花巻と岩泉

最近、視線を感じてそっちの方を向くと、じっと岩泉が俺を見つめている。なに、と聞けば、別に、とそっぽを向かれるだけ。気になって仕方ない。仮にも恋人なんだし、話してくれたっていいじゃないかとイライラする時もしばしば。

「岩泉さ、なんなの?」
「…何が」
「いや、最近何かと俺のこと見てるデショ。気になって仕方ないんだけど」
「別」
「に、じゃなくて。見てるってことは何かあるだろ、話してよ。仮にも俺、お前の彼氏なんだからサ」

岩泉はやっぱり俺から視線を外した。でもいつもと違って口を開いた。

「…から」
「え?」
「花巻が、綺麗だから」
「っえ、な、な…」
「…悪いかよ」
「悪くないデスッ!」

岩泉がそんなこと言うなんて思ってもみなかった。顔がめっちゃ熱い、ヤバい、泣きそう、嬉しい。及川に自慢してやりたい。岩泉、可愛すぎかよ、天然タラシめ!

「…岩泉」
「な、なんだよ」
「キスしよ」
「…いちいち言うことかよ」

戸惑いながらも岩泉は目を閉じた。ああ、俺、幸せ者すぎだネ。やっぱり及川に自慢するのはやーめよ。話すのが勿体ない。可愛い可愛い恋人を独り占めしたいから。俺も大分心が狭いネ。



title by レイラの初恋


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テーマ「人外ファンタジー」
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