※薬→厚


涙と涎でベタベタの厚の頬を湿らせた手拭いで拭いてやる。泣きながらやめてくれと懇願する厚の声が頭の中で響いていた。何でこんなことをしちまったんだ、と先ほどの自分を呪いたくなった。こんなことしたって何の解決にもならないし、もしかしたら嫌われてしまうかもしれない。そうしたら俺っちは、どうなってしまうんだろう。





「…さっき乱と何してた?」
「何って別に…今日は乱と馬当番だったから話してただけだし…」
「じゃあ何であんなに乱とニコニコ喋ってたんだよ!」
「ちょ、薬研!?」

厚を部屋に引きずり込んで自分の思うがままに抱いた。ぼろぼろ涙を流す厚の姿を見ても、ごめんという謝罪を聞いても怒りは鎮まらなくて、嫌がる厚をぐちゃぐちゃにした。
下らない嫉妬で厚を傷付けた。分かっていたはずなのに。厚は誰にでも優しくて暖かい…自慢の兄弟だったはずなのに。


「ごめんな、厚…」


届くはずもない声が静かな部屋に響く。
厚を恋愛的に好きになってしまったのがいけなかったのだろうか。ただ、厚に好きになって欲しくて、ちょっとでもこちらを向いて欲しくて、常に厚の隣に居た。

「夢ならいいのに」

犯してしまった罪も、俺っちが厚に対して抱く感情も。





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