けた子は訓練場10周」
「あの距離を10周・・・マコトが教官じゃなくて良かった・・・」
「何事も体力が資本。みんな体力が無いように見えたから、それを鍛えないと。立体機動を使いこなすなら体幹も必要だよね。体幹トレーニングも組まなきゃ」

そうニッコリ笑うと、104期生がんばれ・・・と全員心の中で祈ったのだった。



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