黒尾と研磨


猫みたい、と研磨が俺に対して言った事がある。研磨曰く俺は気紛れであちこちを行ったり来たり繰り返しているらしい。
俺からすれば研磨の方がよっぽど猫らしい気がする。ワガママでサボりたがりで面倒な事には首を突っ込まない。甘えてくる時はゴロゴロと喉を鳴らしているかのように頭を擦り付けてくる。まんま猫だと思う。

「クロ、今の誰?」

アーモンド型の大きい目が寂しそうに俺を写す。誤魔化す事なく元カノだと答えた。そうたった今フラれた。
「女の子と付き合うのやめれば」
語尾にクエスチョンマークは隠れていないようだった。ただ静かな声。はは、と笑ってまた同じ事を繰り返すのが俺だ。
俺は好きだから付き合うのでもなく、付き合ったら相手を好きになる事もない。好きなのはたった一人。ずっと前から好きだった。
「俺が好きなのはワガママな猫ちゃんだからな」
「俺だって気紛れな猫が好きだもん」
俺たちは付き合ってはない。一度も付き合った事がない。
今と違う関係になって崩れた時、俺たちはきっと今の関係に戻れないから。


title by 休憩


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