エイプリルフール

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どうぶつになる のろいを うけた!
賀喪さん(迫真)


久しぶりにキレちゃったナ。

「ガァグェッグェーー!!(この手のイジリは小学校で卒業したんだよー!!)」
「落ち着いてください。羽が抜けます」
「グェッグェッ(加茂くんだって経験あるでしょ被害者の会発足できるでしょー!!)」
「私に鳥の言葉は分かりません」
「グェーーーッ!!」

呪詛師ってヒマなのかな。それともここは本当に漫画の世界だっりするのかしら。
まさか同人あるあるの胡乱時空みたいなノリで動物になっちゃうとは思わなかった。しかも鴨。カモはカモでも私は賀喪なのに! 小学校の時さんざっぱら『紅緒ちゃんは鳥役ね!』て言われ続けたトラウマ。屈辱でしかない。
興奮するとバサバサしてしまう羽を加茂くんがあわあわしながら抑え込もうと必死。でも手つきがなんだかぎこちなくて曲がりなりにも『女性に触れて良いものか』という迷いを感じる。年下を困らせるのは大人としてまずいと、一先ずグェグェッ鳴きながらシートに座る。ちなみに今は任務帰りの車内だ。
いやーそもそもさー、今回の任務からしてちょっとムカついてたのよ。だって加茂くんと私は京都校と東京校で滅多に会わないわけじゃん? 東日本と西日本で大まかに任務分けしてるのに、合同任務とかおかしすぎるわけで。明らかにお年寄りの皆さんの意図を感じるアレソレ。加茂くんも怒っていいよ。
『いえ…私は、賀喪さんの元気なお姿が見れて嬉しいです』とかとても良い子なお返事が来て格の違いを感じましたね。お育ちが良い。社交辞令が完璧。よーしよしよししたい気持ちは、“お年頃”の属性を思い出してスッと手を引っ込めた。
今は逆に手を伸ばされているのだけれど。

「きっとすぐ戻りますよ」

戸惑いながらも頭を撫でてくれる加茂くん。十代とは思えない気遣い。愛想笑いが引き攣ってても私は嬉しいよ。でも頭は指が目に入りそうで怖いから、別のところにしてくれないかな。胸辺りがちょっと痒くって。
羽って抜けてもあまり汚れないよね。と鳩胸ならぬ鴨胸を加茂くんの手に押し付ける。ギョッとされた。瞬時に遠のいた手に抗議の(鳴き)声を上げると、「えっ、なん、」「は、いや、鳥だとしても」「わたしは、そんなつもりじゃ……」と何やらブツブツ。心なしか白い顔がピンク色になっていって──。

「グァッ(鴨相手にも紳士なのか……)」

良い子を通り過ぎて生きづらそう……。前世は徳川綱吉かな?
二度と手を伸ばしてこなそうな加茂くんに、謎の申し訳なさを感じて窓際に身を寄せた。でぇじょうぶだ、家入さんがなんとかしてくれる。

「賀喪が鴨! カモカモ尽くし!」

やっとたどり着いた門の前で五条さんに爆笑されたのはかなり腹立たしかった。鴨キックは無限に阻まれた。
爆笑されながら家入さんにバケツリレーされ、無事戻った時には五条さんのスマホの画像欄が私(鴨)で埋め尽くされた後。肖像権侵害で訴えるのも辞さない構え。

……ところで加茂くんはいつまで私から距離を取ってるの?


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