「んっ…はっ、よ、いち…」
「…っ」
「も、むり…あァッ!」
「じゃ…イけ、よ」





そのあまりにも動物的な行為がもう何日も前の束の間の出来事だったように思う。瞼をゆっくり開けると、彼女の顔すらはっきり見えずに暗かった部屋は、朝の光ですっかり明るくなっていた。
アラームは止めていたんだっけ。そう考えながら布団から少し出て手を伸ばす。携帯を掴んで時間を確かめれば、いつも起きる時間と大差なかった。なんと素晴らしい体内時計だろうか。思わず呆れてひとり苦笑いした。
確認が終わるともまた布団の中に潜り込む。肌とシーツの擦れる音によって思い出されるさっきまでの行為。少し興奮しながら、自分の性欲は底無しなのではないかと思った。

「洋一起きてたの?」
「んあ?今さっき起きた」
「まだ寝てようよ」
「んー、目ぇ覚めちまったんだけど」
「まだ寝れるってばー」

昨日指を絡めてきつく握りしめたその柔らかな手が、俺の髪をくしゃくしゃとかき乱す。

「バカ、やめろよ」
「嬉しいくせにー」

間違いではない。だから言い返す言葉なんてない。

「あ、腕貸して?」
「ほらよ」
「へへっ」

ハナコの方へ腕を伸ばし枕代わりにしてやると、幼い子供のような、だけど綺麗な笑みを見せた。それからありがとうと言って何故か俺の鼻を摘んだ後、瞼を閉じてあと10分だけと小さく呟く。しばらくまた寝るのだろう。そう思いつつそんな時間も幸せだと、俺はハナコの額にキスをした。





「…ねぇ、手」
「あ?」
「邪魔なんだけど」
「あー…」
「どこ触ってんの」
「いや、ついムラムラっとして」
「猿か」
「ひでぇだろそれ」


シュガーシュガー
101029



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