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花巻と岩泉
あいつらは腐れ縁というヤツだった。本人たちが言っていた、小学生からの付き合いなんだ、と。俺には到底その間に割って入る勇気はなかった。それでも好き、なんだ。
「花巻、」
「…あ、ごめんごめん。何?」
「せっかく俺がシュークリーム買ってきてやったのに」
「あー!それ、超有名なトコのじゃん!岩泉が俺のために!?」
「…お前以外の誰にやるんだよ」
ありがとう、と軽く頬にキスをすると岩泉は真っ赤になる。おいおい、これくらい早く慣れてよネ。まぁ、そんなトコロが好きなんだけど。
「…花巻って、アレか?」
「アレって?」
「その…俺が及川と……って気にしてんのかな、って」
バレてた。及川にならまだ分かるが岩泉にバレようとは。
でもそう、その通り、不安だった。二人が付き合ってるとかセックスしてるとかそういうのじゃなくて。今まで隣にいた及川以上に俺はなれないんじゃないかって。なれる訳がないんだけど。
「…及川とお前は、違うだろ」
「違うけど」
「俺が…俺が、好きなのは」
花巻だから。
キスした時よりも真っ赤になる君を見て、幸せな気持ちになった。大好きだよ、岩泉。なぁんて言ったらシュークリームを投げられそうだから言わないケド。
title by 秋桜