103:寿命で死ぬまで【完】
マコトとリヴァイの結婚はもちろん全員が驚いた。

一目惚れしたリヴァイがマコトに猛アタックした結果およそ2週間で落し、からのスピード婚約したという噂がパラディ軍中に広がった。

・・・噂は恐らくハンジ主犯で、ハンジとつるんでいる相手のナナバが広めたに違いない。


マコトが日本に帰った後、リヴァイは実家に帰り婚約の報告をすると、ケニーは被っていた愛用の帽子がズレ落ち、咥えていたタバコを落とすほどの驚きぶりで、母親のクシェルも突然の結婚報告に驚いたがにっこりと笑い「あらあら」と喜んだ。

「リヴァイ・・・いきなり結婚相手見つけて来たって・・・はぁ・・・?」
「もしかして、小さい頃に言ってた女の子?」
「ああ」

何の話だ?とケニーはクシェルを見つめる。

リヴァイが幼い頃から「夢に女の人が出る」と何度も呟いていた。

最初は不気味だとは思ったが、パラディ軍に入る時に「あの女を探してみようと思う」と相談してきた。

まさか本当に見つけ出すとは・・・クシェルは内心驚いていた。

「ほら、見てよ兄さん。可愛い子じゃないの」

訓練などで挨拶が出来なかったためマコトと二人で撮った写真を見せるとクシェルは微笑むと

「リヴァイ、良かったわね」
「クシェル・・・お前ホントリヴァイには甘いな。2週間だぞ?2週間!」
「ふふ、いくつになっても可愛い息子だもの。リヴァイが添い遂げたいと思った相手なら私は歓迎するわ。」
「ありがとう、母さん」

一方マコトの方もやっと嫁に行ってくれると母親が喜び、父親も喜んだがまさか国際結婚で海外に行くのは想定外だったのか・・・夜な夜な枕を濡らした。
お互いテレビ通話での挨拶になってしまったが、両家ともマコトとリヴァイの結婚は大歓迎で受け入れてくれた。

自衛隊の方からもその派遣は是非とも。と同意してくれた結果、正式にマコトのパラディ島への赴任が確定となった。








日本に帰国し数日後・・・リヴァイとビデオ通話をし始めると、リヴァイは眉を寄せて

『マコト、お前顔大丈夫か』
「え・・・あはは、大丈夫だよ」

海外赴任の準備、ビザの手続きに追われていた。
特に海外移住となると大使館などで発行した書類などの取り寄せなどなど・・・国同士の手続きが必要になる。

慣れないことだらけでここ最近のマコトの顔はげっそりしていた。


人気のない駐屯地の踊り場でマコトは画面越しに映るリヴァイを見ると眉を下げて

『俺も出来る限りサポートする。遠慮なく言えよ。』
「ごめんねリヴァイさん。忙しいのに」
『それはお前もだろう。 慌てて無理に詰め込みすぎるな。訓練でまた怪我するぞ』
「そうだね。うん、ありがとう」
『式場はお前が来てから決めればいい。』
「あ、それがね・・・ゼグシィの海外挙式特集で綺麗な場所があったんだけど、はいアドレス」

チャット画面にアドレスを送りリヴァイがそれを見ると

『・・・ここか、場所なら分かる。良いんじゃねぇか?』
「ほんと?!ここ綺麗だよね!」
『ああ。休みの日に下見してくる』
「えっ、でもリヴァイさん仕事・・・」

画面越しにリヴァイはこちらを見ると

『・・・言っただろう。俺も出来る限りの事はやりたい。 これから夫婦になるんだから、助け合いは当たり前だろ。』
「う、ううっ・・・神だ・・・」
『ハッ! とりあえず、無理はし過ぎるな。・・・ほら、もう消灯時間だろ?』

時刻を見るともう23時になりかけている。


もうそんな時間か・・・とマコトは寂しそうに画面を見ると

『・・・もう少し我慢すれば時差なんて気にせずに済む。』
「うん。・・・おやすみなさい、リヴァイさん」
『おやすみ。・・・なあ、マコト』
「ん?」
『愛してる』
「ん゛ん゛っ!!」

