お揃い人形



「ワルド! おまえの名前はワルドだ!」


くーちゃんが羊のぬいぐるみを指差してそう宣言した。


「ワルド? どうしてワルドなの?」
「オズワルドのワルドだ! オズはもうオズの名前だから、ワルドはそいつの名前にするんだぞ!」


えっへんと胸を張るくーちゃんになぜだか力が抜けた。

べつに羊の名前くらい好きにつけられても構わないのだけど、くーちゃんは呆れるくらいグレンが好きみたいだ。

オズワルド。一度くらいしか呼んだことのない名前だけど、なんだか特別な響きに感じる。そんな名前の一部を羊の名前にしていいのだろうか。

しばらく逡巡して、グレンからもらったものだからいいわよね、という結論に落ち着いた。


「でも、くーちゃん」
「んん?」
「OSWALDのWALDはワルドじゃなくてウォルドとも読めるのよ?」
「ウォルド?」


うぉるど、うぉるど、うぉるど。


「ウォルド!」


どうやら気に入ったみたい。

黒うさぎのオズの横で円な瞳を向ける羊。二匹合わせてオズワルド、なんて、グレンが知ったらどんな反応をするんだろう。

想像するとなんだかおかしい。


「シエラ! シエラ! ウォルドにもオズみたいな洋服を作ってやってくれ! とびっきりかっこいいのがいい!」
「ええ、ええ、オズとお揃いの素敵な服にするわね」


こうして私たちの住む塔には赤い服の黒うさぎの横に青い服の白羊が増えた。
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