恋をした人間は変わるとよく聞くがどうやら女の子だけではなかったようだ。

好き、と実感したのは大分時間が経ってから。本当は随分と前に好きになっていたはず。
ずっと女の子をとっかえひっかえで遊んできた、いや、現実今もそう。毎回結局上手くいかなくてフラれておしまい。自分では大事にしてるつもりなのに、「やっぱりタイプじゃなかった」「想像と全然違う」と言われてしまうのがオチだった。
フラれる度、本当に好きな幼馴染みの所へ行って話を聞いてもらう。人柄が良い幼馴染みは「はいはい」と聞き流しているようで実はちゃんと聞いていてくれて、頭をぽんぽんと撫でてくれた。

「岩ちゃぁん…」

今回は流石に早過ぎた。最短記録だった。まさか一週間を切ってしまうなんて想像もしなかった。しかもその女と言えば差し入れを持ってきては「欲しいものがあるんだけどぉ」等とほざいては金を巻き上げてきた。この一週間足らずの日数で財布が悲鳴を上げてしまった。

「お前、わりと良い奴なのにな」
「わりとは余計だよぉ…」
「…そこそこ良い奴」
「褒めるならちゃんと褒めてよ〜っ」

好き、なんて言えない。言ってしまったらこの関係すら崩れてしまいそうで。あのクソ可愛い後輩が「阿吽の呼吸ですよね」と言うくらいのコンビなのに壊したくない。
「俺が女だったら及川が彼氏にするべ」
「え」
「扱いやすい」
「酷っ!岩ちゃんの馬鹿!期待させないでよ!」
「えっ」
「…あ」

あんなにも気を付けていたのに天然な幼馴染みに振り回されたせいでつい本心を漏らしてしまった。もう言い逃れは出来ない。
「あ〜もうっ!そうですよ、このイケメンの及川さんは幼馴染みの男が好きですよ岩ちゃんが大好きだよ、悪いか!」
「…っ、クソ及川が」
「あれ、岩ちゃん顔赤いよ?大丈夫、熱?」
「〜っ馬鹿川!クソ川!」
「な、なんで怒るの」
「俺も好きだっつの、このアホ川…ッ」

同時に背中に物凄い衝撃が走りこれが夢ではなく現実だという事を痛感する。そして忽ち顔が熱くなっていくのが自分でも分かった。バレーをやるデカイ男二人が顔を真っ赤にして片方の部屋にいる今の状況、親に見られたらたまったものではない。

「もうっ、岩ちゃん大好き…っ」

溢れる自分の気持ちには何も叶わないのだけれど。



title by 確かに恋だった



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