突然の発言に不意打ちを食らったマコトは白目を剥きかけ変な声が出た。


そんなマコトにリヴァイは苦笑いすると

『ハッ!もう少し色気のある声出せよ』
「う・・・はい。・・・リヴァイさん」
『何だ?』
「・・・愛してます」
『・・・・・・知ってる』

リヴァイはそう呟くと突然画面からフレームアウトするがチラッと見えた耳は赤くなっている。

きっと画面外では口を抑えてるんだろうな、とマコトはニヤニヤすると

「リヴァイさん、可愛い」
『・・・うっせ。 ほら、切るぞ』
「はい。・・・おやすみ」
『ああ、おやすみ。』




沈黙




『・・・・・・おいおいおい、お前が切れよ』
「え、リヴァイさんが切ってよ」
『・・・切るの寂しいだろうが』
「私だって切るの寂しいし!」


お互いどっちが先に切るか口論になり


『チッ、じゃあせーので切るぞ』
「いいねそれ」
『「せーの」』



・・・・・・・・・・・・



『「いや切ってよ!(れよ!)」』


お互い吹き出して笑っていると


パーパーーーパパパパーーー


消灯時間になるラッパの音が聴こえてきた。


『ほら、就寝ラッパだ』
「はーい、じゃあ・・・また明日」
『ああ。おやすみ』


そう言うとマコトはリヴァイの画面を思わずスクショすると通話を切った。

それはリヴァイも同じでマコトの映る画面をスクショするとそっとマコトフォルダへと移動させたのだった。









1ヶ月後・・・マコトは荷物をまとめるとパラディ島へと移った。

空港まで迎えに来たリヴァイの車に揺られていると

「そう言えば、クソメガネがお前に会いたがってた」
「へ?ハンジさんが?」
「ああ。博物館で会ってからはろくに話せてないだろ? どうせ覚えてる限りの巨人の情報を提供して欲しい、って迫ってくるんだろ」
「相変わらずだね」

マコトはそう笑うと、窓から見えるパラディ島の青く透き通る海を見つめた。















── そして結婚式当日



パラディ島の海が一面に広がる屋外のチャペル。

時差で時間が合わなかったりもしたがお互いここがいいと決めた式場だ。

襟付きの7分袖まであしらわれたクラシカルなドレスを着て、芍薬のブーケを持ったマコトと、パラディ軍の婚礼用の礼服を着たリヴァイが指輪を交換する。


・・・そして、あのウォール・マリア奪還前日の夜のようにシーツではなく、今度は本物のベールを上げるとリヴァイは微笑む。


「・・・やっと、本物でできたな」
「ふっ・・・うん・・・っ」


そう言うとマコトはあの日を思い出したのか顔をくしゃりと歪めて涙を溜め始めてしまった。

「は?オイオイオイ、マコト。まだ泣くんじゃねぇよ・・・」

リヴァイは焦って小声で窘めるが全員に聞こえていたらしく、2人の様子を見て微笑ましくくすくすと笑っている。


「マコト」
「はい・・・」


リヴァイはマコト目に溜まった涙を親指で拭ってやると、そっと肩に手を置く。


「今度は、ずっと一緒だ」
「うん。迎えに来てくれて、ありがとう。」




── 今度は、死がふたりを分かつまで。




そう誓うと、リヴァイはマコトと唇を重ねた。













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Fly Me to the Moon.
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「・・・チッ、コイツら実は記憶あるんじゃないのか?」
「まさかまた胴上げされるとはね・・・ははっ!」


・・・その後、あの日の様にリヴァイがエレンやジャン達や部下に胴上げされた姿があった。

その時の写真を見てマコトは微笑むとリビングの写真立てに飾り、リヴァイの肩に頭を預けると


「でも、嬉しかったでしょ?」


その問いにリヴァイはふっと鼻で笑いマコトの頭を撫でると


「・・・まあ、悪くねぇ」







Fin.

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