きゃあきゃあと可愛らしい声に囲まれて、体格のいい大男が教室に顔を出す。クロは俺の幼馴染み。人の目を気にして輪に入ろうとしない俺と違って彼は自分で輪を作る。常に輪の中心でリーダーなクロはモテる。変な髪型のくせに。女の子に人気があるのは勿論、男友達も多いし後輩からも憧れの存在らしい。変な髪型のくせに。

「研磨ぁ、部活行くぞー」

教室の入口から大きな声で俺を呼ぶ。手招きするだけにして、と前に何度も頼んだのにいつもこう。もう諦めちゃった。
返事をする代わりに適当に頷くと満足そうにクロが笑った。

「孤爪くんて、黒尾先輩のこと好きでしょ」
「うん、好き」
「やっぱり!いつも一緒だもんね」

女の子の言う、孤爪くんは黒尾先輩が"好き"は俺の言う"好き"とは違う。まぁ、誰も男が男を好きになるなんて考えないだろうけど。
クロに"研磨"と呼ばれるのは嫌いじゃない。落ち着いた低いトーンで俺を呼ぶ。

「クロ」
「研磨くん遅いぞー。可愛い女の子に話し掛けられたからって俺を待たせるなよー」
「ごめん」
「何笑ってんだ」
「…別に」

俺はクロが"好き"。クロは俺が"好き"。この"好き"は同じ"好き"。
ずっとこの"好き"が続けばいいのになぁ、と大きな背中を見た。

「…来年も一緒がいい」

振り向いたクロがニッと笑った気がした。



title by 誰花



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