及川と岩泉

※FHQ捏造



いたい くるしい さむい さみしい ひとりぼっち



ずっと、独りだった。俺はみんなが驚くような綺麗な服を持っていたし、美味しいものを食べていた。最初は自分だけすごいんだ、と鼻を高くしていた。

でも、ある時気づいてしまった。
"同じ"ことがどれだけ素晴らしいかってことを。



「なに、それ。尖ってて痛そう。こっち来ないで」

怯えるあの目を忘れたことはない。ただ、純粋に一緒に遊びたくて、年が同じくらいの子たちに話し掛けた。一緒に遊んではくれなかった。別の子、また別の子も俺を怖がっていた。

「なんで俺はみんなと違うんだろう」

生まれて初めて悲しくてわんわん泣いた。どのくらいの間泣いていたかは分からない。気付いたら太陽が顔を見せていた。

ぼんやり窓ガラスを通して雲ひとつない空を見ていた。ああ、こんな素敵な日にひとりでなければ、とまた泣きそうになったとき、ひょこっと男の子が顔を出した。

「だっ、誰?」

その子は一瞬きょとん、とした後ニッと笑って答えた。「お前の友達だ」と。









「オイカワ……ッ」

大好きな大好きな子が涙を流していた。誰だ、この子を泣かせたのは。

「イ、ワちゃ…」

声を出そうとすると腹部に痛みを感じた。血が流れて床はすでに真っ赤だ。魔王が死んで勇者たちが幸せに笑う絵本を何度か読んだことがあった。全くその通りになってしまった。

「…ごめんね、イワちゃん。苦しめてごめんね」
「オ、イカワ、今、手当てす」
「もう無理だよ。ありがとう。今度はイワちゃんと幸せに暮らせるといいな」
「な、何言って…」

ふ、と力が抜け、眠くなる。おやすみなさい、大好きな大好きな俺のともだち。たったひとりのともだち。

大好きで大好きで、それが裏目に出て苦しめた。沢山酷いことをした。大丈夫、もう苦しめないから。

「……おやすみ、イワちゃん」





title by レイラの初恋


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